49 ついに…
よろしくお願いします。
俺の異変に慌てながらも美成はロビーへ連絡し救急車を呼んだ。
程無くして到着した救急車に意識の無いままの俺と美成が乗せられ走り出した。
美成はいざと言う時の為に用意していた担当医から預かった封書を開け救急隊員に見せた。
中には手紙とカルテのコピーが入って居た。
病院に到着すると既に医師が待ち構えていて、先程の手紙とカルテを隊員から受け取る。
この時は既に意識は無く痛みを訴える状況ではなかったので、そのままICUへ運ばれ何やら投薬や心電図の様な機器の設置が行われ、しばらくして美成の元へ医師がやって来た。
「今は意識が無く、その為か大きな症状が出ていないのでしばらく様子を見る必要が有ります」
「はい、彼は大丈夫なんですか?」
「掛かりつけ医のカルテによると今まで特に痛みが出ていなかったと有るので、恐らく急な激しい痛みで体の方が参ってしまったんだと思います、今の様子だと恐らく痛みも無くなっているんでは無いでしょうか」
「良かったぁ…」
美成は初めての救急車と救急外来で自分自身もへとへとだった。
「兎に角今晩は入院してもらい、明日様子を見て対応を考えましょう」
「はい、有難うございます」
美成は深々とお辞儀をして再びICUへ入って行った。
そして一晩ベッドの横で手を繋ぎながら俺が目覚めるのを待っていた。
「あれ?」
俺は状況を把握しようと辺りを見回した。
どうやら病院のベッドだと言う事は分かった、そして美成が手を握ったまま寝ていた。
「こう言う時は起こさない方が良いんだっけ?あ、ナースコールはしなきゃダメか」
そしてナースコールの押しボタンを押した。
応答を待って居たがそれよりも先に廊下をパタパタと速足でやってくる人たちの方が早かった。
そしてその音に反応して美成も目を覚ました。
「あ、起こしちゃった?」
「…あぁ~良かったぁ~」
と、しがみ付いて来た所に医師たちが到着した。
医師は美成を引き剥がし一通り検査をしてから事情を話してくれた。
「貴方は激しい痛みの所為で失神したんだと思われますが、今は痛みは有りますか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうですか、分かりました、昨日掛かりつけの担当医に連絡しまして、いつでも入院出来る様に手配して有るとの事でしたがどうしますか?」
「どうって?」
「体調がすぐれないのであれば2,3日こちらで入院してその後転院するか、または今日、あちらに転院しても大丈夫そうですが?」
「どっちを取っても入院なんですね」
「流石に激しい痛みが出た後なのでその辺は覚悟して下さい」
「分かりました、今日転院します」
「承知しました、手続きは後程」
「有難うございます」
一通りのやり取りが終わるのを待って居た美成が再びしがみ付いて来た。
「本当に良かったぁ…」
「ゴメン…でも美成が居て良かったよ、ありがとう」
「うん」
笑顔になった美成は涙を拭って更に笑った。
その後病院での手続きと、昨日泊まり損なったホテルのチェックアウトも美成が全てやってくれた。
もし俺一人だったらどうなっていただろうかと思い心から感謝した。
そして特急ひだと新幹線を乗り継ぎ地元の病院へ直行した。
いつもの病院に到着し、そのまま病棟へ連行された。
「とうとう入院かぁ」
「しょうがないじゃない、また痛み出たら嫌でしょ?」
恐らくこれからは痛みが頻繁に襲ってくるだろうな。
「じゃあ、あたし一旦帰るから」
「ああ、助かったよ」
「じゃあね」
と言って去って行ったが内心複雑なんだろう、どう対応していいか分からないって感じだな。
入院着に着替えベッドに入る。
「あ、小銭が無い、テレビ見れないじゃん」
多分小銭じゃ昨今のテレビは見れないし、イヤホン無いと音も聞けないんだよな、と後から気づいた。
夜になって美成が再び訪れた。
「少しは元気になった?」
「あぁ、痛みは無いから安心して」
「そう、良かった」
美成は持ってきた着替えやら何やらをベッドの下の引き出しに仕舞い椅子に腰かける。
「ホントに死んじゃうかと思った…」
「ゴメンな、俺も死ぬかと思ったくらいだからな、ハハハ」
「笑い事じゃないよ、本当にどうしていいか分からなかったんだから」
「でもちゃんと病院のベッドの上に居たんだから心から助かったぁ~って思ったよ」
「救急車呼んでって言われたから出来ただけだし…」
「俺もこれは救急車呼ばないとダメなヤツだって直感したから、ハハハ」
世の中には救急車を自分の判断で呼べない人も居ると言うが、この手の修羅場未経験だと中々119を押すのが難しいんだろうな。
とは言え経験した方が良いとも言えないが…
こうして入院生活が始まった。
不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。




