19 同級生②
よろしくお願いします。
友人の名前を付けておらず分かり難いかもしれませんが、
友人T、Yに関しては【10 同級生①】、M子に関しては【14 同窓会 Another girl】を参照して下さい。
9月になり、様々なイベントも開催や延期、中止などで盛り上がっていた夏は終わった。
そして同窓会から1か月ほど経ったのだが、友人Yからメールが届いた。
そう、未だにメールだ。
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よう、おひさ!
あれからどうよ?
明日、飲まね?
友人Tには俺からメールしておくから返信よろ~!
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自分最優先のYだから何らかの目的が有るのかも知れないが、まぁ暇なので行くと返信した。
そして改めて翌日の夕方に車で迎えに来るとメールが来た。
土曜日の夕方18時過ぎ。
Yが最寄り駅のロータリーで待っていたので窓をコンコンとノックし助手席のドアを開けた。
そこには友人Tが乗っていて「あ、後ろに乗って」と言うので後ろのスライドドアを開けて広い後部座席へ乗り込む。
すると先客が居た、友人Sだった。
高校時代に連んでいたもう一人の友人だった。
彼は同窓会へは仕事の都合で参加出来なかったので友人のみで会おうとYに連絡したらしい。
とは言え俺はコイツを友人とは思っていなかったのは他の2人にもやんわり話していたのだが…
理由は色々あるが、何かにつけて俺が損をする様な場面にこの友人Sが絡んでいるのだ。
分かりやすい所で言えば、クラスのある役を決める時に、その面倒な役を友人Sに押し付けようとする勢力が居てまんまとそれが成功した時に、その役は二人だからと俺も巻き込まれてしまった。
また俺がバク転出来るからと体育祭の応援でやる事になった時に何故かSも参加表明、体育祭当日にいざバク転するぞと言うタイミングでこれまた何故か俺の後ろに回って来て接触しグダグダになると言う…
極めつけは1年生の時、学校帰りに駅まで歩いて行こうと男女8人くらいでぞろぞろと会話をしながら歩いていた。 裏道にある駄菓子屋で俺がチェリオを買ったのをみて「一口ちょうだい」と当時ちょっと好みだった女子J子に言われ差し出した。
中高生位の男子なら、こんなシチュエーションに興奮しない分けが無い、これぞ間接キスのチャンスなのだ。
そのJ子が一口飲んで「ハイッ!ありがと!」とこちらに手を伸ばしたところであいつの登場だ。
「あ、俺も飲みたい」
そう言って俺の手に渡る前に奪う様に持っていき一口どころかゴクゴクと飲んで「うめぇ」と言って返してくる。
お礼が無いのはまぁ良い、しかしJ子との間接キスのチャンスを奪ったのは許せない。
「ワザとか?ワザとなのか?」と、問い詰めたい所をグッと堪えるのが常だった。
後日談として卒業後にJ子のバンド仲間のM子に聞いた話によれば、J子も勇気を出してこのチャンスを作ったが上手く行かず、その後の接点もなかなか無くて諦めて別の彼氏と付き合う事になったらしい。
友人Sとは在学中はそれでも友達付き合いして卒業と共にこれで縁が切れてスッキリだった。
それなのに、またしても悪夢再来か。
友人Sは同窓会に参加出来なかったので、せめて旧友4人だけでも良いので飲みたいと言って来たと移動中の車の中でYが説明するが、俺はもう不安しか無かった。
土曜の夕方、予約した居酒屋の前で車を止め俺達を下ろした後、Yが近くの駐車場へ向かった。 降ろされた3人で先に居酒屋へ入り掘りごたつの席へ案内される。
席はTとSが横に並びTの前に俺が座った、つまりSとの直線距離が一番遠くなる形だ。
10分程でYが到着しTの合図で乾杯した。
話す内容は主に同窓会の話だった。
そこでTからM子とやたら仲良さそうだった事をネタにされた。
「もう付き合ってんじゃないの?M子とさ、どうなのよ?」
「いや、アイツ彼氏いるんだぞ」
Yも気になった様で探りを入れてくる。
「アイツもバンドやってたらしいじゃん?実は高校の時付き合ってた?」
「いや、ホントにまともに話した事も無かったって」
そこで何故かSの登場。
「M子って、良くさぼってたバンド系女子だよね?」
「そうそう」とTとYが応える。
「そう言えば俺、M子のバンド仲間のJ子と関節キスした事有るんだよねぇ、へへへ」
ギクッ!
「J子って別のクラスだろ?」
「1年の時同じクラスで帰り道でジュースの回し飲みしてて自然と間接キスになったんだよね」
いやいや、回し飲みしてねぇよ、お前が奪ってたんだろが!
「へぇ~、何か初々しくて良いなぁ」
「俺も彼女出来るまで手もまともに繋いだ事なかったよ」
TとYが羨ましがるが俺は腹の中で何かがグツグツしだしていた。
Sが話を続ける。
「まぁJ子って見た目とか結構お洒落してるけど、俺の好みじゃなくてさ、あんまり嬉しくは無かったなぁ」
ピキッ!
ここで俺は我慢出来ずに立ち上がった。
しかし殴りかかるわけでは無く、靴を履いて店を出ようとしたのだ。
「おい、山城どうしたんだよ、ちょっと待てよ」
Tが慌てて声をかけ引き留め、Yが靴を履き追いついて来た。
「いや、もう帰るよ、じゃあな」
居酒屋の外へ出た時にSも靴を履き止めに来て強めに俺の手を掴み引っ張った。
「なになに?J子の話が気に入らなかったのか?お前好きだったの?アイツの事」
自分から喧嘩を仕掛ける事はまず無いのだが、手を引っ張る力が強かった為かつい反応してしまった。
「お前はいつもそうだ!」
そう言ってSの横っ面を殴った。
1発だけなのだがそのままSは倒れ込んで、その為に2発目の発動はせずに済んだ。
TもYも、そして当事者のSも唖然として動きが止まっていた。
何の反応も無いのでそのまま俺は背を向け居酒屋を去った。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
翌日、Tに電話して昨日の事を謝り、1円も払ってなかった飲み代を払いに行くからと伝えた。
Tの家へ行くと奥さんが迎えてくれた。
「なになに?山城君殴ったんだって?やるねぇ~」
俺も初めてだったのでどうしてそうなったのか記憶が曖昧だった。
そこへYもやって来たのでみんなに事の次第を説明した。
奥さんはウンウンと頷いて言った。
「女の子って恋愛に対しては命がけのところが有るの、多分その子もかなり頑張ってそのタイミングを逃しちゃ行けないと行動したんだと思うよ」
「そんな事が有ったとは知らなかったけど、俺ならその時にぶん殴ってたかもなぁ」
Yがそう言ってTも同意した。
俺は俺で殴った後に怪我してないかとか、警察に訴えられたらどうしようとかちょっとやり過ぎたのかなぁ等と一人反省会の日々だったが謝るつもりも無いし、会うつもりもないのは決定事項だ。
Tには肩代わりしてもらった飲み代を払い帰ろうとすると奥さんが晩御飯食べてってと言うので頂く事にした。
晩御飯の準備をしている間、俺には任務が有った。
3歳になった彼らの双子の娘をあやす任務だ。
胡坐をかいて、その両方の膝の上に腰を掛ける様に双子ちゃんが座るので、後ろに倒れない様に軽く支えながらそれぞれが持っているおもちゃやぬいぐるみで遊ばせている。
そしてYが双子ちゃんにちょっかいを掛けると二人ともキャッキャと楽しそうに身もだえしている。
色々喋りかけて来るので適当に相手するが、たまに意味不明な言葉を投げかけてくる。
それをTに聞くが応えは「さぁ?」だ。
しかしこうしてみると結婚も良いもんだなぁと感じ、その機会が訪れる事は無いと思うと残念でしかない。
しかし、今更だよな。
ここ7~8年は家族も無く、恋人も無く、友人との付き合いもない状態だったのだから…
賑やかに晩御飯を頂き、久しぶりの家族団らんに交じれたのは嬉しいかった。
こうして友人Tと別れ帰宅する、そして友人達と会うのはこれが最後だった。
不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。




