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03 元カノ

よろしくお願いします。



 同窓会の往復ハガキにはざっくりとこう書いてあった。


日時: 8月xx日(土)

時刻: 18時~

場所: 居酒屋◇◇ △△駅前店

参加か不参加の返信をお送りください。

多くの参加をお待ちしております。


 本当にざっくりだった…



 今回の同窓会はちょうど10年ぶりだ。

 因みに幹事はクラスで1番のやんちゃなSだった。



 1回目の同窓会は20歳の時だ。

 お酒が飲める様になったので大いに騒ごうと話が盛り上がり開催したらしい。


 その時も俺は参加していたが、当時付き合っていた元カノは同窓会には行きたくないと不参加だった。

 俺と付き合って居る事は誰にも教えていなかったので、知られたり勘ぐられたりするのを避けたかったのだろう。

 つまりは俺がそれ程自慢できる様な男では無かったと言う事だろう。(うぅ…)


 とは言うものの実際に1回目の同窓会の時にはそれとなく確認しに来る男もちらほら。

 恐らく地元でのデートの時に目撃された様で、県内では田舎と言われるくらいの中堅都市では良くある事かもしれない。

 結局、告白して振られたと言う事にして探りに来た男どもを追い返し有耶無耶にしておいたが、女子の方ではどうだったのか気になる所だ。

 俺は親友にも話していないが彼女の方は話していたのだろうか…



 しかし、そんな事を考えているうちに別れた元カノの事が気になってきた。

 先日の遭遇で見た元カノは美人で健康的でスタイルもそれなりで、いや、悪い分けでは無いが一般的に言うスタイル抜群と言う程の高低差は確保してないと言うだけで、十分メリハリのあるスタイルなのは確かだった。


 しかし既に30歳、結婚していてもおかしくない。

 今までも元カノの事を思い出す事は結構有って、その度に連絡してみようかと本気で考えたりしていた。

 と言うのも、お互い地元に住むだけあって割と遭遇する機会が有り、その度に気持ちがぶり返していたのだ。

 なんせベタ惚れだったので…



 別かれて1年程経った頃。

 仕事帰りの電車の車窓を眺めながら穏やかな揺れにウトウトしていた。

 各駅停車のみ止まる駅に停車したので、窓の外のホームをただ何となく眺めていた。

 そこに視野の外から元カノが歩いて入って来た。

 いつの間にか元カノの最寄駅に到着していて、降車したようだ。

(と言う事は同じ電車に乗っていたのか?)

 既に出遅れていたので扉は閉まり始めていた。

 そのまま窓から跨線橋へと向かう彼女の姿を目で追って、変わらぬ姿になぜか満足していた。



 そしてまた1年程してから、趣味のギターをメンテナンスする為に地元のショップに行こうと歩いて居ると、片側1車線の道路を挟んだ向こう側の歩道を見知らぬ男と歩いて居る元カノを見つけた。

 激しい嫉妬は有るものの、その状況を冷静に観察している俺が居た。

 彼女はこちらには気づいて居ない、これは前回と同じだ。

 歩調を合わせて歩く男はスーツを着ていて胸にネームプレートの様な物が見えた。

 どうやら同じ会社の同僚だと言う事が分かったが、それでも気になって仕方ない。

 時間的に遅い昼食をとっていたのだろう。

 しかし俺にはどうしようも無いのが事実、モヤモヤした気持ちのままその場を過ぎる。



 その後も地元のディスカウントショップの駐車場へ入る時に、その駐車場から歩いて出てくる彼女に出くわした。

 この時も横には見知らぬ男が居た。

(やっぱりモテるんだよなぁ)

 俺はと言うと目が合わぬ様に伏し目がちに自分の車を止めるスペースを探し、彼女が去るのを待ってから車を降りた。

 しかしそのまま店に行くと当然鉢合わせする可能性が有るので、再び車に乗り込みその場を去った。

 なんか惨めでしょうがない…



 その様な遭遇が幾度か有ったが、遭遇とは言えるのか?

 相手に気づかれて居ないので【見かけた】だけなのだろう。


 しかし、ついに彼女にも気づかれるくらいの遭遇劇に出くわした。




不定期投稿で基本的に1週間に1話以上を考えてます。

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