ドラリア1 ~達観主義な男~
こんにちは!
ドラリアはドライでリアルな学園ラブ?...コメディ!といった感じです!
千載一遇のチャンスを平気で逃したり、もしかしてが起こらないことが多かったり、結局こんなもんだよなぁリアルってみたいな。そんなどこか冷めた(乾いた??)高校生達が集って何かアクションを起こすのか??という作品です。
一見つまらない人間の集まりと見えるかもしれません。が、しかし!!意外とクラスで静かな人程喋らせてみると面白いんです!!
この作品でそんな事に気付いてもらえると幸いです。
期待は、裏切られる為にするものである。
そして裏切られたことに気付いた人達が始めるものは、後悔だ。そんな持論を展開する俺も、後悔を始めてそろそろ一年になり、明日やってくる新入生の一部も残念ながら後悔を始めることになるだろう。......といかにも日常に絶望してそうな表情を作っているのだが上手くできているだろうか。俺は、この高校に入って後悔など全くしていない。そもそも期待をしていなかったからだ。確かにドラマ、アニメ、マンガ、小説などの青春の舞台は、高校で恋やら友情やらのキラキラしたもので覆われている。だが実際は、そんなこともなく、たとえ現実でそんなことしをてもどこか物足りないのだ。それを高校に入学する前から理解していた俺は、決めていたことがあった。それは傍観者でいることだ。先程例に出したものは視聴者や読者であるからこそ楽しめたのだ。それは、現実でも変わらない。そんな予測のもと高校に入ってから基本どんな人とも付かず離れずの関係を築き、自分を除いた人間関係を眺めていたのである。今は、授業中でもうすぐ今年度のクラスメイトの詳細をまとめたノートが完成する。最終的には全校生徒分を作る予定だ。
ほぼ全員とある程度の距離をとっている俺は、この学校のどこにスポットを当てても主要人物として登場することはないだろう。ある一点を除いては......。
放課後を告げるチャイムが鳴る。男は、たった今完成したノートを満足げに眺める。一人当たり平均五ページは、書いたであろうか。去年の改訂版なので、割と良いペースで進んでいる。絵は苦手なので石川に描いてもらおう。
俺はページをめくり現状を確認する。新年度が始まったばかりなので、人間関係の問題はまだ発生していないように見える。そうなると今一番の問題は、久山であろうか。
p53.久山進一(16)。七月十二日生まれA型。ノートを読み上げているとキリがないのでまとめると何でも平均以上にはできる。生徒会に所属している誰にも明るく真面目な人だ。因みに俺の体育での二人組のパートナー最有力候補だ。彼も俺と理由は違うが一定の居場所を作らず皆と均等に接している。まぁ接する量には雲泥の差があるのだが......。
その久山がなぜ問題なのかというと今生徒会が慌ただしく少し困っていそうなのだった。
おそらく久山の場合だとクラスで相談してくるなら俺になるであろう。少し準備しておくか。
男は席を立ち教室を後にした。
廊下を歩いていると肩を叩かれる。振り向かなくてもわかる佐伯だ。p.64(前年度版)佐伯純(16)。十二月四日生まれ。O型。バドミントン部所属 。(中略)追記七月十六日一つ上の先輩がいないこともあり一年にしてキャプテンになる。しかし、人数が少なく廃部寸前に。そこに目をつけたとある男によって人数を確保。ぎりぎりのところで部活を存続させている。思考回路が単純で騙されやすい。
「何か用か?」
俺は意識的に眠そうにかつ、面倒臭そうに声を出す。
「用ってお前はテニス部の部員だろ?」
「そうかもなぁー」
ここでかもを使ったのは、客観的に見て俺がテニス部に見えるか?意味合いである。
「お前が、今日部室に来るかわからないからここで相談しておこうと」
佐伯の純粋さに満ちた笑顔に違和感と嫌な予感を覚える。
「早くしてくれないか?人を待たせているんだ」
もちろん嘘だ。そんな相手いるはずもない。
「明日、新入生が入って来て部員を確保することができればもうお前たちに迷惑かけないで済むから」
「そうか。それは良かった」
そんなこと思っているはずもない。バド部の部室は、自分達の活動拠点であり、そこがなければ俺は、傍観者ではなくただの恋人0。友達0。長所0の学園生活三大基盤を失った哀れな青年である。人数が足りて俺達が、必要ではなくなった所で捨てる算段か?いやそれはない。こいつは純粋に自分の為にわざわざバド部に籍をおいてくれていると思っているのだ。なのでここで俺が数名で集まれるところを探していて、丁度潰れそうな部活があってそこにつけこんだなんて言えない。やむを得ない。何か手を打つしかなさそうだ。
「じゃあまた後でな」
佐伯は駆け足で部室へ向かった。一方男は佐伯とは反対側に歩を進める。目的地があるわけではなく考え事をするためだ。
最低条件は部員を二人以上入部させないだ。ここ寒総第一高校では四人以上の部員が確保されてない場合は部として認められない。今、バド部は、五人だが俺を含め三人はテニスをしていない。要は、俺が集めたメンバーだ。佐伯を含む残り二人が、真っ当なテニス部員である。つまり、後二人テニス部に入ると俺達が、いなくとも部として成立し晴れて退部となるわけだ。ここまで考えた時、男は間違いに気づく。
そして微笑を浮かべ呟く。久山の件はすっかり頭から消えていた。
「真っ当な部員が二人以上入ると....だな。」




