冒険者ギルドと情報屋
文章が繋がりすぎて読みずらい気がしてきたので今回から大目に開校して間を開けるようにしています。
会話って素晴らしい。
俺は今、コミュニケーションの大切さをしみじみと感じている。なにせ今まで自分が見える人さえいなかったのだ。やっと出来た‘普通’の会話に喜びが満ち満ちている。
『ふーん、なるほど。冒険者ギルドねぇ…って事は迷宮とかあったり?』
「します」
異世界といったら冒険者ギルド、冒険者ギルドといったら迷宮だろう。やはりこの世界もそのテンプレからは逃れられなかったようだ。多分勇者一行も迷宮に潜るんだろうな…伝説の武器かなにかを求めて。
「そういえば、私あなたの名前も、旅をしている目的もなにも知らないんですが…」
『シャリー、お前は馬鹿か。それでついて来てどうするんだよ』
俺の中ではシャリー=天然お馬鹿って認識だから説教するようなことが口から出たが、俺も人のことは言えないか。でも旅の目的が勇者を憑き殺す事とかいったら怒るかな?世間一般では勇者は正義の象徴みたいなもんらしいし。(王情報)
まぁ、せっかく手に入れた通訳なので逃がしたくない。もう少し心を開いてくれるまで適当に教えておくか。
「………………なんで私の名前知ってるんですか…?」
ギクッ
こそっと視たからコイツからしたらまだ名前は知られてないはずなのか…。当たり前のようにチェックした事を忘れていた、要注意だ。まぁ、大丈夫だろ、だって馬鹿だし。
『いやぁ、だってお前あの町だと有名だろう?こっちが気づかれないだけで話は聞こえるんだよ。』
「私はそんな噂聞いた事ないですけど…でもつまり私も有名人だったんですね!」
このまま話の論点をずらしていこう。
『そうそう。有名人有名人。じゃあ自己紹介するぞ?----
----俺はゼロ、訳あって幽霊している。
旅の目的は、復讐だな。相手は言わなくてもいいだろ?』
「ふ、復讐ですか…巻き込まないでくださいね?」
よかった、。言わなくていいらしい。
動機が不純すぎるから不安だったがーー。動機といえばコイツも俺の監視らしいし不純だよな。
『お前は俺の監視だっけ?意味無いと思うけど』
「意味はあります!スキルのことは絶対秘密なんですよ!念には念を入れて、です。」
よくわからないが、大事なことらしい。俺は見えてないので、いきなり一人で叫んでるようにしか見えないが、関係無いとばかりの大声だ。
そろそろ町が近いので商隊がチラホラいるんだが、ものすごく心配した目をしてこっち(シャリー)を見ている。
『見られてるぞ』
「あっ…と、とにかく大事なんです!ほら、町が見えてきましたよ!あの大きな円柱が冒険者ギルドですよ!目線なんか放っておいて早く行きましょう!」
『そうやってまた大声出すから目立つんだが…行くなら行くぞ。』
本来は冒険者ギルドに本気で目を輝かせるんだろうが、台無しであった。
『なぁ、お前は冒険者になるつもりはあるのか?』
「ないです」
『なんでだ?旅に資金は必要だろう?』
「魔物のドロップ品を売るだけで十分です。冒険者になって、いきなり強制的に働かされるかもしれないですし。」
この世界の冒険者はブラックなのか?
『ふーん、とりあえず行くぞ。欲しいのは勇者の情報だ。』
「勇者ですか?別になんでもいいですけど絶対にスキルのことは言わせませんからね!」
『お前が勝手に喋っただけだろう…』
我々は冒険者ギルドに向かっている。勇者の情報を仕入れるのに一番早いと思ったからだ。
で、あわよくばシャリーに冒険者になってもらいたい。だって冒険者だよ?心の黒歴史が疼いて仕方ないのだ。
お、着いた。
『町外から見るよりでかいな』
「当たり前です。こんな汗臭い所に長居したくないのでささっと調べてささっと離れましょう。」
汗臭いって……めちゃくちゃ失礼だな。確かにそうだけどそれは心に留めておくものだろう。
あたりの柄の悪そうな冒険者がこっち(シャリー)を睨んでいる。あ、こっち来た。キレてらっしゃる!
『おい、謝って逃げろ。今日は多分無理だ。宿に泊まるなりして明日出直すぞ!』
「え?なんでですk『早く!』ご、ごめんなさい!?」
コソコソと逃げる。
よかった、追っては来ないようだ。危うく町のど真ん中でボコされる所だった。
しかしお馬鹿シャリーさんはわかっていないようで「なんでですか?」とムスッとした目線を向けてくる。
『お前なぁ、なんで本人達の前であんなこと言うんだよ。気を使え、気を。』
「事実なんだからいいじゃないですか!」
『デリカシーなさすぎだろ!お前目の前で出来損ないって真面目に言うやつのことどう思う?』
「すごい酷い人だと思います!」
綺麗なブーメランである。
『それ、お前のことだぞ?』
「?」
『はぁ、もういいや。宿探すぞ。』
「お金ないですよ?」
は?
『今なんつった?』
「だからお金ないですよ?宿泊まれません」
………………そうでした\(^o^)/
結局昨日は町の外で野宿した。
せめて町の中が良かったのだが、駄目らしかったので、渋々である。
『お前変なこと言うなよ?絶対だぞ?』
「フリですか?」
『んなわけあるか。馬鹿にすんな。馬鹿はお前だ。』
「んなっ!」
今日こそは失礼を言わないように釘を刺し、再び冒険者ギルドに向かう。
「やっぱり汗くs『じーーーーーーーーっ(目線)』………………はい。」
馬鹿が何か言おうとしていたが無言の圧力でやめさせる。
さて、ギルドの中は………
『これはすごいなぁ。人が多くて探しずらい、情報屋はどこだ?………………あそこか。』
情報カウンターなるものがあった。
「すいません。情報カウンターという事ですけど…」
「はい、情報をを求めですか?でしたらこのベルを持ってお待ちください。」
すっごい見たことある光景。どこのフードコートだよ。この世界の技術レベルがわからん…
「4番ですか…少し待ちましょうか」
『ああ』
ちょっと初心者向けの依頼板を眺めてみる。かなり幅広いようだ。
『アイテム収集に魔物の討伐、護衛からメッセンジャーまで、なんでもありだな』
「こんにちは。どのような情報をお求めですか?」
そうこうしているうちに順番が回ってきたようだ。少し腹の出たおっさんが歩いてきた。
『勇者の居場所について頼む』と伝えると、親指を立ててきた。流石に人前で会話するほど馬鹿ではなかったようだ。
「勇者が今どこにいるかわかりませんか?」
「ふむ、勇者ですか。確か2週間ほど前にここを訪れ、精霊の里“フレールン”について調べに来ていましたな。従者3人と共にいらっしゃいましたよ。」
3人だと?………空き枠を埋めたのか?
「フレールンですか…ありがとうございました。」
「いえいえ、私共情報カウンターはギルドの方に雇われる形ですので、ギルド以外にもいるのですよ。今回は初回サービスという事でお代は結構です。またご利用くださいね?」
なかなか上手い商売だ。いい情報を渡されてそれをタダにされたら恩を感じちゃうからな。長い目で見ている。
「すごいですね。何故初見だと?」
「私共はお客様にこのバッヂをお渡ししております。2度目からは少しサービスさせて頂くのですよ。」
ほう、バッヂを見て判断すると。そして1度目はタダだから、2回目からは高くてもサービスされていると思う……稼げそうだ。
「ほかに欲しい情報は?」
「今は大丈夫です。本当にありがとうございました。次もお訪ねさせてもらいます。」
うちの馬鹿は商売にかかってしまったようだ。金ないのに。
「それでは良い旅を」
情報屋は一礼して去ってゆく。シャリーは一礼を返す。
そういえば…
『おい、フレールンってなんだ?』
「私の故郷です。精霊は一番近くの里から召喚されるのですよ。私があの家に召喚されたのもフレールンにいたからです。」
なんと故郷らしい。でもなんで勇者がそこに?
「………………………………!?」
シャリーが目を見開く。
そして、
「私、やっぱり冒険者になってきます!」
そう言って冒険者登録のための列に並びに行った。
何があったんだ?
さっきまでシャリーが見ていた方を向いてみると、
『なるほどな』
そこにはこんな依頼が貼ってあった。
至急求ム!
内容:精霊の里の調査 定員:3人 報酬:銀貨30枚 依頼主:精霊使いの会
詳細:最近いきなり精霊が呼べなくなりました。精霊が召喚出来ないと仕事が出来ません。何かあったはずです。誰かフレールンへ出向いて調べてきてください。よろしくお願いします。
主人公が脱ボッチしたので、会話が増えます。多分一話の長さが伸びていくと思います。