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一撃必殺スキル

「はぁ~……疲れたぁ……。対人は精神的にも疲れるから嫌なのよね~……」


 テレサはダルそうな仕草をしつつ一息ついた。


「ガイっちもありがとね。ガイっちが居なかったら間違いなく負けてたわ。まったく急に人増やすなんて卑怯よ!」

「こんな俺でも役に立ててよかったよ。このゲームの対人がどんなものか知れたし。いい経験になった」


 というかテレサがこんなにも強いとは思わなかった。

 生産メインとか言っていたけど全然強いじゃないか。


「あ。そういえばトドメに使ったスキルは何なんだ? 武器が消えたように見えたんだけど……」

「ん? もしかしてデッドリークラッシュのこと?」

「そうそれ。かなり威力の高いスキルなんだろ? 一撃で倒したもんだからビックリしたよ」


 バンバも威力の高さに驚いていたからな。

 一撃で倒せるような強力なスキルがテレサが使えることに驚いている。


「ふふん。すごいでしょー! あたしのとっておきのスキルなんだから!」

「まさに一撃必殺って感じですごかったよ。でも相手に刺した瞬間に武器が砕け散ったように見えたのはスキルの演出なのか?」

「演出なんかじゃないわ。見たままの効果よ。デッドリークラッシュは使うと装備してる武器が消滅するのよ」

「は……?」


 武器が消滅……だと……?

 そんなやばいスキルだったのか?


「武器を犠牲にダメージを与えるスキルだってのか……?」

「そうよ。だからさっき使ってた武器はもう消えてデータの藻屑になっちゃったわ」

「マジかよ……。そこまでしなくてもよかったんじゃないか……? 武器を失ってまで勝ちたかった気持ちは分かるけどさ……」

「あはは。大丈夫だって。あれはどうせ捨てるつもりだったし」

「そ、そうなのか?」

「ガイっちにあげた武器と同じよ。あれはアビリティ構成が腐ってて使い道が無かったのよ。だから全然気にしてないわ」


 そういやテレサに貰った物も産廃武器とか言ってたっけ。

 ダメージが大きく減らされようなアビリティ構成をしていて素手でも大差ないレベルだった。

 テレサが使っていた武器も似たようなアビリティをしていたんだろう。


「武器を作ってると、どうしてもああいうアビリティ構成になっちゃう物ができちゃうのよ。こればかりは自分でもどうしようもないわ。ゲームの仕様だからね。結局この手の産廃武器は誰も買わないから売ることもできない。NPCに売っても捨て値同然に額になっちゃうし」

「なるほど。だからどんどん溜まっていくわけか」

「正直いって肥やしになるだけだから困ってたのよね。でもせっかく作った武器だから単に捨てるだけじゃあ勿体ない。なんか使い道ないかなーって思って色々試してたわ。そんな時に閃いたのが『デッドリークラッシュ』ってわけよ!」


 そういうことか。

 産廃武器を何とかして有効活用しようとした過程で閃いたってわけか。


「このスキルのお陰で今まで勝てなかったモンスター相手にも勝てるようになったし、産廃武器も処理できて一石二鳥ってわけ! どお? すごいでしょ!」


 発動する度に武器を消費するという凄まじく燃費の悪いスキルだが、その分威力も凄まじいようだ。まさに一撃必殺に相応しいスキルだといえるだろう。

 こんなスキルも存在するなんて面白いじゃないか。


「すげぇな。まさにテレサのためにあるようなスキルじゃないか」

「ふっふーん! これで生産メインでも役立たずだと言わせないわ!」


 ついさっきの詐欺師とのやり取りで不機嫌になってたのにすっかり元気を取り戻したな。

 実に嬉しそうだ。


「まぁでもどれだけ強力なスキルがあっても負ける時は負けるし。さっきの戦いで勝てたのはガイっちのお陰なのは変わりないわ。本当にありがとね」


 そういって満面の笑みを見せるテレサだった。

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