09 整理
よろしくお願いします。
退社した翌日からは泥の様に眠る日々を過ごし一週間が経った。
【立つ鳥跡を濁さず】と言うが俺は【発つ鳥】だとずっと思っていた。
そう、俺の偏差値はそんな程度だ。
8月いっぱいは毎日の放射線治療が行われるが、ほぼ午前中だけで終わるので時間に余裕は出来たがやる事が有る。
まずは身の回りを整理だ、所謂、終活だな。
まずは大型ごみを方付ける算段をして戸別回収の段ボールなどを纏めると、もうそれだけで疲れ切ってしまう。
30歳過ぎまで特に運動もせずに居たものだから体力の低下は著しい。
ことのほか面倒で金も掛かって大変なのがパソコンだ。
何せ古いパソコンが数台押し入れに眠っているのだ。
小さいノートから普通のデスクトップまで合計5台。
その内新品で買ったのはノートPCの2台のみで、あとはオークションで買ったいじって遊ぶ為のデスクトップPCだった。
リサイクル料金だけでも3000円 x 5台 =15000円、まぁそれは良い。
問題なのはHDDの中のデータだ。
基本は自分で消去なり、サルベージ出来ない様に壊すなりするのだろうけど、まず起動したのがノートPCだけ。
残りのデスクトップ3台はウンともスンとも言わない。
ノートPC1台は現役で使ってるのでとりあえずは処分せずにこのままで、もう一台のノートはHDDをリカバリしてデータは消去し、起動しない3台はHDDを取り外してノートPCに接続し初期化してから元に戻してリサイクルショップへ持って行く事にした。
しかし後日リサイクルショップで買い取ってもらえたのはノート1台のみで、あとの3台はゴミとの判定。
そしてそのゴミは後日、回収業者へ引き渡す事になった。
実に面倒くさい。
他にもリサイクルショップへ買い取り依頼する物として家電、電気機器が少なからずある。
買い替えで使わなくなった3合炊き炊飯器とIHクッキングヒーター。
買ったが全く使えなかったハロゲンヒーターに自家用コーヒーサーバー。
壊れて使わなくなった布団乾燥機やPS3。
などなど…
これらはPCとは別のリサイクル業者に来てもらい引き取り可能な物を持って行ってもらう事に。
そして服も結構の量がスペースを侵食していた。
これって貧乏性の表れなんだろうな。
まずは履けなくなったジーンズを引っこ抜く。
高校時代からすると身長は変わらないものの、体重で10kg増えていた。
腹周りにはしっかりと赤ちゃん一人が入って居そうな丸みが有った。
それでも高校時代のジーンズを捨てずに残っているとは、恐るべし貧乏性。
貧乏性で言えば、もっと凄いのが小学生の頃に使っていた箸を未だに持っている事だ。
当時母がデパートで俺用にと買ってくれた事を覚えている。
選んだのは自分だったので初めて自分で選んで買った物だったのが嬉しかった。
その為だろうか、今回も捨てる気にはならず、キッチンの箸やスプーンなどを入れる空き瓶を利用した箸立てに居れたままだ。
そしてジーンズは10本ほど捨てる事にした。
残るジーンズは4本だが、高校当時から計14本と思うと元貧乏人の俺には多すぎると感じた。
要は履けなくなってどんどん買い増ししたって証拠か…
他にもシャツはサイズが合うものだけをピックアップし、後は処分決定。
あと似た様なのが結構有ったのでデザイン被りも1着だけ残して処分。
靴なんかは元々多くないのでそのままで良いかな。
有るのはデッキシューズとハイカットのコンバースに通勤用の革靴2つ、それだけだ。
お洒落は足元からと言うが、俺からすればこれだけで十分だった。
そんなこんなで大分処分したが一番厄介なのが思い出の品。
例えば子供時代からの写真やら文集やら学校行事のものが結構有った。
こんなもの誰に見せるでも無くただ存在してるだけだったので捨てても良いんだが、この先もっと具合が悪くなった時、そう気持ちが沈んだ時にこれらを見て過去を思い出し、そして一言『十分楽しかったな』と言う日が来るだろうと残す事にした。
趣味の物とか生活用品などは手を付けずにそのままにした。
そしてほぼ方付いたと思う。
翌日。
住んでるマンションの大家さんに会い、自分の状況を伝えた。
そして最後まで住み続ける事を了承してもらい、遺品は処分して貰う様にお願いした。
一応敷金は入っているが、処分費用は掛かるだろうから10万円ほど先に渡しておいた。
これで取りあえず残りの余生でも満喫するかな、と一人で飲みに行った。
不定期投稿で基本的に1週間に1話以上を考えてます。