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詩集 泥中の花のように  作者: 真朱マロ
「届け、言葉の力。」令和元年台風19号被害支援プロジェクト
2/10

名前も知らない貴方へ

名前も知らない貴方へ

電子の海からこんにちは


見知らぬ貴方にとって

どこの誰かもわからぬ私なのですが


今の貴方に 私はなにができるでしょうか?


きっと 私とはまるで違う場所に居て

きっと 私とはまるで違う想いを抱えていて


見知らぬ貴方の心の内を

勝手に想像するのもおこがましいのでしょうが


思いもよらない災害を

遠くから 近くから 目にすることで


前を向くことも 進むことも

振り向くことも できないまま


笑うことはもちろん

泣くこともできないなんて

不器用に固まる心を持ってしまうと


ただ ただ

ここにいるしかできなくて


自分のために

楽しいなにかを探すと

見知らぬ誰かを傷つけているようで

息をするだけで後ろめたい気持ちになるけど


きっと ほんの少しぐらい

動けない日があってもいいのです


今 私は生きていて

今 貴方も生きていて


それだけで

よかったなんて思ってしまうぐらい

貴方が無事でいることが嬉しいのです


いつかきっと

新しい朝が来て 夜が来て

春が来て 夏が来て 秋が来て 冬が来て

水があって 布団があって 屋根があって


安心して眠れる日常が 普通になって

あたりまえの生活として繰り返されるでしょう


形のある何かを届けるには

電子の海は不確かなものだけれど


今はただ 静かに私は願うのです


今夜の貴方のもとに

ふんわりとあたたかな眠りが訪れますように


そして 貴方に訪れる明日が

おだやかで やすらぐ 一日でありますように……

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