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小晴町の猫の呪い  作者: 虹 色色
第一章   『混沌』
7/9



 夕暮れに染まる帰り道。

 宮間と毛谷は、雑談をしらがら歩いていた。

 「この後、お前暇」

 「とくにやることはないよ」

 「じゃー決まり、後でお前の家に遊びに行くんでよろしくー!」

 「今日お母さん残業で遅くなるって。今は妹しか家にいないよ」

 「ざんねん。今日も晩飯ご馳走になろうと思ったのにー。お前の母ちゃんのご飯美味しいからな」

 そんな事を何気無く話している間に、宮間は家の前に到着していた。

 「そんじゃ、またあとでいくわ!」

 そう言うと毛谷は、また真っ直ぐに歩いて行った。

 今日の学校生活は宮間にとっては、新鮮そのものだった。

 皆事情を把握していたから、何かと補助をしてくれ、すぐに宮間もクラスに溶け込めた。

 それにしても――宮間は朝以来、山音とは話せないでいた。それは休み時間の度に、クラスメイトが宮間を心配して、話しかけてきたからである。

 そして自宅に帰還したという訳だ。

 宮間は家の入口である引き戸を開けた。

 玄関に足を進め、靴を脱ぎながら、

 「ただいまー」

 と一言言ったが、返事がなかった。

 いつもなら「おにーちゃんおかえりー」と居間の方から聞こえてくる。多分、寝ているかテレビでも見ているのだろう。宮間はそう思いながら、廊下を歩き居間への扉を開けた。

 「ただいまー」

 静寂な空気が流れる。

 居間にある窓ガラスの先には庭が見える。

 宮間は不思議なことに気がついた、窓が空いている。全開ではなく、空気の入れ替えをするときに開ける幅くらいだ。

 そして妹の姿は――見当たらない。

 居間じゃないなら……トイレか。

 宮間は窓を閉めると、二階にある自分の部屋に向かうことにした。



 数分後、普段着に着替えた宮間は居間でテレビを見ていた。

 これといって面白い番組はなかった。

 妹がいない――違和感を抱きつつ、宮間は立ち上がりトイレへと向かった。

 トイレは玄関から一本の廊下を曲がり、その道沿いにある。

 宮間はフローリングの廊下を進み、角を曲がった。曲ると廊下は奥へと続いている。

 そして、視線を下げていた宮間はあることに気づいた。

 誰か……倒れている。

 素早く近づいた宮間は、倒れた人を抱き上げた。

 生臭い錆びた鉄の臭い。

 手に伝わる僅かに感じる温かい液体の感触。

 宮間は抱えている人の顔を見ていた。

 妹だ――

 眠っている――静かに、淑やかに。

 宮間は心臓が砕け散る感覚に襲われた――

 目線を腹部に下げると……

 胸辺りの服が引き裂かれ、

 剥き出しになった青みのある皮膚からは、流れる血……

 そして――



 宮間は一本の糸が切れた見たいに、ぷつんと意識が途絶えた。

 ゆっくりと落ちる瞼。

 宮間は床に儚く倒れながらも、最後まで残っていた感覚があった。

 

 

 腕の中にある重み――



ご視聴ありがとうございました!


これで第一章は終わりです!


アドバイス、感想を書いていただけるととても嬉しいです^^


次回からは、第二章に突入です!

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