零:プロローグ
『今年高校二年で恋愛経験皆無』って有り得ないと思います?
…大体の高校生は有り得ないんだろーなぁ……。
けれど今年高校二年生になる私、桐島 茶子は
――恋愛経験皆無なのですっ!
友達は恋話をしているのに、私は全く解らない…そんな寂しい状態から脱出するために、一つの名案が浮かんだのです!
その名案っていうのはこんな会話から生まれました…――
*
「ねぇ茶子知ってた?」
「…え、何?」
親友である原田 花澄に声を掛けられたとき、私はお菓子を片手に雑誌を読んでいた。
それに真剣だったためそれまでの会話を聞き逃していたのだ。
「ったく茶子はお菓子ばっかり!太るよっ」
「えっ?嫌だっ」
「それは置いといて。…ね、あの森の辺に神社があるの知ってるでしょ?」
少し考えて、返事をする。
「あー…道路外れたとこ?」
確かに私たちの住む町の外れには、木が生い茂った薄暗い森がある。
「そう。その神社には願いを叶えてくれる力があるらしいよ」
私は心底驚く。
「えぇ!?あの古ぼけた、今にも崩れそうな神社に?」
「噂だけどね。でも確かめた人はいないんだって。茶子の言うとおり、今にも崩れそうだから近寄らないの」
「ふぅん」
「信じてないね」
もう一度お菓子を口に運ぶ。
「だって、そんなこと急に言われても…。しかもあの神社でしょう?ナイナイ」
「…まあ信じないのも無理無いよ。誰も確かめてないんだし」
するとその噂話を教えてくれた希美子が言う。
「でもさ、行ってみる価値はあると思うの。私、両想いを頼んでこようかなっ」
「えー危ないよ?つか希美子なら大丈夫でしょ」
その言葉が出た途端、私はきょとんとした。
しかもバッチリ花澄に見られている。
「あははっ♪茶子には解らないよねー?お子ちゃまだから」
「う、うるさいっ」
ここで浮かんだのが、名案。
『その神様に、恋をさせて下さいってお願いしたら良いんじゃない!?』
という物でした。
本気で信じているワケじゃないけど、希美子の言うとおり、お願いする価値はあるかなと思って。
この度は『恋 神 koigami』を読んで下さり有難う御座います。
オリジナルで書くのは久しぶりでドキドキしています。
拙い文章ですが、是非最後までお付き合い下さい。
誤字脱字がありましたら教えて下さい。