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35 「ガンッ」と「シュワッ」

よろしくお願いします。




「どういうルートで行く?」

 流れで箱根ドライブする事になったが…


「う~ん、ゆったり走れるコースにしようか」

「じゃあ、またグーグル先生にお願いする?」

「いやナビは俺がするよ、勝手知ったる箱根の道」

「おお、走り屋の血が騒ぎますかぁ?」

「まぁ程々にはな」

 内心、楽しくて仕方ない。


「じゃあルート教えて」

「今日は有料コースで行こう、まずはターンパイクに向かって」

「アイアイサー」

 なんか古い…


 ターンパイクに着くと直ぐに「オープンにしよう」と彼女が言い出す。

 仕方なくOKして屋根をエイッっと後ろへ持っていく。


「まずは大観山まで行って一度休憩にしよう」

 ココは急勾配だがカーブが緩めで結構スピードが乗ってしまうので要注意だ。

 なにが要注意なのかと言うと白バイが隠れてたりするのだ。

 彼女がガンガン走る様ならマズいが至って普通の女子の運転だ、安心して乗って居られる。


「もっと出した方が良い?」

「いやいやこれで良い、この車って後輪駆動なのは分かるよね?」

「うん、後輪が前に押し出す感じね」

「そうそう、それとエンジンが後ろに有るのも知ってるよね?」

「え?後ろに有るの?じゃ、前は空洞?」

 空洞じゃ無いけど…まぁそんな感じ。


「あちゃー知らなかったのか…」

「あい、スイマセン…」

「まぁ簡単に言うとカーブで横Gに負けると重い後ろ側が外側に滑って行くんだよ」

「あ~スピンするのね」

 お!分かってるじゃん。


「あとカーブでアクセルをガンッって踏むとスピンし易いから、踏む時はガンッじゃなくシュワッって感じで踏んで」

「ガンッとかシュワッじゃ分からないよぉ」

「じゃあ後で教えるから今はゆっくり操作して」

「りょうか~い」

 確かに分かり難いよな…


 ターンパイクの終点、大観山に到着し車を止めて一服する。

 平日と言うのに結構人が居る、特に多いのがバイクだ。


「わぁすご~い、バイクいっぱいだぁ」

「ココはバイクの聖地みたいな所だからね」

「へぇ、そうなんだぁ、小っちゃいのからデカいのまで凄いねぇ」

「車も凄いぞ、外車が多いかな」

 と言った物のどうやら彼女はバイクの方に興味深々だ。


 自販機でコーヒーを2本買い、展望台からの富士山を見る。

 ただ、日中は霞んでしまい良く見えない事の方が多いのだ、この日も見えない。


「お前バイク乗った事ある?」

「無い無い、身近に乗ってる人居ないしスクーターすら経験ない」

「今度乗ってみるか?後ろだけど」

「ほんと?乗る乗る~」

「じゃあ、今度な」

「うん」


 そう言って今度は俺の運転で芦ノ湖スカイラインへ向かう。


 箱根峠から芦ノ湖スカイラインへ入ると車の数は急に減った。

 そりゃそうか有料だし観光道路だからな。

 料金所を抜け緩やかなカーブをいくつか抜けるとレストハウスが見えてくる。

 その前にあるカーブ、通称「ヤギさんコーナー」を小気味よいシフトダウンですり抜ける。

「え?なに今の?何したの?」

「あぁATじゃあまり気にしないだろうけどギアを1段落としたんだよ」

「そうすると何か良い事あるの?」

「レースしてるわけじゃ無いから良い事って程の事は無いけど、気持ちがいい!」

 そうなのだ、この手の車に乗ってる人の多くは気持ちが良いと言う理由だけでワォーンワォーンとシフトダウンしたがるのだ。


「へぇ、それ難しい?」

「練習次第だろうね、早ければ1日で出来る様になるよ、個人差有るけどね」

 シーケンシャルATだったら簡単に出来ただろうけどこいつはMTだからな。



 そしてしばらく走りアクセルワークの「ガンッ」と「シュワッ」の違いを実際にやって見せる。

「次のコーナーの後半でアクセルをシュワッっとやってみるからね」

 そう言ってコーナー2/3程度の所でアクセルを始めじわっと後半ベカッと踏み込む。

 コーナー出口に向かってロケットの様に加速して行く感覚を体験し彼女は「うぉ~」と叫んでいた。


「今のがシュワッ!」

「そんな感じだったね」

「次はガンッって行くよ」


 次のコーナーではやはり2/3の辺りでアクセルを一気に床に付く勢いで踏み込む。

 体がシートに張り付く感じのすぐ後にギャギャーーとタイヤが悲鳴を上げ、車の後方が遠心力で外側に滑って行く。

 体に掛かる横Gが消え何となくフワッとした感覚を覚える。

「キャーー」

 今度は完全な悲鳴だ。


 直ぐにアクセルを戻しグリップを回復させるとタイヤが路面をつかみ急に車に横Gが戻り車体が左右へ振られる。

「どう?わかった?」

「何が有ったのか意味不明です…」

 だろうな。


「つまりアクセルを急に踏み込んだから、後輪が空転したんだよ」

「空回りみたいな?」

「そうそう、分かり難いかな?」

「う~ん」

 なんか考えこんじゃったな。


「じゃあ運動会のリレーなんかでコーナーまわる時思い出して」

「うん」

「勢いよくコーナーを速く走ろうとするとコケる人居るでしょ?」

「居るねぇ」

「あれと同じで地面に着いた足が外側へ滑ってしまうのでコケるのって分かる?」

「分かる分かる、あたしもコケたし」

「ハハハ、そんで車の場合は人と違って横幅有るからコケずに横に滑るわけ」

「なるほど、分かったわ」

 この例え合ってるのか自分でも分からないけど、まぁ良いや。


「でもね、本当に危険なのはその後なんだよ」

「何で?」

「後輪が滑った時ってコーナー出口とは反対の方向にハンドル切ってるのね、でもこれって大抵の人なら無意識で出来るのよ」

「あたしでも?」

「まぁ個人差はあるからね」

「そか」

 っていうかハンドルが勝手に回るんだけどね。


「で、問題はその後の対処が無意識では結構難しくて、これは経験がモノを言う部分だと思う」

「出来ないとどうなるの?」

「そのまま滑ってコースアウトかスピン、変にアクセル抜いてグリップさせるとハンドルは外側を向いてるから壁なり崖なりにツッコむ」

「ヤバいじゃん」

 経験者が語る!


「だから、グリップするタイミングに合わせてハンドルの向きを調整するんだよ」

「え~音ゲーとか苦手なんだけど出来るかなぁ」

「だからお嬢ちゃんには難しいかと思ったんだけどね」

「お嬢ちゃんとか初めて言われた、イヒヒ」

「まぁ練習すればさっきみたいに急にグリップさせてもコントロール出来る様になるし、もっと慣れればドリフトっていうずっと滑らせたままでコーナーを抜ける事も出来る様になるよ」

「なんか凄いけどそこまでは良いかな」

 そんなもんだろう、普通はね。


「じゃあ練習したいなら付き合うけどどうする?」

「それじゃそのドリフトってのは要らないけど対処法は身に付けたいかな」

「じゃあそれは今度別の場所でやろう」

 そう言って芦ノ湖スカイラインを快適な速度(個人差が有ります)で走り抜け帰宅した。


不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。

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