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廃坑ダンジョン①

 俺達は廃坑ダンジョンに入り奥へと進んでいく。周囲は薄暗く、通路もあまり広くない。

 そんな環境の中、テレサは臆することなくどんどんと進んでいった。


「こんな分かりにくい地形なのによく迷わずに進めるな」

「もう何回も来てるもん。流石に覚えるわよ」


 道中には分かれ道がいくつもあったが、テレサは迷わずに正しい道を選んで進んでいったのだ。

 このダンジョンの地形は複雑で、正直俺は数回来た程度では覚えきれる自信が無い。テレサは何十回もここに訪れているんだろう。


「あら。敵が出てきたわよ」


 そういって先頭に進んでいたテレサが立ち止まった。


「さっそくか」

「私にまかせて!」


 サクラが前に出て剣を構える。俺も身構えてから前方を確認した。

 すると遠くには、骨のモンスターが立っていた。


「あいつはスケルトンね。1層だとよく遭遇するのよ」

「初めて戦う相手だけどがんばるよ!」

「ここはサクっちに任せるわ。お願いね」

「うん! 行くよ!」


 サクラはスケルトンに向かって突撃していく。

 そして剣を振り上げて斬り付けた。


「やぁ!」


 するとスケルトンは避けられずに直撃し、そのまま倒れて骨が地面に散乱した。


「……あ、あれ? 倒せたの……?」

「所詮はスケルトンだしね。ぶっちゃけゴブリンより弱いと思うわ。1層のモンスターはこんなのばっかりよ」

「そ、そうなんだ……」


 思ってたより弱くて拍子抜けしたのか、サクラは目をパチクリしながら消えていくスケルトンの死体を眺めていた。


「この程度ならデバフは要らないか。1層はサクラに任せてもいいか?」

「う、うん。これくらいなら私だけでも十分みたい」

「1層はモンスターも数も少ないし目ぼしい物も無いし、さっさと抜けて2層を目指すわよ」

「おう」


 それから何度かモンスターに遭遇したが、どいつもサクラが一撃で倒してしまった。

 だが何体目かのスケルトンを倒した時だった。


「……あっ」

「ん? どうした?」

「新しいスキル閃いたみたい」

「ほう。よかったじゃん」

「やったじゃん! やっぱりサクっちに任せて正解だったわ。閃くチャンスだと思ったもん。それでどんなスキル?」

「ええとね……」


 サクラが閃いたスキルを表示させ、俺もその詳細を見ることができた。


 ――――――――――――――――――――――

【パッシブスキル】初撃の心得(未習得)


 HPが減っていない相手に攻撃時、ダメージが50%増加する。


 ―――――――――――――――――――――


 へぇ。これはなかなか優秀なスキルじゃないかな。


「いいじゃんこれ。最初の一撃は常にダメージが50%増えるとか強くないか」

「条件も緩いし、相当良いスキルだと思うよ。サクっちやったじゃん! これは習得するべきだよ!」

「そ、そうかな? じゃあ習得してみるね!」


 サクラがスキル画面を操作し、閃いたばかりのスキルを習得したようだ。


「この調子でどんどん進むよー!」


 テレサの案内でスムーズに進むことができ、2層へと辿り着くことができた。

 2層に到着してからもテレサはどんどん奥へと進んでいくが、突然立ち止まってしまったのだ。


「お。採掘ポイント発見! 今のうちに採掘するからちょっと待ってて!」

「採掘ポイント? 何それ?」

「あたしは採掘スキルも習得してるのよ。そんでこのスキルがあると、採掘できる場所が見るようになるの。採掘可能な場所を採掘ポイントって呼んでる」


 テレサの前方には採掘ポイントとやらがあるみたいだが、俺が見た限りではどこにあるのか見つけることができなかった。

 採掘スキルが無いと判別できないようになってるのか。


「採掘ポイント以外で掘ってもゴミしかでないからね。だからこういうダンジョンでは採掘スキルはあったほうが便利なのよ」

「へー。自分で素材集めてたって言ってたが、そういう方法で集めてたのか」

「自分で集めないとすぐ金欠になるしね。どのみち生産メインでやっていくならこの手のスキルは必須よ」


 効率よく素材集めをするならほぼ必須のスキルだろう。

 しかしスキルを習得するにはSP(スキルポイント)を消費しなければならない。貴重なSP(スキルポイント)を割いてまで習得するかどうかは悩みどころだ。

 テレサみたいな生産メインでなければ不要だろうな。


「そんじゃ採掘してくるから。敵がきたらお願いね」

「うん。任せて!」


 俺とサクラはテレサを護るように周囲を警戒し始めた。

 テレサは採掘ポイントとやらの近くまで移動し、武器をしまう。そして取り出したのはツルハシだった。


「よーし。掘るわよー!」


 カーン……カーン……と音を響かせながら採掘を始めるテレサ。

 しかし採掘を始めて1分も経たないうちに何かが接近するのが見えた。


「…………あっ。何か来た!」

「モンスターか」


 遠くから飛行しながら近づいてくるモンスターを発見。

 見た目はコウモリそっくりだ。


「あいつはドレインバットね。そこまで強くないけど混乱攻撃してくるから気を付けてね」

「了解。サクラいけるか?」

「う、う~ん……近づかないと攻撃届かないかも……」


 ドレインバットは小型で素早く移動しているせいか、攻撃を当てることすら苦労しそうだ。

 しかも飛行しているので、サクラでは剣が届かない。


「ど、どうしよう……何もできないよぅ……」

「落ち着け。サクラには昨日覚えたあのスキルがあるじゃないか」

「あのスキル……? ……………………あっ! そうか!」


 思い出したか。

 まだ殆んど使っていなかったせいか頭から抜け落ちていたんだな。


「で、でも当たるかな……?」

「俺に任せろ。奴の動きさえなんとかすりゃいいんだ。サクラはスキルの準備をしておくんだ」

「! わ、分かった!」


 ドレインバットは周囲を飛び回りながら徐々に近づいてくる。

 そしてある程度近づいてサクラに突撃しようと突っ込んできた。


「いくぞ! 《スロウ》!!」


 スキルが発動すると、ドレインバットの動きが急に遅くなった。


「当たって……! 《ソニックスラッシュ》!」


 サクラの剣から斬撃飛び、ドレインバットに直撃した。

 そしてドレインバットは地面落下して消滅。ドロップ品は無しか。


「やっぱり便利だなそのスキル。一撃で倒すとはな」

「おー。サクっちやるぅ!」

「ガイ君が遅くしてくれたお陰だよ! すごく狙いやすかった!」

「ようやく役に立ててホッっとしたよ。1層は何もできなかったからな」


 1層はサクラが一撃で倒してしまってたから、デバフを使う状況が無かったんだよな。だから俺はずっとサクラの後ろを付いていくだけだった。

 攻撃スキルは1つも持ってないし、何もすることが無かった。


「1層は仕方ないよ。あたしでも余裕で倒せるやつしか出現しないしね。本番は3層以降だよ」

「なら期待に応えないとな。サクラも頼んだぞ」

「うん! がんばるよー! ふんす!」


 それからテレサの採掘が終えるまで特に何も起こることは無かった。

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