表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/48

ダンゴムシの誓い

 生き物飼育エッセイを書こう。

 俺は唐突にそう思い立った。困ったのはタイトルだが、ふと思いついた言葉をそのまま使ってみた。

 ダンゴムシは日の当たる場所には出られない。

 何故なら、すぐに乾いて死んでしまうからだ。だが、彼等はきっとチョウやトンボが羨ましいワケじゃない。石の下が心地良いからそこにいるのだろう。

 地べたを蠢き、腐植質を食い、コンクリからカルシウムを摂取し、変な微生物に性別までも操られ……それでもダンゴムシは繁栄する。

 彼等の本質がフロンティア精神であることを知る者は少ない。

 よく見かけるオカダンゴムシは外来種。

 故郷はヨーロッパ。地球の裏側から遙々渡ってきて、そして瞬く間に日本中の石の下を支配下に置いた。

 それどころではない。先祖はもっと凄いことをやってのけた。

 ダンゴムシは甲殻類。

 先祖は海の中に住んでいたのだ。陸に上がり、水中でも湿地でも地中でもなく、普通に暮らしている甲殻類は、ほとんど例がない。

 このネット小説界で、俺はダンゴムシだ。

 才気溢れる、前途洋々の若者ひしめくこの世界で、俺のようなオッサンが、

 文系能力が問われるこの世界で、理系出身者の俺が、

 テンプレ転生モノ全盛のこの世界で、こともあろうに怪獣モノを書く、という時点でもう、陸に上がった甲殻類、地球の裏側から来た外来種だ。

 そんな俺だから、生き物を飼ってきた自分の経験を書くことにしたといっても、モフモフ系ではない。

 うぞうぞ系、ヌルヌル系、ブンブン系が主。この時点でもう底辺決定だが、俺には他にネタはないのだ。

 エッセイなんてものは、経験を書くモノ。つまり自分を切り売りしていく以外にない。

 だが、ダンゴムシを…………なめるな。

 いつか、世界中の石の下に住んでみせる。

 そういう気概も空回りするのがダンゴムシ。


 生暖かい目で見守るがよい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ