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小話集  作者: 如月厄人
8/8

意(こころ)


人を動かすに値するモノとはなにか。


志?心?違う。そうじゃない。そうじゃないだろう。


答えは意だ。


読めない?知るか、調べろ。


ただ、そうだな、ここではこころと読むことにしようじゃないか。


便宜上、あくまでも便宜上だ。


心と被ってる? 知ってるよ、わざとだ。


心で思うこと、頭で考えること、どちらにしても思うだけ、考えるだけで終わることなんてザラにある話さ。ところがどっこい、意がつくだけで全部ひっくり返る。


そう、全部だ。これから起こす行動も、考える指針も全部固まる。何をするべきかが見えてくる。俺は何をすべきか、それをした先に何が起こるか、わかってくる。起こした行動には全て結果が返ってくるからさ。


でも答えがわかっていてもやらなきゃいけないこともある。それを履き違えちゃいけねえ。俺は今、そいつの目の前に立っている。


脈は無い、会話も片手で事足りるくらいにしか話しちゃいない。だからわかる。君のその困惑顔は痛いくらいにわかるさ。俺だって同じ状況に置かれたら言うだろう。


お前誰だよ。


それを差し引いても俺はこの意に突き動かされている。


思いっきり失礼な事を言うぜ。君はクラスのマドンナじゃあない、パッとした特技も、別段成績が優秀ってわけでもない。人の気を引く事が人より多いかと言われれば俺からもノーと言えるくらいさ。友達との会話も当たり障りない、特にこれといった特徴があるわけでも、オタク気質とか、歴女だとか、そんな物はまるでない。多分。いや盛った。あるかもしれないけど俺は知らない。


ただ、ただ一つ言えることは、俺は君から目が離せねえって事だ。


だから言うぜ、俺は俺の意に従うぜ。



「付き合って下さい!」


「ごめんなさい!」


「知ってた!!」


「お友達から!」


「ダメです!」


「えぇっ?!」



怒涛の会話、かわす事数回、決着はついた。


「出直してくるぜ」

「あ、あの…、お友達がダメな理由って…」


俺は踵を返しながら、言った。ふんだんにカッコつけてやったさ、ふんだんにな。


「俺の意が、それじゃあダメだと叫ぶのさ」

「こころ…」

「そう、俺のこころがな」


困惑する彼女をおいて、俺はその場を後にする。

これでいい、これでいいのさ。俺の意は満足してるぜ。結果は伴ったさ。


そう、俺の意はな。


「………、」


あー、なんつーか、なぁ…。


「お友達でもいいからなりたかったなぁ…」

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