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ネセサリティエビデンス 解答








 今回は‥‥‥まあ、そうねえ。

 ちょっと強引に作った感も否めないけれど、その分これ以上の「答え」を、私は貴方に期待しているわよ。

 では、始めましょうか。


「ふぁあー……解かれない問題程退屈よねえ。」

「……だから、自分で作っておいてそれを言うなっての。」


 それじゃあまずは、作中で曖昧になったままの死亡推定時刻から始めましょうか。


「警察がまだ特定していないとなると証言から割り出すしか無さそうだ。」

「ふうん、どうやって?」

「……普通に考えれば解るんだが、被害者が殺害された後に誰かが洞窟に来れば、『何も見ていない』のはおかしいんだ。」


 そうね。そこには遺体があるのだし。幾ら何でも流石に目立つわ。でもその理屈だと、第一発見者の町屋が犯人って事になってしまうわよ?


「まさか町屋が犯人、なんて言わないわよね?」

「町屋と被害者との間に接点は無い。故に除外。」

「ならその直前に見た金森が嘘でも吐いたのかしら?」

「そう簡単な話か?」


 それじゃあ誰にも殺せない、なんて思わないで頂戴ね。町屋以外に死体が見れなかったなら、「どのようにすれば遺体を見せないように出来るか」を考えてみて。


「殺害後に遺体を隠せる。」

「ではその方法、語ってもらうわよ。」


 そもそも、泉、とは言うけれど。それの正体は解ってる?


「実は……最初から溺死を疑っていた。」

「根拠は?」

「泉があるだろ。」

「誰も見てないわよ?」

「そんな筈はない。だったらどうして富樫も町屋も、事件とは関係の無い他の人物からその情報が入るんだ?」

「……ふっ。まぁ、この程度は普通よね。」


 当然、此処までしつこく情報を出すからには、何らかの関係があると思って貰わないとねえ。


「つまり犯人はその泉を使って殺害したと?」

「ああ。」

「毎回毎回同じ事を言うのも何だけど、」

「根拠、だろ? 解ってる。あの小さい岩だ。」


 引っかかった人って居るのかしら? 私はミスリードにすらならないと思うのだけど。


「当初凶器だと思われていたあれね。どう使うの?」

「溺死した遺体に乗せるだけだ。重石にしたんだよ。水面に浮かび上がって来ないようにした。」

「それって必要なの?」

「遺体がざらついていただろ。塩分濃度が高い海水に浸かった所為だ。」

「そこまで解っているなら、幻の泉の正体も解っているんでしょうね?」

「‥‥‥潮の満ち引きによって起きる海水面上昇と下降。説明するのも馬鹿らしい話だが、恐らく満潮時刻直前から直後にかけて泉のような水溜まりが出来るんだろう。」

「よろしい。」


 幻なんて言われても所詮はこの程度よね。科学に勝る知識無し。でも解ってる? 満潮時刻が解らないと、このトリックは成立しないわよ?


「満潮時刻は? 記載は一切無い筈だけど。」

「サーフィン目的の二人が逃すとは思えないし……少なくとも12時以降。海の家で話を聞いているしな。」

「良く気付いたわねえ。正解よ。」


 物凄く簡潔にだけど、時間を気にしてるサーファーが居たんじゃなかったかしらね。


「当然だが、水位は少しずつ上昇し、満潮時刻を迎えてまた少しずつ下降する。幾ら何でも急に増えたり減ったりはしない。しかし水位が完全に上がった状態での犯行は難しい。何せ深さもあるんだ、外から顔を海水に突っ込ませるにしても、誰かに見られる可能性はある。あの岩も置けないしな。」

「ま、洞窟内での犯行で、尚且つ満潮時刻の前か後なのは確かね。」

「被害者は海水に浸かっている。そして、満潮時に犯行を行えない。町屋が遺体を発見した時に、海水が全て引いていた事を考えると……。」


 それ手では今までの情報を整理して、犯人を特定してみましょうか。


「榊と金森が見た時間帯は、まだ水嵩が高かったから、『死体を見付けられなかった』可能性がある。」

「それだと泉を見ていないとおかしいんじゃない?」

「泉?俺には『海水が溜まった洞窟』にしか見えないけどな。つまり二人はそれを泉だと認識しなかった。」


 は? なんだそれ? とはならないわよ。だって、皆は確かに「泉は見てない」とは言っているけれど、「海水が溜まった洞窟は見てない」とは言っていないの。この違いに気付けたかしら。


「話を詳しく聞いていた訳じゃないみたいだったしな。」

「では残りは?」

「もし梁瀬が犯人なら、桜井が遺体を見付けている筈だ。」


 そうね、まだ満潮になってない筈だもの。


「つまり犯人は……流石にもう解るわよね?」


 残った一人、犯人は桜井よ。









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