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ノーヒント 解答


まあ、普通要りませんよねヒント。

解る人には解るんだし。









 来たわね。貴方は解答の準備、出来ているのかしら?

 まあどちらでも良いけれど。用意出来ていないのなら、負けを認めるって事よね? それじゃあ始めるわよ。


 今回も騙しは確かに存在するんだけど、正攻法で充分解けるわ。


「それじゃあイツキ、説明なさい。」

「はあ‥‥‥。」






 まずはそうねえ、イツキの推理指針でも聞いておきなさいな。今回ノーヒントだったわけだし。


「又聞きの又聞きだな。」

「ええ、そうよ。」


 イツキが何を言ったか解るかしら。又聞きの又聞き。つまりは富樫本人が事件を目の当たりにしたわけでも、町屋が直接捜査したわけでもない。情報の信頼性においてはとても低いって事よ。しかもその情報は少ない。と、するならば。


「情報が少ないから信頼性は捨て置く。まずは『推理する』。」

「賢明ね。」


 こうなるわよねぇ。結局、本文中に書いてあることに頼りきりになってしまう。全て疑って掛かるのも良いけれど、限度って物があるわ。


「電話を貰ってから外出、か。で、翌朝首無しの状態で発見された。電話が無かったら外出しなかったのか……?」

「同僚が代わりを頼む、みたいな事言ってたわね。」


 被害者が「何の用も無しに」外出したとは考えにくいでしょうね。


「何故犯人は被害者の首を切る必要があった? 身元不明死体にしたかったからか? いやそれならもっとバラバラにされててもいい筈。」


 通常バラバラ殺人って、幾つかパターン化されているのだけれど、身元不明死体にする為には相当の労力と時間が掛かる。しかも現在の科学技術ではちょっとの破片でさえもDNA鑑定出来ちゃうから、バラバラにしてもあまり意味がないのよねえ。


「富樫も同じ事を考えたんでしょうね。他に外傷が無いか訊いてるもの。」

「刃物以外に目立った物は本当に無かったのか?‥‥‥普通なら大量の血液が広がっていてもおかしくはな‥‥‥‥‥‥ん、‥‥‥。」


 ああ、どうやら気付いたみたいね。陸地で首なんて切ったらどうなるか位、容易に想像付くわよね? なのに警察の発表は、首切られて失血死でも河川での溺死でもないなんて。ちょっと考えれば解るはずよね?


「溺死ではなく窒息。なら犯人は一度『首を絞める』。そして恐らく被害者の頭を川に浸けて切ったんじゃないか? あー、首までは浸けてない筈だ。切りにくくなる。で、上手く血液が川に流れるようにした。だから首が下流に流されて‥‥‥血は水に混ざって流れる。突発的犯行?」

「こら、説明を飛ばさない。」


 たまに考え過ぎて勝手に自己完結するのよねこの子。いきなり「突発的犯行」だって言っても話が飛躍すると前後関係が解らなくなるでしょうが。本当にごめんなさいね。後でみっちりお説教しておくから、許して頂戴。


「悪い。えっと‥‥‥つまり犯人は、血液が飛ぶのを嫌った、って事だ。特に準備がなかったならこの方法を取るしかない。」


 今までの推理した行動から準備がなかったと判断した為に、突発的犯行に結び付いた、ってことみたいね。まあ生きている時と比べたらそれ程ではないにせよ、血が飛び跳ねる可能性は捨て切れないわね。


「だからって刃物を持ってるのはどうなの?」

「持っていたって自分のなんか使うかよ。足が着くだろ。刃物は被害者の持ち物だった、とかな。相手がいつも持っている事を知っていたなら可能だ。」

「‥‥‥ふっ。肝心の項目が抜けているわ。」

「『何故首を切ったか』、だろ。」


 先程言った通り、よ。バラバラ殺人のパターン。覚えているかしら?


「理由を挙げれば切りがないが、主な分類としては‥‥‥身元不明死体にして捜査を撹乱、そこまでの恨みがあったという動機的理由、見せしめ・快楽的犯行、‥‥‥証拠の隠滅。」

「調べれば誰にでも解る事よ。で、どれなの?」

「突発的犯行となると、恨みがあったとか快楽的犯行の線は無いだろう。本来ならば切る必要なんて無い。なのに切られていた。しかも首だけ。つまり、犯人はどうしてもその部位を切りたかった訳だ。だが首だけでは身元不明死体は作れない。それ以前に今の技術では不可能に近い。ならば、‥‥‥最後の証拠隠滅しかない。」


 どう? ちゃんと付いて来れているかしら?

 犯人が首を切ると言うリスクを冒してまで、隠したかった証拠って何かしらね?


「証拠って、どんな?」

「何の準備もない状況で首を締めるとしたら、やっぱり手、だよなあ‥‥‥手の跡? いや、待てよ‥‥‥まさか!」

「一人で納得しない。説明しなさい。」


 いい加減にしてくれないかしらね。お仕置きを3倍にしないと駄目かしら?


「兄弟揃って同じ様な格好、だろ? 指輪も当然、してたよな? 犯人はどうしてもその跡を消したかった。」

「‥‥‥ふっ。」


 警察は「探偵」ではないわ。そもそも私、警察を探偵役にするの嫌いだし。この辺りはそろそろ解っていると思うけど。探偵ではない=犯人になり得ると言う事よ。


「どうして町屋本人が被害者の愛人について随分良く知っていたのか漸く解った。つまり、『会った事がある』んだ。それから、『何であんなのが良いのか』、とも。」

「言ってたわねえ。つまり、犯人は?」

「被害者の同僚いや、言い方を変える。町屋の兄だ!」

「被害者は刑事。そう言う事ね?」

「あの刃物はひょっとして何かの事件の証拠品とかじゃないのか?それなら所持していてもおかしくはない。『代わりに頼む』ってのは、証拠品を運んで貰うつもりだったんじゃないか?」


 刑事が証拠品を持ち運ぶのは良くある。別段不思議な事じゃないわ。けれど一度運び込まれた証拠品は厳重に管理されるから、恐らくは証拠品を届けてもらおうと考えて電話した。他に急用でも出来たのかしらね? くすくす!


「刃物がある事は、最初から知っていたって事ね。」

「最初から殺意があった訳じゃないから突発的犯行なんだろ。自分で持ってたらそりゃ計画的犯行だ。」

「別の用事って何だったのかしら?」

「そこで例の愛人が絡んでくる訳だな。町屋の発言から、兄とも関係があったと思われる。運悪く現場を見られて口論になる、って所か?」


 ベタ過ぎで御免なさいね。うっふふふふ‥‥‥。


「富樫が『この話は降りる』と言ったのにも納得だな。」

「基本は優しいのよ? ツンデレなだけで。」

「その情報はいらなかった‥‥‥。」









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