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ダンジョン突入

「私の武器を作る……?」

「うん。あたしは生産スキルあるからさ。武器なら作れるのよ」

「すごーい。テレサちゃん武器作れちゃうんだ!」


 そういやテレサは自分で武器作って売ってたもんな。

 なら話は早い。直接テレサにサクラ用の武器を作ってもらうのもありか。


「で、でも本当にいいの? 私のために作ってくれるなんて……」

「サクっちのためならいくらでも作っちゃうよ! それにね。こういうのやってみたかったの!」

「こういうの? どういうこと?」

「知人が使うために武器を作るっていうシチュエーションを味わってみたかったのよ! 武器自体は今までいくらでも作ってきたけど、基本的には自分で使うか、見ず知らずの他人に売っちゃうことばかりだもん」

「な、なるほど……」


 自分が作った武器を、仲のいいフレンドとかが大事に使ってくれるのは嬉しいだろうな。その気持ちは分かるかも。


「テレサもこう言ってるんだし。いい機会だから頼んだらどうだ?」

「そ、そうだね。ならテレサちゃんにお願いするね!」

「その代わりと言ったらなんだけど、素材集めを手伝ってくれないかな? どうせならいい素材使って強い武器作りたいのよ」

「うん! 私ができることなら何でもやるよ!」

「ありがとー! あたしも頑張って作っちゃうよ!」


 お互いに手を取り合って喜ぶ2人。

 まだ知り合って日が浅いのに随分と仲がよさそうだ。


「なら俺も手伝ったほうがいいかな?」

「うん。できればガイっちも協力してほしいのよ。これから行く場所はそれなり強い敵ばかり出るからね」

「分かった。サクラのためでもあるし俺も手伝うよ」

「よかった~。デバフ役が居るのは助かるよー!」

「ガイ君も来てくれるの!? 嬉しい……!」


 どうせ今はやりたいことも無いしな。サクラが強くなれるなら協力してやるつもりだ。


「そんでどこ行くんだ?」

「欲しい素材があるのは廃坑というダンジョンなの。ここには武器制作に欲しい素材が色々あってあたしもよく行くのよ。でもソロだと効率悪いし、道中のモンスターが厄介でなかなか集まらないのよね」

「ダンジョンかぁ。そういやこのゲームでダンジョン行くのは初めてかも」

「廃坑は5層まであるダンジョンなのよ。あたし1人だけだと2層までが限界なのよね」

「へぇ。そんなに強いモンスターが居るのか。けど俺達でも太刀打ちできるのか?」

「あくまでソロで素材集めするのが厳しいってだけで、3層まではそこまで難易度高くないはずよ」


 生産メインのプレイヤーは素材集めが大変そうだな。テレサも苦労してそうだ。


「でもね。奥に行くほど出現する素材も希少な物が多くなっていくの。だから今回は4層を目指すつもりよ。行けそうなら5層も挑戦してみたいと思うの。どう?」

「まぁどこまでいけるか分からんが、やれるとこまでやってみるのも悪くない」

「が、がんばるよ!」

「お! やる気だね~! 実はあたしも5層には行ったこと無いのよ。きっとすっごい素材も出るはず! 5層目指して張り切っていくわよー!」


 そして3人でパーティを組んだ。

 ふとパーティ一覧を見てみると、パーティに参加してるプレイヤーのレベルなどの情報が記載されていた。


「へぇ。テレサはレベル22あるのか」

「まぁね。でもあたしは遅い方よ。あたしは素材集めが多いし、どうしてもレベル上げは後回しになっちゃうもん」

「なるほどなぁ」


 俺はビッグホーン狩りで経験値稼いだからレベル18に達している。サクラもレベル16だ。


「レベル10まではすぐに上がるのよ。でも10からはどんどん上がり難くなってくるからね。スキル習得も慎重にしたほうがいいよ」

「そのへんはどのゲームも同じか」


 基本的にはレベルを上げてSP(スキルポイント)を増やさないとスキルは習得できない。なので閃いたスキルを片っ端か習得してしまうと、SP(スキルポイント)不足でスキルを取れなくなってしまう。

 不要なスキルにはSP(スキルポイント)を割きたくない。だからスキル習得も厳選するつもりだ。


「とりあえず行こっか。道知ってるから案内するわ」


 そしてテレサの後を付いていき、廃坑へと行くことになった。




 テレサに案内されて目的地へと向かっていく。

 そして目的地の廃坑ダンジョンに辿り着くことができた。


「ここよ! ここが廃坑よ!」


 俺達の視線の先には、人工的に作られた洞窟の入口があった。奥の方は薄暗くてダンジョンという雰囲気をかもしだしている。


「んじゃさっそく行くか」

「うん!」

「…………あっ! ちょっと待って! 忘れてた!」


 テレサの突然の声で俺達はすぐに立ち止まった。


「どうした? 何かあるのか?」

「サクっちって今武器無いんだったよね?」

「無いというか初期武器だな」

「うん。ゲーム始めた時にあった武器使ってる」

「それじゃあ…………これ貸してあげる」

「?」


 テレサがサクラにトレードして何かを渡した。

 その後に受け取ったサクラは驚きの表情でアイテム画面を眺めていた。


「い、いいの? 私がこんな強そうな武器使っても……」

「どうせ売れ残りだしね。それをサクっちにあげようかと思ったけど、4層まで行けるなら確実にそれより強い武器が作れるはず。だからしばらくそれで我慢しててね」

「う、うん……ありがとー!」

「サクラは何を貸してもらったんだ?」

「えとね。バスターソードって武器みたい」


 バスターソード……?

 聞いたことのある武器名だ。それに売れ残りって……


「…………あっ。まさか……」

「そうよ。ガイっちと出会う切っ掛けになったあの武器よ」


 テレサが間違って0G(ゴルド)で出品してしまった例の武器か。

 確か性能はこんな感じ。


 ―――――――――――――――――――――――

【武器】バスターソード

 ATK:90


 ・ATK+3%

 ・スキルダメージ+10%

 ・VIT+5


 製作者:テレサ

 ―――――――――――――――――――――――


 このままでも強力に思えるが、これより更に強い武器を作るつもりなのか。


「サクっちにはもっといい武器を渡したいのよ。絶対これより強い武器を作ってみせるわ。これくらいでは満足しないもん」

「私もテレサちゃんの役に立てるようにがんばるよ~!」

「それじゃあ行きましょうか」

「おー!」


 こうして俺達は廃坑ダンジョンへと足を踏み入れることになった。

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