壱
妹の写真が飾られた仏壇に向かい、一礼。
宮間は立ち上がると、居間に向かった。
居間への扉を開けると、毛谷がソファーで寛いでいた。
「あれから二週間経つのか……」
毛谷の隣に座ると、宮間は感慨深く呟いた。
「妹ちゃんもやっぱり……あれだよな」
毛谷は宮間を気遣うように、言った。
「『心臓刳り貫き事件』」
二週間前――妹は死んだ。心臓だけが取り除かれて。
誰かの犯行ではないかと警察が捜索をしたが、結局犯人の手掛かりすら見つからなかった。警察はこの件について手を引いた。しかし最後に一人の警察官が言っていた。
これで三人目――三人とも同じ手口だと。詳しい情報は機密らしく聞き出すことが出来なかった。しかし一つの手掛かりだけは、聞くことができていた。
宮間はゆっくりと話を続けた。
「警察が帰るとき言ってたんだよ。三年前……いや三年に一度、同じような事件が起きるって」
「そういえば三年前もあった気が……」
毛谷は腕を組み悩み顔をしていると突然、閃いたように口を開いた。
「そういえばこういう話に詳しい奴が一人いるぞ」
「えっ、誰?」
「それは山音だー」
毛谷は言い放つのと同じく、片腕を突き上げた。
「山音さん? 僕の後ろの席の?」
「正解です、その山音です。ちなみになぜ山音かというと寺の娘だからです」
「えっ、寺? でもそれってあまり関係なくないか」
「のんのん。山音は寺の娘だけあってこの町の情報量は誇れるぜ」
「お前が何で故誇らしげなんだよ」
そして宮間は小さな声で続けた。
「明日、山音さんに聞いてみるかな」
ご視聴ありがとうございました!
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これからが本番なので、是非続きも見て下さい!