表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

愛離ちゃんはクズになってしまった


 もうすぐ夏祭り。五年三組の教室もこころなしか普段より騒がしい様子。

 窓際でそばかすの目立つショートの女の子とツインテールの女の子が話していた。

「あのね、愛離。夏祭りに竜くんを誘ってみようと思うんだ。どうかな?」

 そばかすの子、赤井(あかい)利愛(リイト)は頬を染めてツインテールの略田(りゃくだ)愛離(あいり)に話しかけた。

 自身の手を握りこむいじらしい姿はまさしく恋する乙女である。

 そんな利愛に愛離は笑いかけた。

「あー、ごめん。竜君は私のことが好きだから来てくれないんじゃないかな。竜君一途そうだし。ね?」

「え?」 

 この前竜君に告白されたのだと愛離は話す。

 愛離の言葉にクラス中にざわめきが起こった。愛離はクラスで一番可愛いとされている陽キャ女子で、そのくせ陰キャっぽい利愛とよく一緒にいるもんだからクラスの注目の的だった。

 ヒソヒソとクラスメイトたちが耳を寄せ合う。

「え?利愛ちゃん、竜君のことが好きって言ってたよね?」

「愛離ちゃん絶対わざとだよ。性格わっるぅ」

「またかよ略田のやつ。利愛の好きなやつ奪うの何回目だ?」

「大丈夫かな…」

「幼稚園の頃からあんな感じだもんな」

「可愛くても性格あんなクズに惚れるなんて男子って馬鹿よね」

 陰口を叩くもの、呆れるもの、心配するもの、クラスの反応は様々だ。

 当人の利愛は当然ショックで言葉もでな…

「す、すごい!すごいよ愛離!」

 否、目を輝かせて喜んでいる。

「これで告白されたの何回目?」

「知らない。わざわざ数えてないもん」

 尊敬の眼差しで嬉しそうに詰め寄る利愛に愛離はそっぽを向いて吐き捨てた。しかしなんだか嬉しそうである。

「わぁ…これ、利愛も利愛だよな」

「どういうメンタルしてんだアイツ」

「略田のアレに慣れちゃったとか?」

 クラスは一気に呆れモードだ。

 今年に入ってこの一連の流れは何回あったのだろうか。

「それより利愛、夏祭りは私と一緒に行くよね?」

「うん。愛離、よろしくね」

 さっきの緊迫した空気はどこえやら、りんご飴食べたいなんて2人は話し合っている。

 楽しそうに話す利愛を眺めながら愛離はそっと息を吐き、今回も上手くいってよかったとこころの中でつぶやいた。

(利愛と夏祭りに行くのは私に決まってるもん)

 なんで愛離ちゃんは利愛ちゃんの好きな人を片っ端から惚れさせていくのか?

 結論。

 愛離ちゃんは利愛ちゃんのことが大好きだから。

 愛離ちゃんは利愛ちゃんと幼稚園で出会ったときから利愛ちゃんが大好きである。しかし、利愛ちゃんは惚れっぽかった。すぐに男の子の事を好きになるのだ。

 利愛ちゃんが取られたくないがために好きになった子を口説き落としては下僕にし、愛離ちゃんは利愛ちゃんに褒められてきた。 

「〇〇君は私のことが好きだから」「〇〇君に告白されちゃった」そう言う度に目を輝かせてすごいすごいと褒めてくる利愛ちゃんのなんと可愛いことか。

 利愛ちゃんが取られたくないがために、褒められたいがために、愛離ちゃんは友達の好きな人を奪うクズになってしまったのだ。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ