16 第1回報告会②
よろしくお願いします。
夏川への繋ぎは取れずに終わり、その後はもうただの世間話になった。
「ここ初めてだけど、この店は良く来るの? 良い感じだよね」
「あたしも初めて、この辺あんまり知らないからスマホで調べてきたの」
どうやら井口が検索して目星を付けていたらしい。
「そっかぁ、地元にもこんな店が有るの知らなかったよ」
「そうよねぇ」
「普段、飲み会とかはどこ行ってるの?」
「大体、新橋、有楽町辺りかな」
「都内ばかり?」
「そんな感じ」
「そっかぁ、俺も似た様なもんだったな」
最近では飲み会と言えば会社の連中がメインなので俺も会社から近い場所の方が多かった。
今度は井口が聞いてきた。
「どこ行ってたの?」
「俺は派遣先がコロコロ変わるから、都内だったり横浜だったり色々」
「へぇ」
分かった事は、俺も井口も地元の飲み屋やレストランなど殆ど行かないと言う事だ。
「でも個室の居酒屋は2回目かな」
「最近多いよ、個室の店」
「まぁそうだけど2人部屋って流石に少ないと思う」
「あぁ確かに」
「以前入った個室の店は店内にペンギンが居たよ」
「何それ?動物園内?」
「違うって、普通の居酒屋の中に水槽が有ってその中に居たんだ」
「おもしろ~い、行ってみた~い」
「多分もう無い」
「え~~」
調べてないけど、無いだろうなぁ。
「ねぇ~なんか面白いお店無いかなぁ?ねぇ~」
大分酔って来たのかな、なんか甘えた声出しよるな。
「じゃあ、次回の報告会は俺が調べて店探しておくよ」
「よし!任せた、弟君」
バシッ! 背中を叩かれた…結構強めに…
「でも報告会は多分ココだからね」
「OK、ボス」
なんか掌を裏返して敬礼してる、面白いな井口って。
21時過ぎたところで店を出ると周りは既に人は疎らだ。
夜8時を回ると飲み屋とカラオケとコンビニそしてピンク街以外は軒並み閉店を迎える。
すると酔った団体さんが大手を振って歩いても迷惑にならないくらいにはガラガラになる。
「そう言えば同窓会の後、2次会はどこ行ったの?」
「カラオケ~」
「えぇ~良いなぁ、行けば良かったなぁ」
「でも10人も居ると1時間で一人1曲くらいしか歌えないよ」
俺は深夜のドライブで1人6時間歌いまくる男なのだ。
「1曲はちょっと少ないなぁ、あっ、今なら何曲でも歌えるじゃん、カラオケ行こ?」
「のぞむところだ!」
意気投合してしまった、終わりは有るのか?
勢いで入ったカラオケだったが1人3曲ほど歌ったところで落ち着いた。
「そう言えばさ、職場は東京なの?横浜なの?」
「あ~俺?今は自宅警備員してる」
「何それ~、引きこもり?ニートってヤツになっちゃったの?」
「違う違う、転職だよ転職」
まぁ転職って事にしておこう。
「そっかぁ、焦った~、こんな身近にニートが居るとは思わないからさ」
「無職よりニートの方が幸せそうだけどな」
「じゃあ就職活動してるの?」
「いや、しばらくは休もうかと思ってる、半年くらいかな」
半年過ぎたら終わりが見えてるのかもなぁ。
「お前はどこで働いてるんだよ?」
「あたしはさっき言ったじゃん、新橋のOLでっす!」
あぁ飲み会の会場は会社の場所とイコールだったか。
「新橋にはラーメン食べに行ったくらいだなぁ」
「行く機会が有ったら何でも聞いて!結構知ってるんだから。」
「行くことがあったらね、まぁ都会は多分行かないだろうけど、むしろ田舎に行きたい」
「年寄みたいだぞ、キリッとせい」
「ボン、ゴリゴリボボボ」
切ってないマイクで背中を切られた様だ。
2次会的なカラオケを1時間30分で切り上げ店を出る。
「さぁて、そろそろ帰ろっか」
「そうだな、今ならまだ電車あるしな」
2人で駅に向かう。
その間、何故か彼女は静かだった、酔ったせいなのか手で顔を扇いでいる。
その姿を見てると何となく可愛く見えてくる、いや可愛くなくはない、恐らく【中の上】なのは確かだ。
【上の下】と言うとがっかり感が凄いので【中の上】と言うべきだと以前、友人と話していたのを思い出した。
問題は【可愛い】のラインが俺の中では結構上がっているので振るいに掛けられてる感じなんだろう。
一般的には【中の上】なのだが、俺には厳しいフィルターが掛かっているのだ、これは元カノの呪いかも。
それに女は化けるから気を付けないとな。
駅では普通列車に乗り込む。
ロングシートの端に2人で座り、走り始めた電車の中で来週の予定を決める。
「じゃあ来月も同じ時間で待ち合わせね」
「OK」
「出来るだけ良い話が出来る様に頑張るから」
「ありがとう」
俺の最寄り駅に着いたので席を立つ。
ドアへ向き直ると彼女が「またね」と言いつつ、首を傾げて口を閉じたままニコッとした。
あ、こいつ技持ってるな、ドキッとしたわ。
不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。




