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七:溢れる想い

*あらすじ 茶子にキスをした斎は…


斎は答えてくれなかった。

一瞬だけ見えた、哀しげな顔が目に焼き付く。

確かに頬は赤かったのに、瞳は哀しそうだった。

「……すいませんでした。もう寝ます」

感情の籠もっていない声を残し、彼は部屋を出た。

「斎…――?」


翌日、母は電話を掛けていた。

「あ、もしもし?はい、お見合いの件なんですけど…」

私はほっとしていた。

断るための電話だと雰囲気で解ったからだ。

「――はい、茶子にはお見合いなんてまだ…え?えっ…いつ決まったんです?」

後半に入り、その空気は一転した。

母が焦っている。

「そんなっ…会うだけでもって…ええ、はい…解りました、言ってみます」

受話器を充電器に置いた。

「…お母さん?」

制服のリボンを結びながら、俯く母を呼ぶ。

「茶子、お見合い…決まっちゃったみたい」

「え、何でっ?」

「解らないの。知らないうちに全部、日取りまで決めてあって…」

申し訳なさそうに首を振った。

「会うだけでも良いって言われたけど…どうする?嫌なら嫌で良いのよ?」

少し考え、頷いた。

「良いよ。会うだけで良いんでしょ?行きます。美味しい料理、食べれるの?」

予想外とでも言いたそうな顔をして、母は答えた。

「う、うん…イタリアンらしいけど」

「やったー♪楽しみっ」

「じゃ、明日の放課後、迎えに行くわ」


平然としてみせたけど、実際は混乱していた。

何でお見合いの話は決定したんだろう?

お母さんに覚えがないとしたら、他に誰が――?


「…斎」

帰宅途中、私は立ち止まった。

隣を歩いていた斎は、後ろを振り返る。

「どーしました?」

「…お見合いの話…」

思わず彼から目を逸らす。

「斎が言ったんでしょ…?」

「!」

「そんなに迷惑だった?私…そんなに早く帰りたかった?」

「…」

斎は少しも動かずに、ただ私の問いかけを聞いていた。

「ねぇっ…私、斎のこと縛ってた…っ!?」

自然と涙が溢れる。

彼の答えを待つだけで、こんなに胸が締め付けられる。

何なんだろう?この気持ちは……?

「いつきっ……!!」

気づくと、私は斎の腕の中にいた。

暖かい体温は本当の人のようだった。

遅くなりました!

恋神もラストスパートです。

最後までお付き合い下さいませっ。

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