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14 同窓会 Another girl

よろしくお願いします。




 同窓会の開催された日。


 そしてこれは地下街で待ち合わせしていた時の話。



 親しい友人以外のクラスメイトが数人現れ挨拶を交わすと、一人の女子が大きいカバンから何やら引っ張り出した。

 それは卒業文集だった。


 続々と集まるクラスメイトは吸い込まれる様にその文集へと集まり集合写真を見てあれやこれやとわちゃわちゃしていた。


 その中へ自分も交じり、わちゃわちゃしていると、隣に来た女子がこう言った。

「コピーよりこっちの方が当然良いよねぇ」

 その子はA3サイズにコピーしたクラス写真を右手でつまみプラプラ振っていた。


「現物が有ったらそりゃ勝てないだろうな、ハハハ」

 俺はそう返してコピーのクラス写真を受け取り開いた。

 そしてその中から一人の写真を指差して言った。

「これお前だよな?変わったなぁ、ってか変わりすぎじゃね?でも直ぐ分かったよ」


 彼女はM子、真面目グループと仲良かったがどっちかと言うと真面目じゃない子だった。


「やっぱ化粧上手くなったからかな?あの頃はまだ下手っぴだったから、へへ」

 照れ隠しかセミロングの髪を指でクルクルし始めた。

 着てる服はほぼ黒でシュッとしてて今やカッコいいお姉さんって感じだ。


「下手と言うより怖かったぞ」

「えぇ~、それってライブの時でしょ?そう言うジャンルだったの!」

 そう、彼女も自身のバンドでベースを弾いたりしていたので交流は無かったものの、それなりに気になっていたのだ。



「今もやってるのか?バンド」

「今は彼氏がやってるけど私はやってない」

「そっかぁ、その彼氏は元々同じバンドのメンバーだったりする?」

「そうなの、ちょっと揉めちゃってね、私が辞めて新メンバー入れて今やってる」

 バンド内恋愛は揉めるのが必至なのだ。

 痴話喧嘩が即バンドの危機になるので別れようものならバンド解散の危機も有りえる。

 恐らくそれを見越して身を引いたんだろう。


「そっちは?」

「俺?俺はもう5年くらいバンドはやってないねぇ」

「もうやるつもりは無いの?」

「もう無いね」

「なんで辞めちゃったの?」

「あ~、一応さ、オリジナルを作ろうと頑張ってたんだけどさ、自分で作ってみて初めて音楽性の違いってのにぶち当たった感じだねぇ」


 そう、こういう話はプロになったら遭遇するであろう話と思っていたがアマチュアでも有ったんだな。


「なるほどね、彼氏のバンドでもたまに揉めてるよ、で、どんな風に揉めたの?」

「まぁ、俺が作ってこんな風な音でこんな風に弾いてって音色やフレーズを指定すると、度々、こうやった方が良い、こんな音は嫌だと、何かにつけて拒否してきてこっちが妥協した結果、何これ?ってなるわけだ」

「あぁ、イメージとかけ離れちゃったのね、あるあるかもね」

 仲良しバンドではみんなの意見を集約した結果、大概こんな風になってしまうのだが、まれに奇跡も起こるらしい、知らんけど。


「プロならこうやってぶつかり合った結果凄く良いモノになりました!ってなるけど素人だからな俺達」

「ウチのバンドはシンプルだからそれ程揉めなかったけど少なからず有るよねぇ」

 揉めたメンバーが次の練習から来なくなったって事も有った。


「で、結局俺が強制する様になったらみんな居なくなったってオチ」

「そっかぁ残念ねぇ、じゃあもうギターは弾いてないの?」

「たまに家で弾いてる位かな、PCで打ち込みとかして」

「そっかぁ、その内にさ、同じバンドでやりたいね」

「それも良いなぁ」


 そんな話をしながら同窓会の会場である居酒屋まで二人並んで歩いていた。



 居酒屋に入り並べられたテーブルの端の方に仲の良い友人と席を確保し、俺の隣にはM子が腰を下ろした。


 なぜそうなったのか?

 M子は真面目グループと仲が良かったが、それは同じ中学出身者が居たからだった。

 そして一時的な登校拒否もしていた位の言わばアウトロー女子なのだ。


 それでも楽器を演奏する共通点が有ったのであちこち迂回する形でお互いの情報は共有出来ていた。


 だからこそ、今日、待ち合わせ場所で久しぶりに顔を合わせた時に自然と話しかけられたのかもしれない。


 同窓会が始まりみんなでワイワイやりながらもM子とは個別に昔話と音楽の話で盛り上がっていた。

 それを見ていたイケてる女子が言った。

「山城とM子って仲良かったっけ?」


 一瞬どう反応すれば良いのか分からなくなった。

 確かに在学中はほぼ会話する事も無く、一緒に居る事すらなかったはずだ。

 そこに疑問を持つのは極自然な事なのだが、どう説明すれば良いのか思いつかない。

 ほんの一瞬では有るが色々考えた挙句出たのがこれだ。

「さっき地下街でナンパした」


 みんな酔ってる所為か大爆笑した。


 そう、俺はナンパをするシーンを想像すら出来ない男だからだ。


 ただ、M子は両手を俺の肩に添えて軽く頬をそこに載せる様にして「ナンパされちゃった」と言って更に爆笑を呼んだ。


 形だけでもフォローしてくれてサンキューと口パクだけで伝えて、ウィンクでお返しされた。


 彼氏が居なきゃ本当にナンパしたいくらいだ。

 いやいや、今日の俺には目的が有るのだ、こんな所で浮気している場合じゃない。


 1時間ほど経ったところでM子に言った。

「ちょっと行かなきゃ行けない所が有るんだ、また後でな」

「なんか分からないけど頑張ってねぇ」

 そう言ってお互い軽く手を振り席を立った。


 M子とはこの日以降、会う事は無かった。



不定期投稿ですが基本的に土曜日の20時を定期更新として1週間に1話以上を考えてます。

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