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37 思い出の場所を巡る①

半日遅れましたが、よろしくお願いします。



 朝からカメラの準備と行先のチェックをして車に乗り込む。

 当然助手席だ、一応病人なんでね。


「まずは学校巡りかな、高校から遡ろうか」

「OK、勝手知ったるわが母校ね」


 家から車で10分程で川沿いの母校に到着、学校の事務所に見学の了解を得て学校を一回りする。

 校舎自体はほぼ同じ様に見えるが体育館やら部室棟などが明らかに新しい。


「俺の時代はもっとボロかったのになぁ」

「え?運動部だったっけ?」

「違うよ軽音部」

「じゃあ部室棟関係ないじゃん」

「まぁそうなんだけどね、なんかちょっとだけ損した気分で…」

 他にも色々変わってるがやはり一番の変わった部分は校名だろうな。

 公立高校は結構合併で名前が変わって居たりする。


「運動場とか中庭はそのままだったね」

「変える必要が無いだけだろ」

「だろうねぇ、教室は見て行く?」

「いや、やめておこう、今の生徒のプライバシー侵害になるかもしれん」

「世知辛い世の中になったもんだねぇ」

「多分入っても過去の思い出に繋がる様な物は無いだろうからな」

 何かあったら俺だけでなく許可出した事務所の人も大変な事になりそうだしね。


「何か傷跡付けたりしなかった?机掘ったりトイレのドアに落書きしたり」

「それこそ交換とか修理で跡形も無いと思うぞ」

「そうかもねぇ、合併してるから綺麗な備品に入れ替えたりしたかも」

 そんな話をしながら校舎を一周し、事務所に挨拶して次へ向かう。



 家から高校とは反対の方角に中学が有る、次は中学だ。


「あれ?この中学って変わった?いや変わってない?」

「何かおかしいの?」

「それがこの中学の記憶がほぼ出て来ない、下駄箱ここだったっけ?」

 微かな記憶は有るが、目の前の光景とまるで一致しないのだ。


「それってもしかして不登校だったとか?」

「そんな事は無いって、ちゃんと通ってたよぉ」

「もぅお爺ちゃんなんだからぁ」

 からかわれながら周りを見回すと直ぐ近くの商店に目が止まる。


「あぁこの店今でも有るんだぁ」

「何の店?」

「これ学校関係のものが売ってるんだよ、文房具とか上履きとかバッジも有ったかな?何かと利用してたんだよ」

「あぁウチの中学の近くにも有ったよそういうお店」

 こんな感じで学校の外で盛り上がっていたのには理由が有った。

 校内は見学させて貰えなかったのだ。

 これも時代だなぁ


 取りあえず外周の道路を一周してみるが記憶が曖昧どころかすっぽり抜け落ちた位に記憶が無いので写真を撮る事も無く終了した。


 次は小学校だ、だがこちらも中学校同様内部の見学はダメだった。

 学校巡りはまぁ失敗に終わった感じだ。



「次はどうする?」

「じゃあ俺の生まれた所行くか」

「行こう!案内して」

「任せろ」

 そう言って漁港の方へ向かった。


 とは言え、生まれた当時のアパートは既に無くマンションが建っている。

 周辺を軽くドライブし川沿いに海へ出た所で車を止め降りた。


「あぁ、あたしココ初めてかも」

「そう?普通はあまり来ない所なんだろうね」

「そうかも」

「ココは俺がまだ物心付く前に良く来てたらしい」

「1人で?」

 おいおい、物心付く前のガキが一人で来るか?とツッコミたい。


「いやいや、親に連れて来られたんだよ」

「さっきの家の有った所から歩いて来るの?」

 歩いて10分くらいは掛かるだろう。


「そうらしい。昔から子供が泣き喚くと文句を言う人って居たらしくて、その度に抱えてここまで来てあやしたってお袋が言ってた」

「へぇ、でも海の近くに住めるって憧れるなぁ」

「それは俺も有る」


 そんな話をしながら防波堤の内側に有る空き地に据え付けられたベンチに2人で座る。


 海風が強く当たるこの場所で暫く沈黙が続く。

 俺が何かを思い出し感慨に耽っているのを察知してか、彼女は黙ったままそっと寄り添う。

 立ち上がりベンチの正面、堤防に背中を預けベンチに座ったままの彼女を見ると、ふと元カノとダブらせている事に気づいた。


 そして俺の記憶も鮮明に蘇る。

 ここは、元カノとの思い出の場所でもあった。

 この何処にでも有りそうな背もたれの無いただのベンチ。

 その背もたれが無い事で、より一層親密度と密着度が増したのだ。




不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。

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