出会った女神
湖に飛び込むと激流に流されしだいに意識が薄れていく
すると、自分と意思とは関係なく走馬灯を見ていた
自分の能力に気付いたのは3歳の頃
喋った言葉が現実になり楽しんでいたが、その事が親にバレ気味悪がられ
その後、突然知らない人のところに連れて行かれた
「今日からここに住まわせてもらいなさい」
そう言われてその日からそこが私の家となった。
後になって、虐めてきた先輩達によって、自分が売られたという事を知ったがなんの感情もわかなかった
あの家に入ってからが地獄の始まりだった
知りたくなかった暗殺の技術や、
対人での戦闘の仕方、
更に私の能力を見た人たちに化け物と罵られ、
人として扱われなかった
そのせいか、人より成長できず今でも身長が150ない
それでも、救いはあった
何度か家から逃げた時、この湖に来ていたのだ
その時はただの不満の捌け口として使っていた
今迄はただ叫ぶだけだったが、以前その場を目撃されキツイ仕置をされた
だからその日は、不条理な扱いを殴り書きして瓶に詰め、湖に投げ込んだ。
本当は、それで終わりにするつもりだった
だけどこの書いた内容が家の者に見つかった時、どんな目に遭わされるか、
その事が頭によぎり、不安にかられ言霊を使いその瓶をどこかに飛ばした
それがきっかけだった。
2、3日した後、また再び同じ湖に行くと何故か飛ばしたはずの小瓶がそこにあった
私は自分の言霊が失敗したのかと思い小瓶をとり
草むらに隠れて中身を確認した。
しかしそれは私のものではなかった
中身は私が書いたモノではなく、続け字の文章が書かれていた。
自分以外にも同じ能力を持った人が居るのではないかと思い、言霊を使い文章を翻訳した
手紙には自分も同じく人とは違うの力を持っている事
だがちゃんと理解してくれる人達がいる事
だから君にもいつか理解してくれる人が現れるという事
それまでは私が君の理解者になりたい事が書かれていた
単なる慰めの言葉としか思えないかったが、それでも私の心は壊れずに済んだ
それから私はその手紙の主と文通を始めた。
ちゃんと、手紙の主の所に行く確証もなかったが、希望を込めて、大切に持っていたブレスレットの石を一つ小瓶に入れて彼方にいる相手に送った
その後、無事着いたのかお守りが入った小瓶が送られてきて嬉しかった。
その後はそれぞれのお守りを目印に手紙を送り、
様々な事を話した。
色々話し合っていくうちに文通の相手が自分とは違うの時代にいる事を知った
今のおじいさんでも知っているであろう単語も知らない、
所々で出てくる単語も学校で習う古文単語で習うような者だったりと、なんとなく分かっていても知らない振りをして続けていた
もうその時には、私の中で無くてはならない寄り所になっていたのだ
そして、今回の戦が起った。
私は言霊を使って妖との戦を終結した。
終戦後は英雄と称えられていたのに、今のこの仕打ちだ
(ほんと、私はバカだ。
人を信じ、裏切られたのにもかかわらずまた信じようとしている。)
もしこれで、また裏切られたら、どうなってしまうのかな
そこまで考えていたら急に激流が止まり私は床の上にいた
「ゴホッ...ゴホッ...ここは、何処だ?」
「ここは私の神殿ですよ霜崎朔夜さん」
急に声を掛けられ私は後ろにいる存在から距離をとった
私の後ろにいたのは白い着物を着た赤い瞳の少女だった
(気配を全く感じなかった、何者なのこの子)
「私は時と輪廻を司る神。貴女と話がしたくて、ここに呼んだの」
少女の放つ威圧感に足が震えそうになる
けれど、時を司ると聞いて何と無くここに居る理由を察した
「...それは、私が物を使って時渡り紛いをしてたこと?
それとも、これから時渡りをしようとしていること?」
「そのどっちらも、そして貴女に謝なければならない事もある。」
フッ…となくなった威圧感
悲しげに歪んだ彼女の赤い瞳は決して逸らされることは無くただこっちを見ている
「あなたの言霊で時空が歪んでしまっただから妖たちが貴女の時代に行ってしまった。
貴女もあの妖たちが現代に存在しないってことに気付いていたはず」
「確信は無かだだけれど…」
困惑しながらも時神様の言葉に相槌を返す。
「今まで何度修復しようとしても何かに阻まれて出来なかった。
それは、貴女の術のせいよね?」
ほんの少し彼女から威圧を感じ始め、声が震えそうになる
「えぇ、お守りと相手に送った石とで繋いでいました。」
「そして、そのせいで時空が開きっぱなしになり、妖が現代に行ってしまった。
本来なら、時代の流れの中で妖は消え、現代には伝承でしか存在しないはずだったのに貴女が時代をつないでしまったから妖は現代に表れてしまったの。」
「っ.....」
「しかも繁殖し、元の時代に繁殖したまま戻てしまった。」
より一層威圧が強くなったかと思うとふ、と消えた。
「けれど、貴女がそんな事しなければいけなくなった原因は私が貴女を間違えて転生させてしまったから。」
彼女は頭を深く下げた。
「輪廻を司る神として貴女に謝罪をします。
本来であれば、貴女は神の位を給う付喪神として貴女が向かおうとしている時代の世界に生まれるはずだった。けれど私が間違え、本来人には備わっていない言霊を持ったまま、人間として貴女を送り出してしまった。」
彼女の手元に一つの刀が現れる、それは私が愛用している刀だった。
「貴女が向かおうとしているところはまだ先が決まっていません。
今の世界を守るために、新たな世界を作ったから。」
彼女に刀を渡され、その言葉を聞いた瞬間床が崩れ落ちて行った
「は?......!」
「貴女にはその刀の付喪神とし、妖の対処を命じるとともに、貴女の知る未来を変えて貴女の望む世界を作りなさい。」
そうして今度は闇の中を落ちた
…最後に見た、彼女の顔は慈愛に満ちた母親の顔だった。
次から新撰組と合流します