30 初デート①
よろしくお願いします。
1週間経った夕方、旅行の日程を伝えに彼女が来た。
「おっすぅ」
「よう、決まったのか?」
「決まったよ」
「てかこの車どうしたんだ?」
マンションの前で待っててと言うので何かと思ったら車を横付けしてきたのだ。
「ん?これ?友達の。貸してって聞いたら買わないかって言うから試乗って事で乗ってきた」
いきなり乗って来たのはブルーメタリックの国産ミッドシップのオープンカーだった、渋いな。(個人の感想です)
「そうなんだぁ、でもMTじゃね?乗れんの?免許有んの?」
「何言ってんの、ここまで運転して来てるじゃん!」
本当は何回もエンストしたんだろうな…
「まぁそうか、しかし本気で買うのか?コレ」
「好きなんでしょ?速い車」
「おう、良く知ってるな」
「まぁね、貴方の元カノから聞いてたからね」
「あぁそのルートが有ったか」
免許取りたての頃から乗ってた車はMTオンリー、正直言って運転したくてウズウズ!
「俺は好きだけど、こいつお前には難しいかも知れないぞ?」
「そう?ならこれから教えてよ運転」
「それは良いけど、一度交差点でミスってスピンでもしてみれば大丈夫かもな」
「怖いじゃん、それ」
「ん~じゃあ今度教えるよ」
「取りあえずこれ持って」
とスーパーの袋を手渡された、恐らく今夜の食材だ。
車は来客用スペースに止めて部屋へ向かう。
2人で夕食を食べる、が。
「今日はスーパーの弁当か、悪くはないが…」
てっきり手料理かと思ったのでちょっとガッカリした俺が居た。
「それでね、行先決めたから!」
「どこ行くの?いつ行くの?」
「行先はねぇ京都!」
「おぉ~良いねぇ、俺、初京都だから。でいつ行くの?」
「今夜」
え?何言ってんのこの人。
「今夜?」
「そう、今夜」
「マジ?」
「だから車で来たじゃん」
「え?車で行くの?」
「そうだよ、車だよ」
いやいやいや、京都まで4~500km位はあるぞ、普通に走っても6時間くらいは掛かるけど…。
「MT初めてでいきなり長距離とかマジですか?」
「マジマジ、軽いもんよ」
「自信たっぷりみたいだけど、一応俺も運転するからな」
「え~信用無いなぁ」
そりゃそうだ、世間ではMT車率激減してるし寧ろ電気の時代だ。
AT限定免許じゃない時点で驚きなのだが…
「あの車で初MTでそんなに自信たっぷりだと事故りますってフラグ立ててる様なもんだぞ」
「そんなに難しいの?」
「まぁ理解しちゃえば何て事ないけどさ」
「じゃあ、ゆっくり行くからさ、良いでしょ?」
「そうだな、ゆっくり行こう」
「うん」
そして0時を過ぎた頃に車に乗り込み出発する、運転は彼女だ、大丈夫だろうか。
それにしても荷物が無い、俺は着替えとカメラ類を抱えて持って乗り込む。
この車にはデカいバッグは乗らないからこれ位で良い。
「お前の荷物は?」
「もう送った、ホテルに」
「なるほど、そう言う手が有ったのね」
東名高速で静岡入りしナビのルートを確認すると東名を走るルートだった。
と言うのもこのナビ古いのだ、新東名が載ってない。
神奈川から京都へ向かうとなると東名高速か新東名になるが、昔東名で名古屋方面へ夜行ったとき、酷い目にあったのを思い出し御殿場の先は新東名で行く事にする。
仕方ないのでここからはググール先生にお願いしよう。
「新東名の方が良いの?」
「そうだな、俺も走った事は無いけど新しいし3車線有るはずだから」
「古い方は?」
「静岡の殆どで2車線」
「2車線有れば良くない?」
「夜の東名は甘くない」
そう、俺はあの時知らなかったのだ…夜の東名を…
「何が有るの?」
「輸送トラックの集団に捕まると地獄だ」
「なんで?」
「先ずこの車だと低くて排ガスをモロに食らう」
「それは嫌だぁ」
この車結構低いからなぁ、とは言えオープンで走る分けでは無いので、それ程影響は無いのだが。
「照明も御殿場以降減るのでかなり暗い」
「ちょっと不安ね…」
逆に首都圏の高速道路の照明が明る過ぎるとも思うが、一方地方では照明など無いのがデフォだ。
「そして2車線だから前後をトラックに抑えられ、更に追い越し車線にもトラックが来る、つまり時速100km/hで包囲されて身動き出来なくなる」
周囲の車が同じ速度で走ってるとまるで止まっているかの様な錯覚に陥る。
「うわぁ、それは怖い…」
「これが数十分続くだけでかなりの精神攻撃を食らう」
「よし、進路は新東名!」
「だな」
しかしこの後、新東名に入るとこちらも2車線で照明も少ない。
「あちゃ~どっちもどっちか」
どうやら2車線と3車線の部分が有る様だ、道が綺麗だし旧と新で分散する為か思ったほどトラックの密度は低かったので良しとしよう。
彼女は怖がることも無く淡々と100km/hで走り続ける、確か制限速度がここは高くなったと聞いた気がするがこのままでいいや。
浜松SAでトイレ休憩して運転を変わる。
「大分運転慣れたよ」
「まぁ真っ直ぐ走るだけだからな」
「まぁそうなんだけどね、へへ」
舌を出しながら答える彼女。
その後、伊勢湾自動車道から新名神高速と名神高速を繋ぎ京都市内へ到着したのは朝の7時前だった。
取りあえず少し寝たいな。
「ちょっと一休みしたいんだけど、ネットカフェ探して」
「うん、わかった、え~っと」
「駐車場が有る所でお願いします」
そう言って京都駅の近くのネットカフェに向かい、ほんの2時間程度リクライニングチェアで軽く仮眠をとった。
9時過ぎに起きて今日の予定を決める。
「一応リストにしたから」
と言って彼女はスマホの画面を見せる。
「まずは清水寺からね」
「その後は?」
「清水寺の後は金閣寺と嵐山の渡月橋行って、その後は時間と体力を見て追加していきましょ、因みに最後は二条城ね、ここのそばにホテルが有るから」
「了解、食事はどうする?」
「清水寺の参道にいっぱい出店が有るらしいからそこで何か食べようよ」
「OK、運転は俺がする」
とは言ったものの都会の走行は苦手だったりする。
ビビりながらも清水寺の近くの駐車場へ車を止める、ここからは徒歩だ。
「よし」と鞄からカメラを取り出す。
見た目は一眼レフだが中身はそれ程高性能では無いネオ一眼なるものだが俺はこれを気に入っている。
参道を歩いていると土産屋や軽食が食べられる店なども有り、その中で見つけた団子を買って朝食代わりにし、清水寺を目指した。
参道の終わりで清水寺の入口である仁王門が見えてきた。
ココは取りあえずスマホで激写し、持ってきたカメラは使わない。
何故ならここは盗撮スポットだからなのだ。
門の周辺に有る階段に座り記念写真を撮る女子が多い為か、何時しか盗撮魔が集まる様になったらしい。
その盗撮魔が良く使っているのがどうやらネオ一眼と呼ばれるカメラで、普通のレンズがボタン一つ押せば伸びて超望遠レンズになるので、今来た参道の出口辺りからタイミングを見計らってレンズを延ばしさりげなく撮っては移動し、また戻ってくる事を繰り返すと言う話だ。
俺のカメラも同じなのでここでレンズを延ばしたら確保されるかも知れないので大人しくしている。
奥に行くと三重塔やらなんちゃら堂が有るのだが、清水の舞台へ真っすぐ向かった。
最近まで改修していたらしいがそれは既に終わっていて、多くの人が同じ場所へ向かって歩いていた。
そして念願の舞台に着くと既に多くの人でわちゃわちゃしてる所を縫う様に歩き、取り合えず舞台の先端から下を覗く。
「や、やっぱ高いわ…、俺もう戻る…」
「えぇ~写真撮んないの?」
手を掴まれたがそのまま安心出来る位置まで戻って行った。
高所恐怖症で取り合えず一度は挑戦してみたのだが、やっぱり下半身がキュッっとなる感覚は耐えられなかった。
改修されたのは主に床板で、柱はなかなかの威厳を放ち黒々としていたが、床板はやたらに綺麗で悪く言えば味が無い。
「じゃ、行こうか?」
「おう」
アレコレと細かいものまで見ていたらそれこそ京都観光に1週間では済まない位に掛かりそうなので、1泊2日の今回の予定ではこれくらいのアッサリ感で良いと思った。
「次行こ、つぎ、つぎ」
井口に手を引かれ清水寺を後にする。
不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。




