六:『相手は誰でも良いわけじゃない』
あらすじ*なんと茶子にお見合いの話が来ているらしく…?
*
お母さんも寝付き、私は斎の部屋へ行った。
斎が訊いてきた、先程の話の説明をするためだ。
「へー、そーゆー話だったんですか」
あくまで軽く言ってくる斎に、私はげんなりする。
「斎にはその程度の話かも知れないけど…お見合いかぁ。何か、嫌だ」
温かいココアを飲みながら、斎はきょとんとした表情で見てきた。
「嫌?恋がしたかったんじゃねぇんですか?」
「んん…。そーなんだけど」
どうも、胸に引っかかっている物がある。
「何にせよ、俺ぁアンタの願いを叶えに来たんだし、恋してもらわねぇと」
「ははは…」
――迷惑なんだろうな。
私が同じ立場なら、さっさと願いを叶えて、帰りたいと思うもん。
斎の整った横顔を見た。
すると、急に真顔になって私を見る。
「…相手は」
「え?」
「相手は、誰でも良いんですか――?」
「え…?」
――ガタンッ!
「へっ――!?」
一瞬にして押し倒されている。
ふわりと斎の香りが、私を包んだ。
「な…なに?斎?」
状況に気づいてから心臓の音が大きく感じる。
斎にきこえてなきゃ良いけど。
そう思ったとき、彼が微笑した。
「ははっ…心臓の音、此処まできこえる」
「!」
「意識することねぇでしょう。相手は誰でも良いわけじゃねぇんだから」
とか言いながら、思い切り意識させたいらしく、耳元で喋ってくる。
「意識することねぇって…耳元で喋ってんじゃんかっ」
「…――ドキドキ、します?」
私の手を取った。
身動きが全く取れない。
「はッ…離してよぉっ…」
「離しません」
「なんでそんな――んんっ!?」
唇に柔らかい物が触れた。
「んん…ッ!」
同時に、私のモノでない鼓動が唇から伝わる。
「ふぁっ――やめ…ん…」
十秒ほど重ねていたかも知れない。
やっと唇が離れると、斎の顔がよく見れた。
「斎…顔、真っ赤…?」
「!」
「まさか斎…私に、ドキドキしてたの…?」
大分間が空いてしまいました。すいません。
読んで下さっている方々、本当に有難う御座います。
まだまだ続く予定ですので、宜しくお願いします。