Episode 4‐3
ここはかすみ荘。街のはずれにある、とある廃校になった高校の学生寮だった場所である。
「シファ!!アンタ自分が何やったかわかってんの!?」
怒鳴った桃色の髪の小柄な少女の名はマモンという。
その怒号や、怒りと落胆の混じる表情は鬼気迫るものがあった。怒鳴られているのはブロンドのボサボサとした長い髪に赤い般若の面で顔を隠した小柄な少女。名をシファというその少女はだらんと椅子にへたり込むように座っていた。
「アレは消してもいい奴だと思った」
シファが淡々とした口調で答えた。
「バカ!!人一人殺しちゃったのよ!!」
シファは押し黙った。首をかくりかくりと左右に揺らしているその様からはまるで真剣さが伝わらない。
「二人とも落ち着いて……とりあえず甘いものでも飲んで」
「ココアです~」
亜麻色の長い髪、前髪で片目がすっぽり隠れたアスモという名の女がそう言うと、メイドがホットココアの注がれたカップを出してきた。
「アスモは甘すぎんのよ……警察にでも目を付けられたらどうするのよ……」
「まあ、シファの殺り方じゃあ足は付かないと思うよ。まるごと消しちゃったんでしょ、証拠も何も残っていない」
「白昼堂々、中学校の校庭でやったのよ!?窓からも大勢の生徒に見られていたと思う」
「うーん困ったわねぇ……」
二人は深く溜め息をついた。シファは相変わらずかくりかくりと首を左右に揺らしている。般若の面で顔が隠れていることも相まって、その様子は少々不気味だ。
「大体アンタ、その趣味悪いお面外しなさいよ」
シファはそれに応えようとはしなかった。
「退屈」
一言そう言うとシファは寮の外へ出ようとする。
「ちょっと、どこ行くのよ!!」
マモンが人差し指をドアに向ける。瞳に魔法陣の模様が浮かび上がり、彼女のサイコキネシスでロックはガチガチに固定された。だが、彼女の能力をものともしない様子でシファはロックに手を触れず開錠した。バチバチと紫電が纏わりつきながらドアは開いた。
「待ちなさいよ!!」
マモンが制止するも無視し、シファは外へと出て行ってしまった。
「ちょっとアスモ、どうすんのよ!アタシの力だけじゃあのバカ止められないんだけど!」
「今は一人にさせてあげたほうがいいのかもね……」
「今度は何をしでかすかわからないのよ!!」
「マモ、ちょっとはあの子を信じてあげて。昔はあんなじゃなかったのよ……」
(しかしまさかここまでとはね……一体『世界の外側』で何を見てきたのかしら)
アスモはただ頭を抱えるだけだった。




