10 同級生①
よろしくお願いします。
同窓会を来週末に控え、学生時代にいつも連んでいた友人二人に連絡を取る事にした。
20歳くらいまではまだ週末に一緒に出掛ける事も有ったが20代半ばとなるとまるっきり連絡を取らなくなっていた。
それはマンネリ化で何一つ新鮮味の無い関係でしか無くなっていた為だ。
話は遡り高校生時代。
1年から2年に学年が変わり、メンツの半分が新顔となったが、それまで仲良かった友人とはクラスが分かれてしまった。
そこで新しいクラスの中で新たな関係が自然と出来上がっていたが、しかし、そこにはお互いを結び付ける強い要因が見当たらなかった。
ただ、なんとなく知っていた、1年の時同じクラスだった、友人の知り合いだった、などなど…
卒業してから気づいたが、腹を割って話せる程の関係では無く、あくまで学生時代をそれなりに楽しく過ごせれば良いだけの浅い関係だったのだ。
そんな繋がりでは有るが高校を卒業するまでは楽しく過ごせたので感謝はしている。
取り合えず二人とは待ち合わせ場所と時刻を打合せる為にそれぞれに電話を掛けた。
人気者気質の友人Tのスマホへ電話を掛けると何故か奥さんが出た!
「あ、俺、山城だけど覚えてる?」
「あ~久しぶりねぇ、あの人に用?」
「そうそう、今度同窓会が有って待ち合わせしようと思ってさ」
「今ねお風呂入ったばかりなの、ねぇ、ちょっと聞いてぇ、あの人浮気してるかも」
「え?何事?」
最近やたらお洒落に気を遣うとか、頻繁に小遣いを要求する様になったとか浮気の根拠やらを話していると、友人が風呂から出て来た。
「あ、出て来た、変わるね」
そう言って友人Tに変わった。
「今なんか怪しげな会話が聞こえて来たけど、なに?」
「いやぁ、お前が浮気してるんじゃないかってさ」
「浮気ぃ?」
そう言って奥に行った奥さんに向かって一言「してねぇぞ」と言い再びスマホに向き直った。
「まぁ良いけどさ、来週の同窓会行くだろ?その待ち合わせをしようと思ってさ」
「あぁ俺も電話しようと思ってたんだ、どうする?」
「駅前の地下に1時間前でどうだ?」
「OK、あいつは?」
「友人Yにもこの後電話する」
「了解、任せたよ」
「じゃあ、来週な」
「あぁ、またな」
結局浮気してるのかどうかは分からないが、俺としてはどうでも良かった。
寧ろ首を突っ込むべきでは無いと思った。
彼は20代前半で早々に結婚し子供も出来たので、その辺りが疎遠になった原因でもあったかも知れない。
彼が悪いわけでは無いが既婚者と独身者とではやはり生活習慣が変わってくる。
当然、彼の家へ遊びに行くにも奥さんに内緒だったりすると後で色々有ったりするようで、それを愚痴っぽく聞いていたので自然と足が遠のいた感じだ。
しかし、これは世間一般では良くある事と理解し彼にも奥さんにも負の感情は全く無い、それどころか良い嫁さん貰ったなと羨ましかった。
そんな時でも俺に対して「良いから行くぞ」と彼の家へ行こうと誘って来てたのがこの後電話する予定の友人Yだ。
この友人Yは所謂KY、自分の事が最優先のヤツなのだ。
この自分最優先なのが疎遠になった理由の一つだな、確実に。
とは言え、喧嘩した分けでは無く、本当にただお互いが連絡しなくなっただけだった。
「あ、俺、山城だけど」
「おおぉ、久しぶりだな、あれか?同窓会」
「察しが良いな、その待ち合わせの件でな」
もしかすると待ってたのか?
「Tには?」
「さっき電話して駅前の地下に1時間前って事にしたんだ、それで良いか?」
「分かった、何かネタ持ってくか?」
「何ネタって」
「話題作りの為の写真持ってくとか、制服着てくとか」
「制服なんてもう無ぇよ、良いよそう言うのは無くて」
「そうか、分かった、それとお前、女出来たか?」
「あぁ?居ねぇよ女なんて、お前の方こそどうなんだよ」
「先月、別れたばかりなんだわ、傷心なんだよぉ」
この友人Tはイケメンでは無いが何故かモテるらしく仲間内の中で一番最初に童貞を捨てた男だった。
なぜこんな自分一番男がモテるのかは俺には理解出来なかったが、生物学的に見るとこういう積極性が種の存続には重要な事であって、彼はそれを知らずとも本能でやってのけているのだと思った。
「それじゃ、同窓会でナンパしてみれば?」
「あんまり好みの女居ないんだよなぁ」
「じゃあ、しばらくは右手が恋人だな」
「お前に言われたく無ぇよ、ぶわっはっはっは」
「そんじゃあ、また来週な」
「ああ、またな」
疎遠になったとは言え、浅い関係だったとは言え、再び話せば割と簡単に昔の口調でしゃべれるもんなんだな。
もしかしたら、自分の解釈が間違ってたのかも知れない気がしてきた。
不定期投稿で基本的に1週間に1話以上を考えてます。




