御都合主義
目の前で騎士Aとかませ犬的な立ち位置の悪党のすごくテンプレート道理な対話が行われた。
全体的に適当感が否めないけど、本人たちは真面目にやっているのだろう。
しかしそんな中でめっちゃリアルだったのが少女の放った言葉だった。
そしてあの表情、宿屋の娘と同じ感情が現れていた。俺はあの顔が嫌いだ。あんな顔は誰もしない方がいい。だからその顔をさせた奴は叩き潰す。少女が詠唱を終わらせた、唱えた呪文はフラッシュストライク。
多分ダークストライクの光バージョンだと思う。てかやっぱ詠唱いるんだな。なんで?と思ったら…
すいません。追加忘れてました。と言わんばかりに無詠唱がスキル欄に増えている。なんたる御都合主義。このままだと騎士Aが死ぬのでフラッシュストライクに無詠唱ダークストライクをぶつけて相殺する。
「「…………………え?」」
そりゃあ驚くよな。だって何もないとこからいきなりダークストライクだもんな。
「何が起きてやがる!ふざけんじゃねぇ!」
おお、かませ悪党が鳴いてらっしゃる。
っと少女が倒れた。精霊支配とやらに抵抗していた所為でかなり疲れてたからな。その中でのコントロールできていない魔法だ、身体に負荷が掛かるだろう。いい機会なので憑依させてもらう。
さてと、この子は悪いことしてないっぽいし、ソウルドレインしちゃうのはなぁ。さっき出来損ないとか言われてたのは光魔法が原因だろうからこれだけ奪っちゃうか。
《光魔法Lv3を手に入れた》
《光魔法Lv3と暗黒魔法Lv3を融合して、黒光魔法Lv3を手に入れた。》
え、何融合って、知らないんだけど。取り敢えず光魔法と暗黒魔法を一つにまとめたものと、2つの属性を混ぜたものが使えるようになったらしい。ラッキー。
「な!こいつ…光魔法のスキルが消えただと!」
かませ悪党は、*鑑定 と *鑑定詐称を持っているようだ、鑑定はステータスチェックの劣化版だな。
鑑定詐称は視せるものをいじれるようだ。貰っとくか、魂まるごと。
「がぁぁぁぁぁぁ!」
かませ悪党はそのままぐにゃりと倒れる。魂が抜けたからである。
この少女どうしようかなぁ。助けちゃったし…
「な、何が起こってるんだ?」
騎士Aがあからさまにキョドってる。よし、この少女は連れて行こう。多分この子がここに残っていると警備員に捕まったりして可哀想だ。騎士Aには屋敷に火を放った悪党を退治した英雄になってもらおう。うん、それがいい。さぁ、どうやってこの子を運ぶかな。