46 最後の酒めぐり①
よろしくお願いします。
飛騨の高山へ行く事を決めてから1週間。
朝の6時から新幹線に乗り込んで飛騨高山へ向かう、移動は電車だ。
名古屋で特急ひだに乗り換え更に2時間半、10時過ぎに目的地の高山に到着。
「やっと着いた~ってか雪積もってるよ」
と言って大きく手を空へ向け伸ばし、背を逸らして顔をしかめる美成。
首都圏では雪はまだまだ先な感じなので完全防備してきて正解だった、それ程寒くは無い。
「車で来てたら大変だったかもな」
「あの車、普通のタイヤだったから運転はあたしじゃ無理だったかも」
「夏用タイヤで数センチの雪道走って進めなくなった経験も有ったからな、電車にして正解」
そんな感じで到着後の感想を言いながら駅の東口を出て少し離れた先に有る川へ向かう。
駅前の歩道にも雪が積もっているので普通のスニーカーでも少々歩きづらい。
それでもメインストリートと思われるこちらの歩道には屋根が付いてるので目的地までは安心して歩いて行けた。
そして到着したのは宮川と言う川に沿って並ぶ出店の列、有名な宮川朝市だ。
早朝に出発したのはこの朝市に間に合わせる為であった。
宮川に掛かる橋の上に変な像が有り二人で笑いながら写真を撮った。
「何これ?足なが変なおじさん?それと手なが怒ったおじさん?アハハ」
「確かコレ夫婦だぞ、足長像と手長像って書いてあったと思うけど」
この手の意味不明な像は観光地には何処にでも有るものだ。
朝市の出店を眺めては通り過ぎる、地元の民芸品などの店と食べ歩き向けの店が混在する。
正直民芸品には興味が無いが食べ歩きには興味津々で色々眺めては考え直し先へ進む。
そしてとある店に釘付けになった。
「美成、何だこれ?黄色いキューブ?」
「何か美味しそう、食べる?」
黄色い5cm程の四角い食べ物を鉄板の上で焼いている、甘い香りが食欲を引きずり出していく。
「おわら玉天だってさ、食べ歩き1個目って事で買ってくるよ」
そう言って5名ほど並んでいる列に続いて並んだ。
購入時にどんなモノなのか聞くと、卵白を何かして上手く焼くとこうなるらしい。
そして食べ歩き向けの1個売りを2人分買い、美成にひとつ渡した。
「うわぁ、手袋してても結構熱いわよコレ」
俺はキューブの角を少しだけかじり取った。
「あっちぃ、コレ冷まさないと火傷しそうだ」
俺の横で美成が一生懸命フーフーし始めた。
俺は中身を冷ます為に表面の熱くない部分を摘まんでめくると中は真っ白で湯気が一気に上がった。
「これは熱そうで美味そうだ」
「あ~早く食べたい! フーフー」
まだフーフーしてる。
めくりあげた皮の部分を食べると、その柔らかさと甘さで声を上げずには居られなかった。
「うめぇ~コレ、すげ~あめ~」
「ホント?じゃ~あたしも…ってあっつ~い、でもあま~い、ムフフ」
2人して1辺5cm程の黄色いキューブに感動していた。
他にも串焼きや串団子等を食し、あまり満腹にならない内に撤収した。
そう、この後が本命の酒蔵めぐりなのだ。
少し歩いて古めかしい【古い町並】と書かれた通りに出ると既に人がいっぱいだ。
「うわぁ。壁が黒っぽいのって今風の家には無いよね?」
「現代の家でも黒い壁ってたまに見かけるけど、これは焼いた色かな?虫が付かなくなるとか聞いた様な気がする」
「へぇ~」
通り沿いに数件の酒蔵が有るので一軒づつ覗いて行く。
酒蔵めぐりを始めた俺たちだが、その話はまたの機会にしよう。
数件の酒蔵を巡った所で少し口を休める事にした。
いや正確には口を使う事になった。
進む先に何やら数人の行列が出来ていたので、ふと看板に目をやると【握り寿司】と書いてある。
そこで思い出した。
「そうだ、飛騨牛の握り寿司が有るらしいよ」
「あたしも見た見た、食べてみようよ」
「そうだな、え~っと結構混んでるな」
とは言え10人未満の列だが反対側にも同じような店が有った。
「あれ?こっち元祖って書いてあるよ」
「パクられたって事か?よし元祖にしよう」
元祖の方が客が少なく直ぐに順番が来た。
「2人前お願いします」
すると丸いえびせんの上に握りが2貫、それを二つ受け取り人の居ない脇の方へ移り美成へ手渡す。
「え~コレどう見ても完全に生なんだけど大丈夫かな?」
「牛だから大丈夫でしょ?ただ俺はあまり生々しいときついかも」
「買っちゃたんだから行くよ~ せ~の!」
2人共1貫を一口で一気に行った。
「う~ん、どうなの?コレ、美味しいって言うのかな?」
「どうかなぁ、グルメじゃないから良く分からん」
そもそも牛肉をレアで食べたのなんか初めてなので何と言っていいのやら…
取りあえず残りの握りも完食し、もうじきお昼なのでちょっと一休みしようと喫茶店を探す。
まぁ食事はせず飲む事になるのだが、そこは口直しと言う事で。
しばらく歩くとお目当ての喫茶店が有った。
不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。
酒の話は長くなりそうなのでカットしました(^^;




