55 3人の日々
遅くなりました!
よろしくお願いします。
由貴の告白から1週間。
2人は俺のベッド脇で過ごすのが日課となっている。
たまに同室の患者さんとも話していたが、つい先日めでたく退院していった。
そして今は長期入院患者は俺だけとなり、寂しくなった部屋には3人の声が響き渡っていた。
「ねぇ由貴、以前この人と思い出の場所巡りしたのね、その時に港の近くのベンチを見に行ったの、そこ覚えてる?」
「あぁ、あそこのベンチね、覚えてるわよ」
ちょっとその話題は避けたいが止めても無理だろうから諦めるか。
「ねぇ、どんな事してたのぉ?教えてよぉ~」
美成が不敵な笑みを浮かべながら由貴を肘でツンツンする。
「え~別に何にもないよぉ、普通に座って喋ってただけ、ね?コウスケ」
「あ、ああ、普通に喋ってただけ、うん」
「うっそだぁ~、この前行った時のあの表情は絶対喋ってただけじゃ無いって感じだったよ」
俺は由貴にアイコンタクトで話して良いか問いかけると、ハァと溜息をついてコクッと頷いた。
「しょうがない、俺から言うよ、あそこがファーストキスの場所だったんだよ」
「や~、やっぱりそうだったのね、でも、それだけじゃ無いんでしょ?」
どうもその先の話を聞き出そうとしてるのを察知してか由貴が少し話を逸らそうと試みる。
「あ、あの時コウスケ変な座り方してたよね、あれは何で?」
由貴の問いに美成はキョトンとして俺の反応を待って居る。
「あ~あれは、言わなかったっけ?より密着する為の作戦だったんだけど」
「何々?どんな風に?」
何やら美成が食いついた、これ位は話しても良いだろうと思い、ベッドをベンチに見立てて実際にやってみた、相手は美成で俺の右側に座らせた。
ベンチに座ってから美成側の片足、つまり右足をベンチの上に置き、足を90度彼女の方へ開いて即席の背もたれを作っていたのだ。
そして彼女はそこへ背中を預けると、正面を向いて肩を抱くよりも密着度が数倍増し、それが後々の進展へ寄与したのは間違いない、だろう…。
「どう?こんな感じだけど」
美成はちょっと照れくさそうに立ち上がり来客用の椅子に戻った。
「ヤバいって、これは…」
何やら興奮しちゃったのかな?
「由貴はこれで座ってたの?」
「うん、それまでが結構時間掛かっちゃったから、やっとお互いの距離が縮んだ気がして嬉しかったかなぁ」
「あたしだったら走って逃げちゃったかも…」
基本的に奥手な美成なので、当時ならそうだったのかもしれない。
「由貴は寝たふりとかしてたしな」
「え~なんでぇ?」
「あれは押しが弱いコウスケにチャンスを与えようと寝たふりしたんですぅ~、結局何もしてこなかったけど、プクク」
何か俺の弱点が暴露された気がする。
暫くの沈黙の後、由貴が懐かしそうに話し始めた。
「あそこに行ったのかぁ、わたしも気になってたんだけど行く機会が無かったし行っても思い出すだけだし、やっぱり忘れようとしてたんだよね」
「俺も10年ぶりに行ったからな、良く残ってたよ」
「なんか悔しい…あたしそんな経験無いから…」
と、美成が言った一言から今度は美成の男性遍歴を追及する場となった。
とは言え、美成はそれ程感動的でも劇的でも無い、アッサリとした交際が有った事を暴露した。
美成の相手だった男は美成の友達の紹介で知り合い、半年ほどお友達として交流しその後交際を始めたらしい。
しかし、デートをしても行先は会社の帰りに食事するとか、某ランドに行ったとか、お祭りに行ったとかそれくらいで感動的な事は無かったらしい。
交際してからも初めてのエッチはあっさりとしたもので、ホテルに入る際も「行こうか?」「うん」と言う程度で特に盛り上がる部分も無く行ったそうだ。
「あたしがイケないのかも知れないけど、男なら何かもっと盛り上げて欲しいよね?」
「コウスケもそんな感じだよ?男ってそれ程ロマンチストじゃないから」
「色々頑張った筈なんだけどなぁ」
俺の努力は泡と消え、3人での交友関係をネタにこの日は夜まで盛り上がっていた。
不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。




