リザルト+α
『《首刈り》!《首刈り》!《首刈りぃ》!はぁ、はぁ、はぁ…やばい。MP切れか…』
ひたすら何も無いところに技を使い続ける事1ヶ月。
ステータス的には鳥戦から一切変わっていないが、技術の進歩は正直えげつない。魔法も覚えたし。
MPも切れたし、ちょっと技・魔法関連まとめておくか。
この1ヶ月、勿論新技も作っていたのだが…
『これなぁ、予想以上に使いずらい。縛りが激しすぎるんだよなぁ。』
誰でも作れる《技》であるが、それには縛りがあった。具体的には…
1 今装備している物に関係する技しか作れない。
↓俺鎌しか装備出来ない。しかも、
2 登録していない技を使うとMPがごっそり持っていかれる。
↓つまり、
3 一つ作るのにMPがほぼ全て消えるので、よく考えなくてはならない。
さらに、一つにつきヒト1人分の魂のカケラが必要ならしい。
※魂のカケラとは! 魂を奪った時、そのままステータス分などは吸収される。(これを俺は 喰う と呼んでいる)
そして、ステータス以外…つまり、名前や称号なんかは残る。それが知らず知らずのうちに結晶化。そうして完成したのが魂のカケラだ。
『技一個のために不必要に人を殺すのはなぁ…』
敵を殺すのには躊躇ないが、無抵抗で無害で無関係な人を殺すのはちょっと心が痛む。
勇者を殺す為に勇者紛いの事してても意味ないしな。
しかし、魂のカケラは1人につき一個っていう訳ではない。
いい例があのかませ悪党である。
『あいつ、結構なワルだったのか称号が多かったんだよな。‘不審極まりない者’とか一体何したんだよ…』
何故かあいつの称号が7つもあったので、魂のカケラが2つ手に入っていたようだ。首刈りと死神はこれを使ったようだ。
称号が多い奴を狙っていけば効率があがるのか…?
この1ヶ月間で一度だけ出会った盗賊3人組は3人喰って3つだった。って事はその可能性が高そうだな。
次は新技。盗賊3人より獲得した魂のカケラを使って作った奴だ。
俺のやっていたMMOより登場!
《バインドサイズ》!
相手の動きを止める。ただし、相手のHPが残1/6を切っていないと確率が物凄く下がる。
後ろから死神が鎌の先端を喉元に突きつけているイメージが一番わかりやすいと思う。
HP縛りについては、ピンピンしてる元気な奴に鎌突きつけられる訳がないじゃん?って事らしい(MMO作者談)
同じく、MMOより登場!
《ソウルウェーブ》!
魂を揺るがす波動を放つ。連続使用で強くなる。(最大5回)
初の範囲攻撃!嬉しい!けどまぁ。一見万能に見えるこの技、MMOでは実は意外と弱かったりする。
魂を揺るがすとか言ってる割に威力が少ないのだ。ちょっとノックバックがあるくらいだ。
だがしかーし!この世界では感情混入が出来る!憎悪とか嫉妬とかを込めてやれば化ける筈だ。
おしまい。
ん?3つ目は無いのかって?
選択肢が多過ぎて選べなかったんだよ…少なくとも今はすごく貴重な魂のカケラだ。普通に欲しかったさっきの2つと違って、迷うレベルの事に使う訳にはいかないのだ。これから欲しい技が見つかり次第使う予定である。
最後、魔法。
黒光魔法より、《闇の祝福》
いわば、魔物/魔族専用回復魔法。人間には毒みたいだ。回復手段が手に入ったのは素直に嬉しい。
紅血魔法より、《黒焰》
範囲攻撃である。黒焰の癖に、黒い炎ではなく漆いオーラを纏った紅い炎だ。名前詐欺である。どっちにせよかっこいいから許すけど。
ちなみにソウルウェーブは物理範囲、この黒焰は魔法範囲だ。使い分けていきたい。
『さってと、MP回復したな?今日でこことはお別れするつもりだしもう少し練習するかな。』
「こんばんは、コッツさん。ポーンさん。シャリーさん。」
「ああ、で?詳しい説明、してくれるんだろう?」
シャリーが目覚めた日の夜…とある部屋に1人の少女と、3人の冒険者が集っていた。
「ええ。勿論です。S級危険モンスターについて…つい最近少し状況が変わりましたが、その機密情報を含め全てを話しましょう」
「おいら達ゃあ、その話の内容によって協力するんでやんすからね?」
「それでは、まずはS級危険モンスターとは何か。からお話しましょう。S級危険モンスターとは…」
S級危険モンスター
その名の通り物凄く危ない魔物。単純な戦闘力ではなくその能力や特性なども含めて定められている為、そう簡単には突破できないだろう。
「こんなところでしょうか?」
「むぅ、これはなかなか…」
「…多分かなり厄介なんでしょうね?」
「本当に、勝てるのですか?コッツさん達はともかく私は詠唱破棄とクールタイムの短さだけが取り柄ですよ?」
「シャリーさん、自身を持ってください。貴女は強くなります。必ず。」
「なぁ、ホオノさん?こいつら、具体的にはどんくらいの強さなんだ?人間が戦っていいのか?」
「一体一体、説明した方が良さそうですね。S級危険モンスターは一般的に、4体存在します。」
「ちょっと待つでやんす。一般的、とは?」
「最近は現れていませんがもっといた、という事です。数年前から姿を眩ませていますが。」
「なるほどでやんす。止めちまって悪かったでやんす。」
「いえいえ……そのS級危険モンスターを一体ずつ説明しますと…」
魔鯨・メギルプ
強力な酸で形造られた鯨型の魔物。物理攻撃完全無効でHPも高く、倒すのは至難の業。 Lv:180
ルダ
ヒトの姿を真似、騙す。もし心を許してしまえば女は殺され、男は死ぬまでアイサレるのだとか。 Lv:96
ノクトルティア
鋼鉄都市ノクトルティアに住まうオートマタ。自らの民をとても大事にしていて、基本的に無害。ただし、強大な力をコントロールしきれず、民を守る為に暴走する事もしばしば。そういった面が理由で指定されている。 Lv:300
土怪鳥・ヴォヴィオ
地中を泳ぐ怪鳥。岩を吐き出し、一切の状態異常を無効化してくる。繁殖する。 Lv179
「です。」
「なんつー…異常な強さだな。てか酸の塊とかどうやって倒すんだよ…」
「あのルダってやつ、見分け付かないんでやんすかね?そうだとしたら厄介なんてもんじゃないですよ」
「ノクトルティアさんが敵対していない様なのは良かったですが…」
「皆さん。ここからはまだ守護者と王しか知らない情報です。絶対に他言しないと誓ってください」
「お、おう。わかった。絶対に話さない」
「誓うでやんす」
「誓います」
「では……先程話した。S級危険モンスターの一体。土怪鳥・ヴォヴィオの死骸が発見されました。」
「「「え?」」」
「悪い、もう一回言ってくれないか?」
「だから、ヴォヴィオの死骸が発見されました。」
「? それは素晴らしい事じゃないですか!なんでそんなにどんよりしているのですか?」
「それは…それが恐らく【クロム】によるものだからです。シュアンに怪我を負わせた、元A級、そして新S級危険モンスターの【クロム】と、ヴォヴィオの死骸の出現時期と位置が一致していますから。」
ーー【クロム】
突然現れた謎の魔物。正体不明。神出鬼没の存在で、基本、人は襲わないらしい。目撃者曰く、もやもや。だそう。ヴォヴィオを討伐したと思われ、新たにS級危険モンスターとなった。