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11 嵐の同窓会①

よろしくお願いします。




 会社勤めならそろそろ夏休みに入っているだろう8月の土曜日。


 夕方6時。


 駅前の地下街に降りた所に有るスペースに向かった、それは仲のいい友人TとYの二人に連絡を取り、そこで落ち合う事にしていたのだ。

 すると早々に現れお互いを懐かしむ。

 そして同じ様にここを待ち合わせ場所にした元クラスメイトが集まりだした。

 まぁこの辺で待ち合わせするならやっぱりココなんだろうなと納得。


 結局、参加者のほぼ全員がここに集結したので、そのまま会場の居酒屋へぞろぞろと歩き出す。

 その居酒屋は歩いて3分の所だったのであっという間に到着。



 細長い座敷にテーブルを2つ繋げて、それがもう1セット有る形でセッティングされていた。

 参加者は30人程なので、クラスの半数以上は参加した事になる。


 先ず俺のグループが端の席を確保、そこに次に来たのは女子の真面目グループだった。

 軽く挨拶し一度は近くに座ろうとするが、如何にもシャイなメンバーが正反対の方を指さし一番遠い席へと移動していった。


 実は俺のグループの男2人は、卒業前にその真面目グループの女子に告白した事が有った。

 その時は断られた様だったが、先程の動きを見ると今なら有りなのかも?とも思えた。

 そしてその真面目グループには元カノも入って居たのだが、この日はやはり居なかった。



 空いた隣は所謂イケてる連中が男女で埋めて行った。

 これはこれで楽しいのだが結構煩いんだよなぁ。


 中央付近には既婚で子持ちの女子が集まっていた。

 いきなり子供の写真を見せ合って子供自慢が始まったようだ。

 中にはまさか!?と思う容姿の人まで子供自慢に躍起だったので、俺ら未婚組の男女は焦りを覚えていた。

 まぁ俺は関係ないけどさ。


 同窓会が始まり、幹事の「S」が挨拶をして乾杯の音頭を合図に宴会スタート。



 乾杯で生中を飲み干すと俺は幹事に日本酒を頼んだが、飲み放題には入ってないから自腹で飲めと言われ店員に別会計で好きな日本酒を注文。

 ビールは腹に溜まるから辛いのだ。


 肝臓がヤバいのに飲んで良いのかと言われそうだが、良いのだ。

 これは自分で決めた事なのだから。

 恐らく肺癌のヘビースモーカーも同じ事をするだろうと自己弁護をする。



 宴もたけなわ。

 話す内容は卒業後の自慢話の連続だ。

 仕事で上手くいった話や可愛い彼女をゲットした話など、大体似たり寄ったりな話ばかりでベンチャーを起業したとか自営業始めたとか官僚しているなんて話は一切出ない。

 そりゃそうだ、偏差値的に中の中の学校じゃその手の成功話は出て来ない。

 むしろ実家を継いだとか親から受け継いだ土地でアパートを経営している等の何処か田舎っぽい話が自然に感じた。

 俺はと言うと実は自慢できる話は何もなかった。

 ただ他の人の話を聞くだけで楽しかったので、ツッコミばかりしていた。





 同窓会も1時間を過ぎ、2時間の枠の半分を超えた。

 そろそろ偵察にでも行ってみよう。


 偵察とは元カノの居た真面目グループに潜入し、一つでも情報を手に入れるのが今回のミッションだ。


 自分のグラス(日本酒入り)と俺用の伝票を持ち、いざ突入。


「おひさ~、その節は色々面倒見てくれてありがとう」

 特に目立った交流が有った訳では無いので、ある授業でノート写させてもらったりした事を感謝してみた。

「え~?何かしたっけ」

 反応したのはリーダー格の井口だった。

「あぁ、やっぱり俺って影薄いのかなぁ、○○先生の授業で俺がさぼり気味だから、ちょくちょくノート写させてもらったんだけどなぁ」

「あ~あの生徒の名前覚えないおじいちゃんの授業ね」

「そうそう、俺は【せがれ】」

「あたし【乙女】、フフフ」

「てか、男はみんな【せがれ】だし、女はみんな【乙女】だったじゃん」

「そうだったねぇ」


 一気に記憶が蘇った様だ。


「そか、覚えてたかぁ良かったぁ」

「覚えてるよぉ、だって隔週でサボるんだから弟の面倒見てるみたいだったぁ」

 弟かぁ、やっぱり同級生の男は子供っぽく見えるのかな。


「せめてお兄ちゃんにならない?」

「お兄ちゃんならカッコいいとこ無いとダメじゃん」

「それ、カッコ悪かったって事なのね」

「ピンポーン」

「まぁ良いか、カンパーイ」

「「カンパーイ」」


 取りあえず掴みはOKだった様だ。



 そして真面目グループの他のメンバーとも適当に挨拶ししばし腰を落ち着ける。


「みんな何飲んでるの?」

 するとそれぞれが答える 「ビール」、「ウーロン茶」、「ハイボール」

「おっとぉ、ひとり呑んべぇが居るぞ」

 井口だった。


「会社の飲み会で飲まされたらハマっちゃって、今やハイボール一筋!」

 あれ?この子こんな感じだったっけ?と思いながらも乾杯する。

「「いぇーい」」



「ってそれ何?」

 井口は俺の飲んで居るグラスを指さした。

「これ?日本酒、地酒だったけど名前忘れた」

「で、これは何?」

「これ?」

 と反対の手に持っていた物を掲げる。


「そそ」

「これmy伝票」

「何それ~」

「いや、日本酒は飲み放題じゃないから自分で払えって言うから仕方なく…」

「よし、あたしも日本酒に挑戦する、店員さーん、ここに書いてあるのと同じの1杯下さいな~」

「承りましたぁ~」

「あ、こっちに付けてね」

「ハイ承知」

 あれ?俺の伝票に書かれたぞ?



「まぁまぁ同じお酒で語り合おうじゃない?」

 やっぱりこの子、酒飲むと性格変わるみたいだな。

 この時点で他の女子はそれぞれで楽しんで居る様で、俺は井口とツーショットになっていた。


「ハイおまち」

 グラスで日本酒がやってきた。

 グラスを受け取り一口飲んでから井口が言った。


「で、だ」

「ん?」

「何が聞きたいんだい?こひつじ君」

「え?何が?」

「またまたぁ、聞いてるよぉ~?」

 まさか、元カノの事か?


「何々?何か噂とか?」

「あ~とぼけてるし」

 流石に他の人に聞かれるのはマズいのでその話題は先延ばしにしよう。


「その件で後でちょっと聞いていい?」

 と耳打ちすると、「じゃあ後で」と耳打ちし返してきた。

 キャキャっと笑うと半分に減った日本酒を一気に飲んで「おかわり~、こっちの伝票で」

 まぁ情報料の先払いって事にしよう。


不定期投稿で基本的に1週間に1話以上を考えてます。

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