三:トキメク、ココロ。
あらすじ*神社にお願いをし終えた茶子の目の前に現れたのは『神様』だった…?
「…アンタ、名前は」
上から目線で訊いてくるその男は、外見年齢16、7という感じだった。
同学年…いや、学校で見たことはない。
また彼の顔をじっと見つめて答えない茶子に、男はもう一度訊いた。
「聞いてます?名前はなんて言うんですか」
やっと我に返る茶子。
「はぃっ!き、桐島茶子っていいます!」
満足げに口の形を歪める。
「サコですか。俺の名は斎。宜しくお願いしますね、茶子」
非の打ち所がない微笑みに、茶子は完全ノックアウト。
逆上せた感覚になり、ふらりと後ろへ傾く。
「お、おいっ」
がくん――と衝撃が走り、やっと目を開けると、斎が手を掴んでいた。
「何度転びそうになったら気が済むんですか。もうさっきみたいな痛ぇ思いはしたくねぇ」
「あ…す、すいません」
よたよたと体制を立て直し、歩き始める。
所々剥き出しになった木の根に躓き、ぬかるんだ地面に足を滑らせる。
その度に斎に助けてもらう始末だ。
顔が相当火照っている。
熱に浮かされているようだ。
「ったくよぉ…」
斎がそう溜め息混じりに言うと、ぐいと茶子の手を引っ張る。
「え…?」
「裾掴んで下さい。危なっかしくて見てられねぇや」
「――ありがとう…」
茶子の心臓が跳ねている。
とくん、とくん――それは顔の火照りと比例しているようだった。
この気持ちが何なのか、茶子にはまだ解らない――。
読んで下さって有難う御座います。
もっと楽しんで書けたらな、と思っている今日この頃。
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