表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/79

決闘モード②

 剣を構えたバンバが俺達を睨む。

 さっきまであった余裕そうな雰囲気が消えている。全力でやってくる気だろう。


「言っておくが、ワイには混乱は通用せぇへんで。その程度は対策済みや」


 さすがに慣れてるだけあってそのくらいは耐性つけてくるか。

 どれどれ……


「《コンフューズ》!」


 バンバに向けてスキルを放ってみるが、効いた様子が無い。


「アホか! 通用しないと言ったばかりやろが! 甘く見過ぎやで!」


 本当に耐性を付けているようだ。ハッタリじゃなかったんだな。

 さてどうしようかな……


「ほんなら行くで! ソッコーでカタつけたる! 覚悟せえ!」

「……ッ!?」


 バンバがテレサに向かってダッシュ。まずはテレサから倒す気か。

 なら俺も手を尽くしてみるしかない。

 頼む効いてくれ――


「《アースバインド》!」

「なっ――」


 バンバの足がピタリと止まる。

 よかった成功した。


「おお! ガイっちはそういうスキルもあったのね! やるじゃない!」

「これは初期スキルなんだけどね。習得しといてよかった」


 もしかしたらこれも対策してたんじゃないかと心配してたが、普通に効いたみたいでよかった。


「ア……アースバインドやと……!? そんなスキルも習得してたんかい!」

「まぁな。これでお前は動けまい」

「……フン! 甘いで! アースバインドはあくまで移動のみ封じるスキル。行動まで封じることは出来んのや! この程度でワイに勝った気になったつもりか?」


 するとバンバの手から剣が消える。

 そしてすぐに現れたのは弓だった。


「遠距離攻撃手段なんていくらでもあるんや! ワイを舐めるなよ!」


 なるほど。

 どの様な状況にも対応できるように、様々な武器を備えているってわけか。

 慣れてるだけあって用意周到なんだな。


「バカ女から仕留めようかと思ってたが止めや。お前のようなウザったい奴から先に潰したる! 食らえや!」


 俺に矢を向けてくるバンバ。


 だが甘い――


「なら……《ディスウェポン》!」

「!?」


 バンバの手から弓が消えて素手状態になる。


「……ど、どういうこっちゃ!? 装備してた武器が消えたやと!? なぜ武器が装備できないんや!?」

「これで弓も使えなくなったな。さぁどうする?」

「い、今のスキルは何や!? 武器を解除させるスキルなんて聞いたことないで!」


 ほう。バンバでも知らないスキルだったのか。

 これは良いことを聞いた。


「くそっ……さっきからデバフばかり使いやがって……! おのれ……一体いくつデバフスキルあるんや……!?」

「さぁな。教える義理も無い」


 さすがにバンバも全てのデバフ対策できなかったみたいだな。

 まぁそういう相手に対処する為に、俺も複数のデバフを習得しているわけなんだけどな。


「すごいわねあんた……。デバフだけでここまで戦況変えるなんて……」

「こういうことが出来るからデバッファーは止められないんだよ。悪くないだろ?」

「そうね。ある意味斬新で面白そうに思えてきたわ。こういう戦い方もあるのね」

「でも攻撃スキルは無いし。ダメージを与えることは出来ないんだよ。そういうスタイルだからな。だから後は任せた」

「おっけー! あたしの出番ね!」


 テレサが剣を構えなおし、バンバの元へと向かう。


「くっ……まさか武器すら封じられるとは予想外や……」

「ふふふ。随分と余裕が無さそうじゃない。これで形勢逆転ね」

「…………フンッ! 例え素手になってもやれることはある! 楽に倒せると思うなよ!」

「いいえ。もう終わりよ。次で終わらせてあげる」

「なんやと……!?」


 テレサはそのまま歩き、バンバのすぐ近くまでやってきた。

 そしてバンバに剣を向ける。


「あんたは勝算があったからこそ決闘モードの提案をしてきたんでしょ? 自信が相当ないと対人なんて挑まないだろうしね」

「だからどうしたんや!? 仮に一対一(タイマン)だったとしても、勝っていたのはワイに違いないで! あのデバフ野郎が居なかったらとっくに勝負付いてたはずなんや! デバフ野郎の存在が誤算だっただけや!」

「……やっぱりムカつくわ。最初から勝った気でいるのね。どうして決闘モードの提案をあっさり引き受けたのか不思議に思わなかったの?」

「なに……?」


 てっきり感情に任せて勢いで引き受けたのかと思ってた。

 まさかテレサは最初から……


「実はね。あんたが言わなかったら、あたしから決闘モードの提案をするつもりだったのよ。生産メインだけど戦えないとは言った覚えはないわよ」

「そ、それはどういう……」

「まだ分からないの? 勝算があったからこそ対人を引き受けたのよ。無謀な勝負を挑むほど馬鹿じゃないってことよ」

「……ッ!?」


 へぇ。テレサなりにも考えがあったわけなんだな。


「あたしの誤算はメンバーが増えたことよ。さすがに複数相手に戦えるほど器用じゃないしね。でも今は違う。ガイっちが数を減らしてくれたお陰であんたに集中できる」

「だ、だが武器が無くても戦える! ワイを見くびるなよ!!」

「でも移動を封じられて攻撃を避けることは出来ない。ならとっておきのスキルで終わりにしてあげる」


 そういって剣を構えてバンバに向ける。

 そして――


「食らいなさい……《デッドリークラッシュ》!!」


 剣がバンバの体に勢いよく突き刺さる。


 その瞬間…………()()()()()()()()()()


「ぐはっ……」


 バンバはその勢いで後ろに傾き、そのまま地面に倒れた。


「……!? ア、アホな……!? 一撃やと!?」


 どうやらHPが0になって戦闘不能になったようだ。


「あ、ありえん……! ワイが一撃でやられるなんて……! 何をしたんや!?」

「ふふん。言ったでしょ? 勝算あるって。あんた1人だけだったらあたしだけでも勝てるのよ。甘く見たことを後悔しなさい!」

「く、くそぉ……このワイが……ワイが負けるなんて……! ちくしょう!」


 こうしてテレサが無事に勝利を収め、決闘モードは終了した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ