五:嵐の予感
あらすじ*茶子の家では斎が知り合いの息子という設定になっているらしく…?
――彼女は自分の部屋にいた。
ジャージに着替え、濡れた短い髪を束ねている。
「…神様、かぁ…」
「呼びました?」
突然聞こえた声に驚き、瞬時に振り向くと、背後に斎がいた。
「はぁぁぁっ!な、なな何でいるのっ」
「いや、呼ばれた気がしたもんで」
「ノックしてよっ、ノック!」
「ああスイマセン(棒読み)」
「謝る気ゼロなワケッ?」
「ありますよ。…見えないくらい小さいけど」
「今、とっても言わなくて良いこと言ったね」
「…お母さんが呼んでます。夕飯だそーですよ」
茶子は「解った」と言いながら立ち上がり、部屋を出た。
夕食を食べ終え、斎が風呂へ向かった。
「お母さん、斎くんの両親って何処にいるの?」
「あれ、何処だったかしら」
(超適当ぉぉっ)
愕然としていると、母は思い出したように口を開く。
「そーいえばね」
本棚から、薄い本のような色紙のような物を持ってくる。
「茶子にお見合いの話が来てるの」
開いて見せたそこには、綺麗な顔立ちの、同い年くらいの男が映っている。
「へぇ、そーなんだ――ってえぇぇぇっ!?」
「なんかね、お父さんが茶子のこと心配しちゃって」
「心配の仕方間違ってないの、これ?」
「間違ってないわ。愛情表現って色々種類があるモノよ」
「…」
絶句。
母がコホンと咳払いをすると、相手について話し始めた。
「相手の方はね、吉池グループの御曹司で、吉池俊彦さん。歳は茶子と同じ。顔も芸能人レベルでしょう♪斎くんほどではないけど」
「う、うん…」
「しかもね、恋愛未経験の茶子にはとーても良いお知らせ♪」
「?」
茶子の頭上にクエスチョンマークが出たとき。
「吉池さんは茶子に一目惚れらしいの♪きゃっ」
「はぁ――――っ!?」
「写真を見てね」
「いつ撮ったの!?そんな写真っ」
「こーゆうキチンとした物じゃなくてね、家族写真的な、修学旅行の集合写真的な?」
「なんで見せるの、そんな物っ」
「だって、どうしてもって言われたら見せるしかないでしょう?」
拳を固める。
「ってゆーかっ!私はお見合いなんてしないよっ?」
「えー?じゃ斎くんと、こっちの人とどっちが良いの?」
「へッ……?」
「上がりましたー」
丁度良く、斎が着替えて戻ってきた。
「何の話ですか?」
「これなんだけどね…」
「私はっ」
顔が熱い。
何でそんなことを言うだけで緊張するのだろう。
解らない…けど、言わなければ。
「……斎の方が良い…――」
「?」
「やっぱり?じゃあ斎くんに任せちゃおーっと♪茶子を宜しくね、斎くん」
「へ、あ、ハイ」
遅くなりました(汗
読んで下さって有難う御座います。
急展開…出来ればいいなと思ってます(ぇ
誤字脱字がありましたらお知らせ下さい。