12 嵐の同窓会②
よろしくお願いします。
1次会はあっという間に終わり、2次会へ行く段取りが始まった。
既婚者や子供の居る人の殆どは1次会で帰って行った。
俺は2次会へ行くつもりなので、次の会場を聞いてから一旦離脱する。
「俺、コンビニ行ってお金下ろしてくるから先行ってて」
「おう、場所間違えるなよ~」
友人Yは手を振り去っていく。
「さてと…」
井口は帰宅組だったので1次会の店の周りを探すと丸いパイプで出来たガードレールに寄りかかりヒラヒラと手を振っていた。
どうやら他の真面目グループメンバーは駅へ向かった様だ。
「あれ?一人?」
「一人だよ、だって聞かれたくないでしょ?」
「あぁ、まぁ、そうだね」
「フフ」
意味ありげな笑いをしながらガードレールに腰を掛ける様に指さす。
「じゃあ手短に聞くけど、さっきの「聞いてるよ~」は何のこと?」
「え~こっちが言うの? 逆じゃない?」
やっぱりかなりの事を知っている様だ。
「あ~もう分かったよ、降参だ、夏川の事でちょっと話聞きたかったんだけどさ」
「やっぱりねぇ~~フフフ」
「どこまで聞いてるの?」
「多分、殆どじゃない?」
マジか! 完全に隠してると思っていたから驚きが半端では無かった。
「え~?告白した事とか?」
「うんうん、初デートの話とかその後の色んな事もね」
「どこまで?」
「え~と、最後まで?かな?」
最後って事はあんな事やこんな事も聞いちゃったって事?
「じゃ、じゃあ、俺が振られた理由も知ってるの?」
「まぁ一応それっぽい話は聞いたけど、その辺はかなり曖昧だったよ」
「どんな理由だったか、一言で教えてくれない?」
「もう会わない、ってさ、それだけ」
うぅ、何も進展なし…
「聞きたいのはそれだけ?」
「う~ん、実は先月○○駅前のアーケードでバッタリ鉢合わせしたんだよね」
「あ~聞いた聞いた」
卒業して10年以上経つのに、つい先月の事を知っているくらい今でも仲が良いみたいだ。
「マジ?俺ストーカー呼ばわりされてなかった?」
「あははは、確かに狙ってやってたらストーカーだよね、でも違うんでしょ」
「違う違う、マジで偶然、しかも往復で」
「あの子もストーカーとは思ってないよ」
「そっかぁ良かった」
どうやら最悪のストーリーは避けられた様だ。
「でも素通りしたんでしょ?」
「まぁ、そのぉ、ハィ」
「根性ないなぁ」
自覚は有るんだけど唐突過ぎてあの時はどうしようも無かったんだよ。
「そうゆうタイプじゃ無いからさ」
「みたいだねぇ、で、それが聞きたかった事?」
さぁ本題だ。
「あとさ、彼女のスマホの番号かメアド教えてくれないかな?」
「流石に許可なしにそれは無理だなぁ」
「そっかぁ」
「会いたいの?」
「うん、まぁ会って話したい」
「ヨリを戻したいとか?」
「希望で言えばそれも有る、ただ今は声が聴きたいかなぁ」
本心だった。
癌で余命を宣告され頼れる身内は居らず、過去にすがるしか無くなっていたのかもしれない。
「もしかして失恋した?」
「いやいや、失恋なんてもう3年くらい前の話だね」
「じゃあ恋人居ない歴3年?」
「いや、9年、今年で10年か」
「え?って事は由貴と別れた後は?」
「一人も付き合ってない」
恥ずかしながら元カノと言えば夏川由貴一人しか居なかった。
「あちゃ~、それでも3年前には作ろうとしたんだよね?」
「まぁ失恋を克服するには新たな恋をすれば良いって言うじゃん、それでね」
「それが3年前?遅すぎるって」
「まぁそう言うなって」
男は基本的に未練たらしいものだ...たぶん。
「あ~もうホントしょうがない弟だわ」
「あらら弟キャラ決定しました~ハハ…」
「じゃあ、あたしのTELとメアド教えるから」
「え?」
何をしようとしてるのか俺には分からなかった。
「ほらスマホ出して、手伝ってあげるって事よ」
「本当に?あ、でも、見返り希望?」
「そんなの無いから、ほらちゃんと登録してこっちにも教えなさい。」
「ありがと~、これからお願いします、お姉ちゃん」
「よろしい、弟よ、がははは」
どうやら有力な協力者をゲットしたみたいだ。
「日本酒くらいなら見返りに用意しても良いよ」
「言ったね、よし、今日から日本酒党にあたしは・・・なる!」
「なぜ溜める」
こうして井口が協力者になり今後の交渉の窓口となった。
「あそうそう、来週末に1次報告するから予定開けておいてね」
「あざっす」
その後、2次会会場に30分遅れて参加した。
不定期投稿で基本的に1週間に1話以上を考えてます。




