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不人気と言われようともデバッファーを極める ~攻撃スキルが無くても戦えます~  作者: 功刀


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ドロップ率アップの仕様

 俺とサクラは街を出てから歩き続け、ビッグホーンが生息している森林地帯へとやってきた。

 さっそく探そうとした時、離れた場所にビッグホーンが居るのを発見した。


「お、いきなりお出ましか。サクラ準備はいいか? テレサから借りたラッキーダガーは装備してるよな?」

「うん! 大丈夫!」

「おっけー。なら昨日と一緒のやり方でいくぞ。俺がアースバインドを使ったらすぐに倒しにいけ」

「分かった!」


 サクラが武器を構えると同時に、ビッグホーンもこちらに気が付いたようだ。

 ビッグホーンが動き出し、角を突き出しながら突進してくる。

 一直線にサクラへと向かっていくが、タイミングを見計らってスキルを発動。


「ここだ……《アースバインド》!」


 サクラのすぐ近くでピタリと止まるビッグホーン。

 それを見たサクラはすぐに動き、ビッグホーンの元へと走った。


「えいっ!」


 サクラが剣で斬ろうとするが、ビッグホーンは巨大な角を器用に動かして弾く。

 しかしサクラは弾かれた剣を巧みに動かし、角を避けてビッグホーンの本体を斬った。


「やぁぁ!」


 ビッグホーンも再び角で弾くが、弾いた直後に角の無い部分を狙って斬った。

 後はこれの繰り返しであった。


 そして数回ほど同じ作業が続き、何度目かのダメージを与えた時、ビッグホーンは倒れて消滅した。


「おー。やるなぁ。安定してきたじゃん」

「あ、あれ?」


 サクラは何故か困惑した様子で自分の手を見つめていた。


「ん? どうした? 何かあったのか?」

「え、えとね。昨日よりも早く倒せちゃったと思って……」

「早く倒せた? 慣れてきただけじゃないの?」

「ううん。そうじゃないの。もっと長引くと思ってたんだけど、今日はあっさり終わったというか、楽に感じたというか……」

「ん-……」


 言われてみれば早かったかもしれない。

 昨日は倒すまでにもう少し時間が掛かっていた気がする。今日はやけに討伐スピードが早く感じた。

 サクラが慣れてきただけでここまで短縮するとは思えない。明らかに攻撃回数も減っているはずだからな。


 う~ん…………

 いや待てよ?


「サクラは今までどんな武器使ってたんだ?」

「このゲーム始めてからずっと同じ武器使ってたよー」

「…………なるほどな。それが原因だ」

「え……!? ど、どういうこと?」

「昨日まで使ってた武器を見せてくれないか?」

「う、うん」


 サクラがメニュー画面を開き、アイテム欄から武器の詳細を見せてくれた。


 ――――――――――――――――

【武器】ブロンズソード

 ATK:5

 ――――――――――――――――


 ………………やっぱりな。


「今使ってるラッキーダガーと見比べてみな。武器攻撃力のATKが全然違う」

「そ、そうなの!?」


 ちなみにサクラが使っているラッキーダガーの性能はこれだ。


 ――――――――――――――――

【武器】ラッキーダガー

 ATK:50


 ・この武器で倒した場合、レアアイテムのドロップ率が上昇する。


 制作者:アル

 ――――――――――――――――


 ATK(攻撃力)が50あるのに対し、今まで使っていたブロンズソードは5しかない。

 10倍も違う。


「純粋に火力が上がったんだよ。だからその分ダメージも増えて早く倒せたんだ」

「あ、そ、そっか……。武器の威力なんて見てなかった……」


 サクラはネトゲ初心者らしいからな。だから武器性能のことは考慮しなかったんだろう。


「すまん。もっと早く説明しとくべきだったな。レベルも上がってきたことだし、装備も新しい物に変えたほうがサクラの負担も減っただろうし」

「ガイ君が謝ることじゃないよ! 私は知らなかったのが悪いんだし……」

「そ、そうか……ま、まぁ前向きに考えよう。これで装備の大事さが体感できたわけだし。この狩りが終わったら新しい装備でも買いに行こうか。ドロップ品売れば金になるみたいだし」

「そ、そうだね!」


 気まずい雰囲気をごまかそうと動いてドロップ品を確認しにいく。

 だが……


「…………ッ!?」

「ど、どうしたの!?」

「二つある……」

「え?」

「今倒したビッグホーンは1体だよな? でもビッグホーンの角が2個あるんだ」


 地面に落ちているアイテムは、どう見てもビッグホーンの角が2個存在していた。

 何度見ても2個ある。


「ほ、本当だ……」

「今まで2個同時にドロップすることって無かったよな?」

「た、たぶん……」

「どういうことだ……?」


 昨日は何体も倒していたが、1体が2個同時にドロップする事は一回も無かったはずだ。

 元からこういう仕様で、今回は偶然が重なっただけだったんだろうか。

 ゲームだと複数ドロップするのは珍しくないし。やはりラッキーなだけなのか……?


 ……ん? ラッキー?


「あっ……ひょっとして……」

「ガイ君? 何か分かったの?」

「サクラが装備してるラッキーダガーのお陰かもしれない。恐らくその武器で倒したから2個に増えたんだ」

「な、なるほどー! そういえばテレサちゃんも言ってたもんね。ドロップ率を引き上げるとか……」

「そういうことか。この場合のドロップ率アップってのは、抽選枠が増えるってことだったのか」

「抽選枠?」

「あ、そっか。サクラは知らないのか」


 この手の仕様はネトゲではよくあるものだ。

 ドロップ関連の仕様はゲームによって違いはあるが、大きく異なることは無いはずだ。


「ん-……なんて説明したらいいんだろうな……」


 だがネトゲ初心者のサクラには理解しにくい仕様だろう。

 俺も伝えきれるか自信がない。


「ん-と…………そうだな…………あ、そうだ。福引とかでよくある回すやつあるだろ?」

「あーあれね。ガラポンっていうらしいよ」

「そうなのか。そのガラポンをイメージしてほしい」

「うん」


 手でジェスチャーなどをまじえて何とか理解してもらえるようにがんばる。


「1回まわして当たりの球が出たら景品が貰えるだろう? それをアイテムドロップに置き換えるんだ。敵を倒せば1回まわせる権利がもらえる。このことを抽選枠って呼んでる。そんで回して当たりを引いたらアイテムがドロップする。これが普通の仕様だ」

「うんうん」

「普通なら1体倒しても1回分しか権利を貰えない。けどラッキーダガーのようなドロップ率アップ系は、この引ける回数が増えるんだと思う。つまり、1体倒したら2回もまわせる権利が得られるってわけだ。だから抽選枠が増えたって思ったんだ」

「へぇーなるほどー! そういう意味だったんだぁ!」

「今回の場合は2回分の抽選枠があって、運よく2回とも当たりを引いたから2個同時にドロップしたんだと思う」


 ドロップ率アップ系は抽選枠の増加、またはドロップ率そのもの増加のパターンがある。今回の場合は前者だが、もかしたら両方のパターンもありえる。

 どっちも似たようなものだけど若干違いがある。


「そうなんだ! ガイ君って物知りなんだね!」

「この手の仕様はゲームではよくあるってだけだよ」

「でもそう考えるとこの武器ってそんなにすごい物だったんだね。テレサちゃんもすごいよね」

「そうだな……」


 レアアイテム狙いではなく、純粋に素材集めとしても優秀だ。

 確かテレサはこれを20万で買ったんだっけか。この性能で20万は安く感じるな。

 そりゃテレサも必死に欲しがるわけだ。

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