表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/71

57 外出

遅くなりました、よろしくお願いします。

あまり話が膨らまなかった(><)



 1月も後半になり、体の異変は確実に癌の進行を示していた。

 そして昨日、担当医から言われた事が有る、それはそろそろ体の自由が効かなくなる恐れがあるとの事だ。


 それは抗がん剤の影響と、肝臓の機能低下、それと激しい痛みが多くなり使用する鎮痛剤の影響、そして効果を上げる為に安定剤も使うので寝ている時間も多くなる。

 その結果、自ずと行動が制限されて行くと言う事らしい。


 実の所、院内を移動するだけでも少し息を切らしている事も有り、看護師からは車いすを使う様に言われるくらいだ。



 由貴は由貴で、やはり癌が進行しているらしく、今週は俺の病室へ来る時間が減っている。

 それは仕方のない事なので何も言う事は無いが、彼女の方もどうやら痛みが出始めたらしく、苦しむ所を見せない様にしているみたいだ。


 美成はその二人の病室を行き来し、世話をして回っている。


 そして今朝、病院に着いたばかりの美成に有る頼み事をした。

 それは以前、美成と行った海沿いに有るカフェレストランの一押しメニューであるビーフシチューをテイクアウトして来て欲しいと頼んだのだ。

 恐らくテイクアウトなどしていない筈なので行って直ぐに持って来れる事も無いだろうと敢えてお願いしたのだ。

 そして美成は来たばかりの病室を直ぐに出て行った。


「よし」

 俺は自分に気合を入れベッドの周りをカーテンで囲い、静かに着替えた。

 そして看護師に見られない様に例の階段を使って病院を出る事に成功した。

 行ってしまえば脱走だ。

 ちゃんと申請すれば恐らく外出許可は出るだろう、しかしそれでは美成や由貴にも分かってしまうので敢えて脱走をしたのだ。


 俺の検査は午後からで、由貴は午前中一杯検査だと言ってたし、美成もお使いに出てる今こそチャンスなのだ。

 何をするのかと言うと買い物だ、病院の玄関前に客待ちしているタクシーに乗り込み移動する。


 お目当ての店の前でタクシーを降りて店に入る、店名にはジュエリーなんちゃらと何語かすら分から無い名前が書いてあった。

 今日のお目当ては指輪を買うのだ。

 これはまず、美成に事実婚の妻としての指輪と、由貴へは叶わなかった結婚への償いの様な意味合いでの指輪を送るつもりだった。


 しかし、指輪のサイズが分からない、そこで店員さんの指で色々試し凡そのサイズで指定した。

 色々注文して作っている時間は無いのでショーケースに並んでいる中から選ぶ事にする。

 そして選んだのが、まず由貴への指輪としてメインのダイヤの周りを放射状に小さなダイヤで飾る、雪の結晶をイメージさせる物だ、まぁ由貴と雪を掛けた発想が後で色々言われそうだが、俺のセンスはこんなものだ仕方ない。

 美成への指輪は小さめのダイヤでSを横倒しにした様に並べて、その周りにも小さいダイヤを散りばめたちょっと派手な感じの指輪を選んだ、Sの字だが見様によっては∞にも見えてこの先未来永劫を思わせる作りのモノを選んだ。


 その二つを別々に包んで貰い再びタクシーで病院へ戻ると昼食前に間に合った。

 つまり看護師や美成と由貴にもバレずに戻れたのでそそくさと指輪の入った包みを金庫へ仕舞った。


 昼食を食べ終えた頃、指輪を渡すタイミングを考えていると美成がやって来た。

「はろ~、ってもう食べ終えちゃった?どうする?これ」

 そう言って手に持っていた紙袋を掲げて見せた、例のビーフシチューを本当にテイクアウトしてきたのだ、てっきり断られて暗い顔して戻ってくると思っていたが全く逆だった。


「良くテイクアウト出来たなぁ、凄い凄いわ~パチパチ」

 とワザとらしく喜んで迎い入れる。

 美成はタッパーを用意して行ったのだが、あちらで蓋つきの容器が有ったのと偶々なのか保温材まで有ったらしく1人前だけだけど温かいまま持って来れた様だ。


「これテイクアウト用に用意してたのかな?」

「どうだろうねぇ、あたしもここまでしてくれるとは思ってなかったもの」

 そう言ってベッドのテーブルを出し器をそこにおいて、美成は由貴を呼びに行った。


 由貴は美成に腕組みしてやって来た、やはり辛いのだろう。

「由貴、しんどいなら無理しなくても良いぞ、大丈夫か?」

「うん、まだそれほどじゃ無いから」


 椅子では大変だろうとベッドへ入る様に勧めると女子2人が慌て始めアワアワする。

 まぁお互い納得ずくだとしても目の前でイチャイチャされるのはお互い嫌なのだろう。

「あぁ、俺が椅子に座るからさ俺は今日調子良いから」

 そう言うと由貴はベッドに入って行った、そしてその後を追って何故か美成もベッドイン。

 2人でキャッキャ言いながらお目当てのビーフシチューの蓋を開けた。

 ふわぁ~っと良い匂いが部屋中に充満して行くのが分かるくらい美味そうな匂いが溢れた。


 これであの店のマスターへの約束も果たせたかな、と思いながら再び指輪を渡すタイミングについて考えていた。


不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ