22 第2回報告会①
よろしくお願いします。
9月の後半に入った金曜日、19時ちょっと前。
駅前のいつもの待ち合わせスペースに来ている。
そう、今日は例の報告会の日だ。
実は今日も日中から街をブラブラしていた。
昔遊んだゲームセンター跡は飲食店に変わっているし、良く通った楽器屋は無くなっていた。
何となく、昔行った事のある場所を巡っていたのだ。
たった10年だが記憶の隅に有った思い出の場所は知らぬ間に消えて行き、この目で見る事がもう出来ない…
せめて今残っている思い出の地、場所を目に焼き付けておこうとしたのだった。
ガキの頃に良く行った洋服屋は安くてそれなりにお洒落な物がたくさん置いてあったが、今ではファストファッション店等のチェーン店に押され小さな店は全滅だった。
元カノと行った財布に優しい喫茶店の有った場所も今じゃビルが建ち、多くのテナントが入って居た。
初めて待ち合わせした球場のスタンドも取り壊されて跡形も無い。
そんな中でも古いパン屋は健在だった。
あんこたっぷりのアンパンを良く買って食べていたのを思い出し足を運んでみたのだ。
そして買ったのは当然アンパン。
そのアンパンを片手にもう一度街ブラを始める。
そして3時間ほど街ブラして、そろそろ待ち合わせの時間になるので駅前に戻って来た所だった。
待ち合わせスペースに着くと、既に井口は来ていた。
「よぉ、早いじゃん」
「一本早い電車に乗れたからね」
「そっか、じゃ、行こうか」
「うん」
と、前回行った個室のある店【にゃん!】へ向かった。
店に入り店員に個室をお願いすると、前回と同じ2人用個室へ通される。
「またここか、そりゃそうだな」
「だろうね、でもこのサイズ感好きよ」
「悪くない広さだな、ちょっとトイレで考え事する時の様な安心感」
「なんて例えするのよぉ、もぅ」
そんなやり取りをしながら野球帽をゆっくり取って脇に置いた。
注文を取りに来たので当たり前の様に日本酒を注文する。
もう完全なぽん酒党の様だ。
串ものと揚げ物、そして刺身も注文、前回と似てるな。
「取りあえず、カンパーイ」
「カンパーイ」
ってこれは良い知らせの前フリなのか?
「あ~お腹いっぱい」
「結構食べたからな」
「にひひ、食べる事が趣味だからね、あたし」
「太るぞ、俺みたいに」
「そうだ、いつからそんなにお腹出たの?昔はガリッガリだったのに」
「確か23くらいからチョットずつ膨らんできて、何故か腹だけサイズが大きくなった」
「痩せなさいよ」
「まぁ、そろそろ痩せる方向に向かうから大丈夫!」
「なにそれ、自分で痩せる気無しって事?」
「まぁそんなとこ」
食事とお喋りを楽しんだので、そろそろ本題に行きましょか。
「一服出来た所でそろそろ本題お願いします」
「うぉほん、え~、第2回、軽くストーカーな子羊にお恵みを~」
「あれ?タイトル変わってないか?」
「いいの!うぉほん、え~、前回から昨日までに何回かメールと電話で話してみたけど、ごめんね、OK貰えなかったわ」
「そっかぁ、やっぱりダメかぁ」
最初のカンパイはフリでも何でも無かった様だ。
「何を言っても、絶対無理って…」
「それ程嫌がるって事に何か心当たりって無いかな?」
「あたしに?無い無い、あたしも何をそこまで嫌ってるのかと問い詰めたんだけど言えないってさ」
「なるほどなぁ、恐らく俺が何かやらかしたんだろうな」
正直自分にも思い当たる節は無い、ただ男女間のその手の問題は大体思い当たらず悪化した結果なのだろうと思うと、やはり俺が何かしたんだろう。
「もうちょっと時間かければ気持ちも変わるかもしれないから、もうちょっと時間くれない?」
「え?でも、もう…」
「何なら、偶然を装ってバッタリ出会う様にセッティングしようか?」
「いや、それこそストーカー扱いされそうで…」
「そっか…」
流石に元カノの意志の強さを突きつけられては結論を出さざる負えない…か。
「よし、わかった、今回でこの話は終わりにしよう、これで踏ん切り付いたから」
「本当に良いの?これで終わっちゃっても?」
「あぁ、良いよ、十分だよ、色々ありがとね」
「そ、そう…」
「よし、今日は打ち上げだ!」
「打ち上げって…そんな…」
井口は俯き加減で小さく首を振っていた。
「大丈夫、俺って振られ慣れてるから!」
取りあえず強がっておいた、本心ではかなり傷心だった。
「さて、打ち上げはどこ行こうか?」
「え?どこって、今度はそっちが店探すって言ってたよね」
「あっ!」
すっかり忘れていた。
「ん~、もう、じゃあまたカラオケで良いわよ」
「そう?悪い悪い、また何かで返せたら借りは返すよ」
「忘れないでね!」
「あぁ」
不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。




