達成
『仕方ない。黒光魔法でも試すか。』
なんとかして運ぼうとしてみたものの、流石非力幽霊。全く動かせず。断念したのだ。念力的なものもやろうとはしたものの出来るわけがなく、黒光魔法を試す事にしたわけだ。
『えーと?こうか?《ブラックイレイサー》!………………うわぁ、えげつな』
ペカーっと黒い懐中電灯の光みたいなのが広がり、光に触れたところが抉れるように消えてゆく。MP消費は発動で3、その後3秒ごとに1使うようだ。やっぱり効率おかしいだろ…
いい魔法を手に入れたが、かませ悪党分の魂ではそこまで強くなっていなかった。人間からではステータスの吸収率が低いのかもしれない。奪うにしても高レベルの人間か、同じくらい以上の魔物にした方がいいかもな。
「う…ぁ………………あれ?」
フラッシュストライクを放った少女が起きたようだ。ちなみに騎士Aは気絶したので、放って置いている。
一応簡易チェックしておこう。
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シャリー 女 状態異常:魔力暴走
種族:半精霊
Lv2
スキル
*氷魔法Lv4 *幻 *マジックマスター *封印術 *霊視
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れ、Lv2だとっ⁉︎
まじか、そのLvで氷魔法はLv4、光魔法は、俺が奪ったLv3に3を足してLv6?ありえない。
なんだ?そのマジックマスターってのが関係してるのか?
「?なにしてるんですか?驚いたような顔して固まって。』
『なん…だと……⁉︎』
こ、こいつ、俺のことを認識しやがった!
死後初めてのコミュニケーションだ!
「今度は喜んでる?えっと、さっきの黒い杭はあなたのですよね?」
『お、おう。そうだぞ。あれか、霊視スキルがあるからか?』
「えっと、はい。霊視は持ってますけど…そ、そうだ!お礼言わなきゃ!あの、さっきはありがとうございました。」
『どういたしまして…?とりあえずなんでこうなったのか教えてくれ?」
「はい………」
話を纏めるとこんな感じだった。
シャリーは半精霊で、精霊として召喚されたらしく、この館で町長(ここは町長家らしい)の息子に魔法を教えてたそうな。しかしさっき現れたあのかませ悪党が館に火を放ち、町長一家全滅。シャリーは生き延びたようだが、運悪くかませ悪党が騎士Aから逃げてきたところにバッタリ遭遇。そのまま人質にとられ、あとは俺がみた通りだった。シャリーはこの町では有名だったらしく、悪党も火を放つに当たって対抗策(精霊支配)を用意していたようだ。
『災難だったな。で、あの出来損ないってのはどういう意味なんだ?』
「それは………」
『まぁ言いたくないならいいや。あ、あと事後承諾になるけど光魔法貰ったから。』
「え?……うぇえ⁉︎ない!光魔法がない!なんで!」
『俺が奪った』
「奪ったってことはつまり……………‼︎ありがとうございます!」
『は?』
「あのですねぇ、私のスキル *マジックマスター の所為で魔法が異常にレベルアップしちゃってて…扱いきれなくてずっと魔力が暴走してるんです!魔法が一つならまだしも二つあるともうダメで、封印してたんです!」
満面の笑みでさっきまで話したがらなかった事をペラペラ喋る。もしかしなくても天然だな。
『お前それ喋りたくないんじゃなかったのか?』
「あっ………忘れてくださいー!マジックマスターは私が世界初取得した秘密のスキルなんですぅ〜!」
『いくらなんでも無理だろwてか秘密にしたいなら世界初取得も黙っておけよ」
「はうぅぅ…そっちがその気ならやってやりますよ!絶対に喋らせません!ずっとついていきます!」
『俺なんの気もねぇよ⁉︎てか俺幽霊だから!普通喋れないから!」
「え。。。。幽霊………?」
すごい勢いで勝手に話を進めていた天然半精霊シャリー。幽霊って聞いた瞬間動きが固まり、ガタガタしだす。
おいビビしたけってんじゃねぇよ。
「いやぁああぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあっ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
「っ!何事!」
絶叫しだした。あまりの声に騎士Aが起きたぞ。今起きられてもめんどくさいのでとりあえずまた気絶させる。やり方は簡単。目の前にダークストライクを落とすだけだ。
「はぁ、はぁ、はぁ、幽霊いやぁ!」
『ビビりすぎだろ、落ち着け。俺はただの無害な人間(幽霊)OK?』
「は、はいぃ…」
やっと落ち着いたようだ。それにしても、ずっとついてくる。か…いいんじゃないか?俺はコミュニケーションがとれないし。
『で、一緒に来るって?』
「もちろんですっ!私の秘密を知ったからには逃がしませんよ!……幽霊は怖いけど」
『はあ、じゃあさっさとこの町を出るぞ?』
「え?なんでですか?」
『ここ火事現場だぞ?今あっちの方に警備員いたし、見つかったら面倒なんじゃないか?』
「あ、はいわかりました」
『ほら、いくぞ』
「はいぃ!」
不安だ…まぁ、脱ボッチ出来ただけいいか。この町での目標、達成だ。




