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「この国は、暮らしやすくて、生きにくい。それが、私が約四十年この国で生きた感想です。結婚適齢期で十分な収入があるにも関わらず、独身貴族を謳歌し、日本の少子化を促進している犯人の一人の、私がです。しかし、皆さんの中にも私のような方は多いはずです。日本の生涯未婚率や出生率は低下の一途を辿り、出口など全く見えません。まだ人生の折り返し地点の私と同世代の方々は、そんな衰退していく日本で今まで生きた分と同じだけ生きていかねばなりません。今よりも歳を重ねながら。私達はまだ良いほうかもしれません。例えば、三十代の方の殆どは生まれてからずっと不況ですし、二十代や学生ら若者たちは少子化が叫ばれてから生まれ、自分たちではどうしようもない社会負担を強いられます。これから生まれてくる子どもたちは?考えるだけで恐ろしいですね。そして、勇気を持ってそんな国に子を産み、現在育児に奔走されている親御さん方。私はあなた達を心から称賛したい。合理的な思考をお持ちならば、そんな判断をするわけがない。ああ、すみません。馬鹿にしたいわけではないのです。私の予想する未来をお話しましょうか。近代において日本のターニングポイントなった出来事が二つ。黒船来航と敗戦です。千八百五十三年と千九百四十五年に起きたこれらの出来事により日本は大きく変革しました。しかし、このどちらも他国による、というかアメリカなのですが、外的刺激によってもたらされた変革でした。この国では革命など起きたことがありませんから、他国によって変えてもらうしかない。では次は?黒船来航から敗戦まで約百年ありました。その百年後。つまり二千五十年頃、私は三度目の大きな外的刺激が加わると思っています。その国はアメリカ、もしくは中国でしょう。現在中国は自国内のことで手一杯ですが、その不満を他国に向けるため、日本を攻め込んでくるとしたら、アメリカは守ってくれるでしょうか?少子化に頭を悩ませているのはどの先進国も同じです。その頃に、アメリカが今と同じ影響力を保てているでしょうか?それにアメリカは大きな政治的分断が進んでいますから、一枚岩になるとも思えない。もう日本を守るよりも、中国に渡して管理してもらい、自国に金を使う方が有意義だ。そんな世論は現代でも存在するくらいです。中国が自国を管理しきれず、日本に飛び出してくる頃。アメリカが他国への影響力を捨て、自国を最優先させる頃。これがぶつかるのが二千五十年頃だと私は考えています。まあ、これは私が考える中でも最悪のケース。信じられないという方ばかりでしょう。それでは現実的に起こりうるケースをお話します。日本は二千四十年頃人口一億人を割り、少子化が解決されることも、世界的な企業が生まれることもなく衰退の一途。中国では、少数民族の迫害や人権侵害などで国内の不満や世界的な批判が高まり、中国共産党の独裁が難しくなりつつも、豊富な資金力で日本の土地や企業を多く買収。日本への影響力を強めていく。アメリカは政治的分断、格差の拡大など国内の問題が山積みとなり、ナショナリズムが台頭。トランプを超える自国第一主義の大統領が誕生し、世界中の米軍基地を少しずつ縮小させていく。もちろん日本も例外ではないですが、太平洋の防波堤として重要な位置であることは変わりないので、撤退はしないものの予算は徐々に減少。そんな中で、中国が米軍基地付近に武器や兵器の製造が可能な工場を建設したら?表向きは通常の工業地帯だったとしても、そこに勤めている人が中国の元軍人で、いつでも戦闘可能な能力があるとしたら?合法的に買われた土地で、合法的に商売されていたら政府は何も言えないでしょう。しかし、アメリカから何かしらの圧力がかけられることは明白。かと言って、すでに日本国内に大量進出してきた中国の意向も無視できないとなると、互いの圧力の中で板挟みになりながら、日本は自国のために何も身動きが取れず、その緊張の糸が切れるまでジリ貧の中、衰退し続けることになるでしょう。どうです?先程の話よりは現実的でしょう?そこまでいって初めて、この国は大きく変わるのでしょう。中東や東南アジアの国から大量に移民を受け入れ、人口ボーナスを持ちなんとか耐え凌ぐか。はたまた、朝鮮半島のように日本も東西で分断され、中国とアメリカとの代理戦争の現場となるか。そこまでの未来は私には見えませんが、良いも悪いも含めて、その頃に日本が大きく変わることは間違いないと思っています。その動乱が落ち着き一定の生活が戻るようになれば、また時を辿り、明治維新や、高度経済成長期のような時代が訪れるかもしれません。しかし皆さん。そこまで待てますか?私は今四十三歳です。二千五十年には七十ですが、まだ平均寿命にも到達していない。さらに、人生百年時代なんて言われていますから、そこから三十年間生きるわけです。老いていきながら。それまで、少しずつですが、確実に衰退しながら他国に侵略されていく日本をただ眺めていられますか。否!そんな人生など私達が生まれた頃に描いたものではないはずです。二千五十年に変革が起こるならその頃の若者に任せれば良い。そんな声が聞こえてきそうですが、その頃動き出していてはもう遅い。黒船来航でも敗戦でも、当時の日本人は懸命に戦いましたが、変革がもたらされてから戦っていてはもう遅い。加えて、日本は天災大国です。数年に一度は水害が発生し大洪水を起こしますし、南海トラフ、首都直下型地震、富士山噴火という爆弾を抱えています。これらが二千五十年までに起こらないとは言い切れない。万が一、併発でもしてしまえば他国にとっては絶好の攻め時でしょう。それに先程も申しましたが、その頃私はもう七十歳です。今より体力も情熱も衰えているでしょう。そう。私は自分の手で、日本をなんとかしたい。そして私の年齢においても、日本の寿命においても、皆さんが思っているより、タイムリミットは近い。やるならば今しかないのです。ようやく本題に入りましょう。日本を救う方法。それはこの国を崩壊させることです。いや、降伏させると言った方が正しいでしょうか。私は日本最大級のオンラインサロンであるプラダを運営しております。その会員数は先日百万人を突破致しました。プランにもよりますが毎月千円以上の会費を払って頂き、我々のコミュニティの一員としてお迎えしています。これまで彼らと一緒に様々なエンタメを世に発信してきました。宗教じみていると言われることもありましたが、その一部は皆様も映画や演劇、アニメーション等でご覧になっているかと思います。さらには飲食、娯楽施設等のサービス業、通信インフラの整備事業など、公にしていないものを含めれば皆様の生活に深く関わっているものまで手広く取り組んでいます。なにせ有り難いことに百万人の会員様がいらっしゃいますから、生産能力は上場企業とさして変わらないと自負しております。しかし、上場企業と違うのは、給料という対価で集っているのではなく、ある哲学と野望をもって集っているということです。それが、若者のための独立した自治区を日本国内に生み出すこと。これは、そんなおとぎ話を現実にするお話です。皆様の幸福のために」