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34 身辺整理

よろしくお願いします。




 11月に入り毎週恒例の抗がん剤の投与を受ける。

 着々と癌の進行は進んでいるようだった。


 この日の診察では肝臓の癌はさほど変わって居ないが、リンパ節に転移した癌が大きくなって居たらしい。

 まださほど痛みは無く症状と言えば非常にだるい時が有る程度、レントゲンの写真などの検査結果さえ見せられなければ恐らく癌と知らずに普通に生活していただろう。


 そこでふと気づいた事が有る。

 俺が死んだ後ってどうなるんだろう?

 つまり身辺整理と言うか処分や手続きを誰かにやってもらう必要が有るだろうと思い、自宅に帰ってネットで検索する。


 必要な事と言えば葬儀だろうな、いや、必要なのか?しかし火葬までは必要だろう。

 あとは賃貸マンションだから遺品の処分かな、これは大家さんにお願いしてある。

 あとは何だろう?

 自分では結局分からないのでネットで見つけた近くの司法書士に相談してみる事にした。


 翌日、約束した時刻に司法書士の事務所へ美成の車で向かう。

 昨夜、美成に死後の整理などを司法書士に相談する事を伝えると「あたしも行く」と言い出したので仕方なく一緒に行く事にし、そして車で移動してるのだ。



 司法書士の事務所では色々な手続きや、やっておかなければいけない事を教えてもらい、その全ての手続きを依頼した場合には報酬が50~60万程掛かるとの事。


 まぁ春まで働いてたので貯金はまだ600万程有り、今後の治療費の清算や葬儀代などは十分に賄えるだろう。

 しかし死後の手続きなどは自分では出来ないので、やはり司法書士に依頼しようと思って居た所で「それくらいあたしがやるよ」と美成が言った。


 まぁ結構面倒くさい手続きが多そうだが美成と付き合ってるとは言えまだ一月程度だ、そんなに面倒を掛けるのも忍びないので俺的には司法書士に丸投げするつもりだった。

 しかし、その後の話し合いで面倒な手続き関係は司法書士の方で行い、葬儀や遺品整理、賃貸マンションの引き上げなどは彼女がする事になった。


 そこで念の為に遺言書を書く事を勧められ、遺品と預金は全て美成に託す事を書いておいた。

 どうやら今現在の財産評価額では彼女に全て渡しても贈与税は数十万だそうだ。

 当然これから目減りしていくので恐らく困るほどの贈与税は発生しないだろう。


 美成には俺の後始末をお願いする事になったがこれで何かスッキリした。


「ありがとな、いろいろと」

「ううん、別に大したことじゃないわよ」

「俺の両親は既に他界してるのは言ったと思うけど、手続きって結構面倒なんだよね」

「そうなんだぁ、ウチの両親はまだ健在だし、祖父母は両親の兄弟達が面倒見てるので手続きとかの経験無いんだよねぇ」

 しばらくは手続き云々は無さそうだね。


「ウチの親父は自宅で息を引き取ったから病院で死亡確認の後、警察に移動させられて、その後、自宅の検証までしてったのには驚いたよ」

「何か怪しい部分が有ったとか?」

「いや、これが普通らしい、病院で亡くなれば医者のお墨付きが有るけど自宅ではそれが無いから一応調べるとか」

「へぇ、知らなかったぁ」

 俺もだよ。



「あ、そうだ、葬儀のあとは海に散骨してくれないか?」

「お墓じゃないの?」

「両親の遺骨はそれぞれ実家の墓に入れて貰ってるんだ、だから俺の入る所無いからさ」

「作れば良いんじゃない?」

「作っても面倒見る人が居ないんじゃ意味ないでしょ」

「あたしが面倒見るよ」

「でも子孫が居ないとお前の後の面倒見る人が居ないじゃん」

「じゃあ作ろう、子孫」

「え?」

 本気ですか?美成さん。


「良いよ、あたしは!あなたが居なくなっても一人で子供育てる自信はあるよ」

「でもまだ30歳だし、俺が居なくなった後良い人が見つかったら子供が居るとマイナス要因じゃないか?」

「そんな奴は良い人じゃない」

「そうかも知れないけどさぁ」

 いや、良いか悪いかって事じゃなくてさ…


「あたしとの間に子供作るのに不満?」

「いやぁ、お前の今後を考えるとなぁ…」

「ふん、じゃあ良いわよ」

「そう怒るなって」

 すねてる美成も可愛いな。


「でもさ、真面目な話、お墓は無しで散骨で良いの?」

「俺はその方が良いなぁ、目の前の相模湾に撒いてくれれば」

「そう、分かった、葬儀と散骨はあたしがちゃんとやるから」

「お願いしまぁす」

「うん!」

 こんな感じで身辺整理はクリア出来そうだ。

 そして例のオープンカーで家に戻るが、まだ昼を過ぎた所だったので、ちょっとドライブする事にした。



 目指すは箱根。

 運転は彼女。

 大丈夫かなぁ。


不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。

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