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小話集  作者: 如月厄人
3/8

点と面


「お前いい性格してるぜ」


「…は?」


友人が唐突に言う。何のことだかサッパリわからない。まず褒められてるのか貶されてるのかもわからない。


「何つーかさ、あざとい?いや目ざといか。よくそこまで女子の心がわかるもんだな」


「わかんねえよ。ただ見てると何となくな」


「そこ、それ、それがすげえんだよな」


何が言いたいんだこいつは…。


「っつか、それと性格は関係ないだろ」


「あるある。むしろそういう性格だから、目ざといのかもな。サバサバしてる癖に、実は色んな所で気が遣えてるっつーかさ、器用な感じ」


器用…ねぇ…。


そんなに器用なら、俺は人の行動を注意深く見たりなんかしないだろう。あいつが見ている俺の一面は、俺の中のほんの一部でしかない。さらに言えば、女子が利用しているであろう俺の立ち位置は、俺の性格から出来た一点でしかない。


そう考えると、性格は点と面で出来ていると思う。


「やべえ、俺すげえ事に気がついた」

「なになに、モテ期でも来てるんじゃねえかって?お前には100年早いぞ」

「それもう俺死んでると思う。


ちげえよ、性格の話。性格を構成している何がしについてだ」


「してその心は?」

「謎かけじゃねえよ。


性格は点と面で出来てるんだ。お前が俺の事をサバサバしてるっつったのは、俺の性格の一面だろ?その一面の更に一点に、女子が使ってる気遣いの部分があると思うわけよ」


友人はへぇ、と腰に手を当てつつ、口を開いた。


「でも気遣いはサバサバには入らねえだろ。そりゃあ人間にゃいくつも面があるだろうし、違う面があっても良いと思うが、分類はもっときっちりやったほうが良いぞ」


「マトモな事言ってやがる。でも一つ言ってやるとだな」

「おう」


「分類分けをするメリットが俺たちにはない」

「それな」


「あ、谷君おはよ!」


「おはよう滝川さん。ちょっと髪型変わったね」


「おー!よくわかったね!彼氏も気付かなかったのに!」


「たまたまだよ」


何時ものように挨拶をしていると、じっとりとした目が俺を射抜く。


「何だよ」


「やっぱり良い性格してるぜ、お前」

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