表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/16

第一話 ベースボール

 今回は人物紹介が多めです。


 織田家の家臣は大体知ってるという方は、流し読みでOK!



 もう何度目の異世界召喚か分からない。そうボヤく信長に対して、家臣たちの反応は様々だった。


「召喚ですと……三百を過ぎてからは、数えておりませぬ」

「信長様だけの召喚が四百二回。家臣を率いてだと六百六十回目になります」

「こうも頻繁に呼ばれてちゃ、敵いませんなぁ本当に」


 柴田勝家(かついえ)。通称鬼柴田。

 信長から権六(ごんろく)と呼ばれているむさい(・・・)オッサンは諦めたように呟き。


 竹中半兵衛(はんべえ)。別名天才軍師、今孔明(いまこうめい)

 涼し気な雰囲気の好青年は冷静にカウントを報告し。


 羽柴(はしば)秀吉。信長の跡を継いで天下を取った男は疲れた様子で言った。

 彼もころころと名が変わるが、現在の名前は羽柴らしい。

 異世界召喚などすっかり慣れたもので、他の面々も戸惑うことなく雑談をしていた。


「今回は儂にも出番が! 最近は慶次に出番を取られていたからなぁ!」

「あの、珍しく私が連投なのですが」

「私は久方ぶりですなぁ」

 

 前田利家(としいえ)。幼名、犬千代(いぬちよ)

 信長から犬と呼ばれている男が嬉しそうに言えば。


 池田恒興(つねおき)。信長の幼馴染。

 大体五回に一回しか呼ばれない男は、前回、前々回と合わせた三連続登板に戸惑っているし。


 佐久間信盛(のぶもり)

 十回に一回呼ばれるか呼ばれないかの微妙にマイナーな男は、マイペースに茶をすすっている。


 まだ会議は始まっていないので、思い思いに過ごしている面々だが。

 彼らの横に座る二人組は窓の外を見て、建築の技術力からこの王国の力を計っていた。


「今回は中世ヨーロッパ前期の街並みですね」

「ふむ……技術力はまあまあにござるな」


 前者は丹羽(にわ)長秀(ながひで)、信長から五郎左(ごろうさ)と呼ばれる男だ。彼はなんでもこなす器用な人物で、特に建築の指示が上手く。信長から重用されていた織田家の柱である。


 前回召喚された宇宙戦争の世界では。銀河大戦の行方を決定づけた大陸級不沈要塞《ネオ・アヅチ城》の建築を任されていた。


 後者は滝川(たきかわ)一益(かずます)

 相槌を打った男は、織田家五大将の一人として知られる鉄砲の名手だ。

 宇宙戦争の際には敵国にスパイとして送り込まれ、スナイパーとしても活躍した。


 この字面だけで既に滅茶苦茶なのだが、彼らはあらゆる世界で引っ張りだこだ。

 もう慣れたもので、中世前期くらいの文明力かな。などと分析をしている。


「ん? 一益さん、今回もござる口調なん?」

「そうでござるなぁ。これで固定されたっぽいでござるよ。……本当にもう、勘弁してほしいでござる」


 親戚の一益に茶々をいれたのが前田慶次(けいじ)だ。本名は前田利益(とします)

 彼も有名どころだが、ちゃらついた雰囲気のあるオシャレな男。いわゆる傾奇者(かぶきもの)である。

 慶次が茶化すように言えば、一益は苦い顔をした。


「前々回は西部劇の世界でござったが……」

「かの有名なビリー・ザ・キッドと背中を預けてマグナムを構える男が、ござる口調のエセ忍者なのは笑いましたわー」

「むむむ……」


 それはそうだが、煽るように言うのは森長可(ながよし)。信長からは鬼武蔵(おにむさし)と呼ばれている。


 長可は畜生だ。

 それはもう、ぐうの音も出ないほどの畜生である。


 人が嫌がることを率先して行い、強きを(くじ)き、弱きをもっと挫くタチの悪い男だった。


 世が世なら煽りカスと呼ばれる男が一益を煽れば、エセ忍者はしかめっ面をしたのだが。一益は忍者の里として有名な甲賀の出身であったため、後世では忍者キャラとして扱われている。


 別に忍者の修行をしていたわけではない。

 しかし召喚時に何があったのか、強制的にエセ忍者口調で固定されてしまったらしい。


「さ、皆さん。それはそうとして、情報は出そろいましたよ」

「ふーむ、優先順位はこう、かな」


 一方で、言わずと知れた智将、明智光秀は冷静に情報をまとめていた。

 その横で情報を整理する強面の男は佐々(さっさ)成政(なりまさ)

 信長直属の配下として、様々な戦場を渡り歩いた勇猛な男だ。


 成政は黙々と作業をこなしており、今は光秀と共に提案書――信長の威圧にビビった王国サイドの言い訳――を、重要なものとどうでもいいものに分けている。


「では、始めましょうか」

「うむ。蘭、茶を配れ」

「はっ」


 森可成(よしなり)。古くから信長に仕える古参の男。攻めの三又(さんざ)と呼ばれる男が会議を取り仕切れば、息子の森蘭丸(らんまる)はお茶を配り始めた。


 蘭丸は信長の側近で、主君と同じベッドで寝るほどの間柄だ。中性的な美男子で、その界隈からは絶大な人気を誇る男でもあった。


 ちなみに当代一の煽りカスこと、長可は蘭丸の兄である。


「戦力は十分……というか、信長様のレベルなら単騎で世界征服もできると思うが」

「はてさて、此度はどんな戦になりますかな」


 この世界で何をやればいいのか。

 それは間を置かず、光秀の口から発表された。


「今度は野球です」

「野球かぁ」


 ベースボール。


 白球とバットが運命的な出会いを果たし、その行方が生み出すドラマは感動ものだ。

 九人でやるスポーツなので、十五人いれば控え選手も確保できる。


 どうせやらなければ帰れないので、やることはやろうかと思う家臣団だが。



「うん」



 ――別に、儂らを呼ばなくてもよくない?


 という信長の一言で、会議の雰囲気は一瞬でお通夜になった。



 少しでも。面白い、続きが気になると思ったら↓の☆をお願いします!


 ☆をつけてくださった分だけ寺を焼き討ちに行きますので、よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ