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瘴気漂う場所

彼等につられて私は町外れの大きな屋敷に着いた。




「ここが本署だよ。」



男達は何事もないように屋敷の中に入っていくが、私は入りたくなかった。



「どうしたの?早く入りなよ。」



男は目が笑ってない笑顔でこっちに話しかけるが



そんなのを気にしている事ができない




(なんでこんな瘴気が漂っているところに平気で入っていけるんだ?)



「どうしたの、ここがどこか気付いて怖気づいた?」



「…なんで、こんな瘴気漂う場所に平気で入れるんですか?」



私の一言に目を見張る男達。




ーーもしかして、知っていて?


よく目を凝らすと、薄っすらと結界らしきものが張ってある



それはまるで、中のものを外に出さないように蓋をしているかのよう。




「君は瘴気が見えるの?」



「…見える。だからこそ、こんな瘴気漂う場所には入りたくはない。」




男達は思案しながら話し合っている。


「…君は瘴気を払う事はできる?」



「出来るが限度がある。

何か憑代があれば、払えるが残念だが今は手持ちがない。」



「憑代があれば出来るの?」



「…まぁ、3日はかかるが払えると思う。

だが払っても、その場しのぎにしかならないからな、元を断った方が早い。」



瘴気の濃度や、広さを見て考えながら男の言葉に、相打ちを打つ。



「元が何かもわかる?」


「…無理だな。」



門から中を覗いて断言する。



「ここまでじゃなければ、わかっただろうけど。ここまで濃いとわからない。


これよりヤバいものなら分かるけど、それだともうここの奴らは取り込まれてるだろう。

これは日数がたって、ここまでの濃さになってるからここから探し出すのは無理だ。」





男達は全員押し黙る。


「…はぁ、何でここまでになるまで放置したんだ。

お前達なら、こうなる前に何とかできたんじゃないのか?」


「…ここまでの瘴気になったのは一週間前だ。」



その言葉を聞いて今度は私が目を見開く。


「邪術か…」


「…多分。」


邪術

それは妖との戦で最も苦戦した、妖が使う術。


わざと瘴気を拡散し、そこで繁殖を行う。


大規模なものだと一週間かけて土台を作り、その中に捕まえた人間を入れ、繁殖に適した体に作り変え、犯し繁殖する。




邪術によって犯された人や土地は大人数の陰陽師による浄化の儀で、何とか元に戻るが…


「何故移動しない。」


「瘴気を察知できるものが一週間不在だったんだ。」


何と無く話の状況が見えてきた、


恐らくこれは人為的邪術なのであろう、察知出来る者を遠ざけ


その間に邪術を仕掛け、残っている者達を人質とする。



戦が終わって直ぐくらいの頃に多くあった


だから、中の瘴気が外に漏れ出さないように結界が貼ってあったのだ。





「どこかに疎まれててでもいるのか?」


「ここでは言えない。それに部外者には話せない。」



つい口を出てついた言葉だったが、

なんだか事情を知られたくなさそうな雰囲気である。




別に私はあの人を探す目的があるのだから、首を突っ込まなくてもいいのだが、




いかんせん知りすぎた。



自分の中の線引きの内側に入っている事に気付き、仕方ないと一つお節介を焼くことにした。






「なら、何処か別の場所に移ろう。」




そう言って、屋敷に来る前に見つけた甘味処へと向かって歩き出す。





「…後、これも何かの縁だ。一週間は持つ結界の札を描いてやる。その間になんとかしな。」




驚いてついて来る男達に向かってそう言ってやると、申し訳なさそうに頭を下げて来た。





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