第一話
現実恋愛物初めてなので
至らないとこあるあもしれませんが
読んで頂けると嬉しいです
高校3年の秋、普通の高校生だったら受験勉強で
慌ただしくなる季節
そんな季節のある日の昼休み
切羽詰まった奴なんかは昼休みも参考書なんか出して
勉強してるんだろうが俺こと富士六良
が目にしてるのは自動車教習所の案内パンフレットだ
俺の通う高校は工業、服飾、調理など専門科目教わる
事ができる総合技術高校だ
各科ごとに専門の資格を習得出来て
卒業後はそのまま就職をするパターンが多い
受験と違い就職の場合は夏休み前に就活が始まり
夏休みが開ける頃に面接や試験を受け
秋前には内定が決まる
夏の就活で無事内定が取れた生徒は
残りの学生生活をのんびり過ごせる
内定が取れなかったり進学する場合は
年明けまで気の抜けない日々を過ごすことになる
そして就職難なご時世の中、無事内定を勝ち取った
俺の頭の中は念願のハンドルを握れる期待で
いっぱいだ
そう、俺の通う高校では秋に進路が決まった
生徒は残りの在学期間に教習所に通うことが許可される
まあ隠れて免許を取りに行く奴もいるが
見つかればそれなりの処罰がある
そんな訳で先日内定を取った俺も晴れて教習解禁となった
俺が自分の机で教習所の案内パンフレットを見ていると
「むっくん、パンフレットばっか見てないでごはん食べよ」
横から緩い感じに声が掛かる
幼なじみの山田奏星だ
背中に掛かるくらいの髪を全体はダークブラウンに
毛先の方はアッシュブラウンとグラデーションをつけて
染めたゆるふわな髪が本人の自慢
いつも眠たげな目元もあいまって
さらにゆるい印象を受ける女の子だ
「そうなんですよ奥さん、この人ったら
休み時間の度に眺めてニヤニヤしてるんですよ」
さらに横から隣人にして小麦色に日焼けした肌に
ソフトモヒカンの頭をしてちょっとヤンキーっぽい
友人の豊田森三が茶化してくる
「いやね~奥さんほっといて車に夢中なんて」
さらに追い討ちを掛けるのは
奏星の友人の本田翔子だ
奏星とは対照的に肩に掛かるくらいのミディアムボブで
黒髪にスラッと活発そうな印象を受ける体型をしている
女の子だ
「すみません、ウチの旦那が」
「旦那ちゃうわ」
「う~、モリゾー君、しょこちゃん むっくんが認知してくれない…」
なかなか誤解を招きそうな発言をしだす奏星に
モリゾーが返すちなみにモリゾーは彼のあだ名だ
森をしんと読むのだが皆、ぱっと見でもりと
読んじまうからいつの間にか定着したやつ
「むったん、見損なったぞ!」
「ひどいわ、むったん!」
「やかましいわ!てかむったん言うな!」
「はいはい、早く食べないと休み時間終わっちゃうよ」
「奏星さん、あなたがはじめたんですよ…」
「そだぞ、六良はよ食べんしゃい」
「そうよ、奥さんがせっかく作ってくれたんだから」
散々人のことを弄っといて
我先にと弁当を食らい始めるモリゾーに
あと奥さんじゃないですからね…しょこさん
イラつきながらも自分の弁当を取り出す
「今日は割と自信作だよ~味わってお食べ」
にひひって感じの笑みを浮かべながら言う奏星
何やかんやで弁当を作って貰うという
テンプレ幼なじみ的、施しを受けてる手前
強く言えないという泣き所
「いいなぁ~、俺も女の子の手料理食べたい」
「今日の調理実習で作ったアップルパイあげるから我慢なさい」
「しょこ様、ありがとうごぜいますだ」
そんなやりとりを横目に
弁当を開くとふわとろの卵に包まれた
オムライス(ケチャップで書いたデカいハート付き)
がお目見えした
マジか…