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小晴町の猫の呪い  作者: 虹 色色
第一章   『混沌』
5/9

 「おにいちゃん、はやくはやく!」

 「引っ張るなよ」

 晴れて退院の日を迎えた。

 ベットには綺麗に畳まれ布団だけが置かれている。

 「おにーちゃん、はやくー」

 車椅子に座った妹は、急かすように服をぐいぐいと引っ張ってくる。

 この光景を母親は、肩に手提げバッグをかけ見守っていた。

 母親は表情からして、安心しているようだ。



 ――老人と話したのはあれっきりだった。

 老人は急に寝込み、今でもその状態が続いている。

 挨拶したかったな、と宮間は寂しく思う。

 カーテンで遮られ老人の様子を覗えない。

 宮間はカーテン越しだが、お辞儀をした。

 「おにいちゃーん!」

 あれから――妹は毎日のように宮間を訪れては、いろいろな話を聞かせていた。宮間の前だと甘えがあるが、基本的にはしっかりとしているらしい。

 宮間は一通り病室の患者に、別れの挨拶をした。

 全員を回り終えると、ゆっくりと入口のドアを開いた。

 「おにいちゃん、かえろーか」

 宮間は妹の小さい手を握ると、一緒に前へと進んだ。ゆっくり、ゆっくりと。




ご視聴ありがとうございました!



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