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第三章 ザンガリオスの道標 4-6


 

 間もなくトールン入城の許可が下り、征討軍、ザンガリオス軍が揃って市内へと入って行く。

 危ぶまれたザンガリオス兵への襲撃や、あからさまな罵詈雑言の類もなく静かに一行は星光宮前まで進んだ。


 宮殿正門前で整列したザンガリオスの将兵は、馬に乗っている者は下馬し身に帯びていた武具をすべて放棄し自ら武装解除した。

 そして新当主ケネットを頭に、片膝立ちになり深々と首を垂れた。

 その恭順の姿勢は、大公が眼前に現れ声を掛けるまで三十小刻近く続いた。


「ザンガリオスの者たちよ、楽にいたすがよい。其の方らの恭順の意は充分に相分かった、されど裁きが終わるまでは罪人として扱わざるを得ぬ。兵たちを拘束することはないが、元帥府の指示に従い控えておるように。また主だった将は身柄を預からせてもらう、縛めはせぬが自由はないものと思え。追って沙汰するまでは、カーベリオス元帥の指示に従うように」

 そう告げると宮廷内に戻って行く。


 その間ザンガリオスの人間からは、一言の言葉も発せられることはなかった。


 大公の言葉通り、兵たちは聖龍騎士団に導かれ指揮官たちと離された。

 おそらく練兵場に集められ、戦場と同じように簡易的な陣幕を張りそこで寝泊まりする事になるのだろう。


 ケネットとその重臣たち及び将軍級の武人は、元帥府の置かれている建物へと連れて行かれ数室に分かれ軟禁された。

 しかし扉に鍵はかけられておらず、待遇も客として扱われているのかと思えるほど丁寧であった。


 彼らは知らなかったが、その他の虜囚はあからさまな罪人として拘束されていた。

 それはカーラム・サイレン家の当主ヒューガンとて例外ではなく、ただの罪人として手枷をかけられ冷たい牢獄に繋がれていた。


 拠ってザンガリオス家の待遇は、破格といってよかった。


 その日の御前会議で、二日後の正午に〝大審判〟が開かれることが正式に決定した。

 それは後世にまで残る、大政治ショーとなる事になった。


 これから舞台を星光宮に移し、大貴族バラン侯爵家による前大公暗殺から始まる、約一年に渡るトールン大乱の最後の大仕上げが始まろうとしていた。





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