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67 ホワイトデー

よろしくお願いします。



 1週間ほど前、看護師からあの人が寝ていたベッドの備え付け金庫の中からメモの様なものが残っていたと言う事で確認して欲しいと言われそのメモを受け取った。

 それは確かにあの人の字でメモが書かれていた。


「美成へ、コレはスマホのピンコードです。3/14になったらこれでスマホを開いて下さい」


 とだけ書かれていて、続けて数桁の数字が並んでいた。

 これを受け取りまずは康介のスマホの充電をして置き、当日になったら由貴と一緒にスマホを開く事にした。




 3月14日 ホワイトデー


 今月に入り由貴の病状はさらに悪化していた。

 今は殆どベッドから起き上がれない状況だ。

 食べ物はほぼ流動食の様な柔らかいものになっているが、康介の時の様な管や線に繋がれるようにはなっていなかった。


「由貴、起きてたのね」

「うん、さっき美成が来た時に目が覚めたの」

「あら、起こしちゃった?」

「そうかも、目覚まし美成ちゃん」

「なにそれ、売れそう、アハハハ」


 少しでも笑って貰える様に美成は自分から笑って見せた。


「由貴、今日何の日だかわかる?」

「うん、パイの日」

 予想外の答えが返って来て美成は反応に遅れた。


「え?何それ?いやなんか分からないけど気になるぅ」

「フフフ、実はこの間弟のスマホ借りて3/14を調べたら出て来たの」

「でもパイってあのアップルパイとかの?」

「そうじゃなくて円周率って3.14でしょ?その数字から記念日になったみたい」

 この手の記念日は幾らでも有るのだが、一般的に知れ渡って無いものを挙げられて、なるほどと言う顔をして掌に拳をポンっと置いた。



「うん、そうだよね、ってそのπかぁ、由貴が下ネタ言ってるのかと思ったよぉ」

「嫌いじゃないけどね、フフフ」

 由貴はコウスケの下ネタ攻撃に大笑いするタイプだった。



「そうじゃなくて、今日はホワイトデーだからその話題をしたかったんだけどなぁ」

「ハイハイ、で何か貰ったの?コウスケに」

「うん、まぁ中身はまだ分からないんだけどあの人のスマホのピンコードをゲットしました!」

「おぉ~、覗き見出来るのね」

 そしてベッドを斜めに起こし、スマホを見やすい様に調整する。


「さて行くよ~」

 と言ってピンコードを入力し画面を開いた。

 特に仕掛けが有るわけでも無く、ただ単にスマホが見れる状態になっただけなので、取り合えず連絡先一覧を覗く。


「へぇ~結構いっぱい登録されてるけど会社の人かな?」

「そうみたいだねぇグループ分けもしてないから分からないねぇ」

 フリーランスをやっていた為あちこちで名刺をもらい場合によっては後日連絡を取り合う事も有ったので、取り合えず登録したけどそれっきりと言う人は多かった。


「あたしなんか会社の人って課長位しか登録してないよぉ」

「美成は事務職だからじゃない?」

「あぁ、そうかもねぇ」

 そう言って連絡先を辿って行くと自分の名前が有り興奮する由貴。

「え~わたしの番号自宅のだよ~って、そうか携帯の方は教えて無かったんだっけ」

「そうそう、何度も説得したのに頑固だったからね~あんた」

「なんかもう懐かしいね」


 この後メールを勝手に読み漁るが特に色恋沙汰のメールは見当たらなかった。

 恐らくそれは見られる事を予想して削除したのだろう。


 そして最後に画像フォルダを漁った。

 そこには恐らく古い携帯で撮った写真も移して保存している様で古い順にソートされていて一番古いので約10年前だった。それはちょうど由貴と別れた後くらいからだった。



 写真のほとんどは風景や車で人物は無くカメラ好きと言う事は二人とも知っていたのでその事には納得していた。


 時代を追って行き、つい最近の画像を開くとそこには初の人物が映っていた。

「あ~、美成映ってるよぉ~」

「ホントだ、ってコレ京都行った時のヤツだ」

 それは何やら金閣寺を背にスマホ片手にあたふたしている美成の様子だった。


「良いなぁ、わたし結局コウスケとは遠くに行く事は無かったからなぁ」

 実際出掛ける事が無かった分けでは無いが伊豆方面など割と近場が多かったので確かに旅行と言えるような遠出は無かった。


「そう言えばバイクで富士山周って来たって言ってたわよね」

「あ~うん、行って来たよグルっと」

「それ有るかな?」

 そう言って更にフォルダの中の画像を開いて行く。

「あったぁ、これまた美成だよねぇ」

 富士山をバックにこれまた美成がスマホ片手に木道の様な所であたふたしていた」


「ねぇ、何で美成がバタバタしてる写真ばかりなの?」

「え~知らないよぉ、でも、なんか馬鹿にされてる様な気もする」

 美成はそう言って口を尖らせた。


 枚数は少ないが映っていたのはどれも美成のドタバタ写真だった。


 そして更にフォルダ内を見ていくとそこには病室の写真が残っていた。

 それは恐らく気づかれない様に隠し撮りしたものだと分かるものばかりだった。

「これって盗撮?」

「由貴の映ってるのはまさに盗撮だね」

 そう、由貴の寝顔だったり廊下を歩く後ろ姿だったり、床から見上げる様なアングルだったりと完全に気づかれない様に撮ったものだった。

 そこには由貴だけではなく当然美成の写真も同じ様に撮られていた。


 ただ…

「でも由貴、なんか綺麗、良い感じの写真じゃない?」

「う~ん、そう?美成の方が綺麗に見えるけど?」

「なんか入院中の感じしないよね」

「そうね、なんか楽し気な雰囲気しか無いわね」

 そこで二人は気づいた。

「これがホワイトデーのプレゼントだったのかも…」


 そこには由貴の家族と美成の皆で笑っている写真も有った。

 一つ残念なのは康介本人の映った写真は一つも無かった事だ。


 そして最後まで全て見終わると二人の目が合い軽く微笑んだ。


「最高のプレゼントだったわ、ありがと美成」

「あたしも、ありがと、こんなに綺麗な写真初めてかも」

 そして二人で…



「ありがとコウスケ」「ありがとう康介」



由貴のスマホが壊れたと言う設定ストーリーをどこかに入れたつもりがそっくり抜け落ちてしまったみたいです(><)

完結後にその他の部分も合わせて修正していくつもりなので

完結の半年後とかにもう一度読んで貰えたら有難いです。

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